顧客のアンメットニーズを見つけよ!
こんにちは!徳田です。
普段は、日本企業の海外進出を支援する海外WEBマーケティングを行っております。
マーケティングトレースアドベントカレンダーの企画の一環で、3Cの要素である顧客の理解についてnoteを執筆致しました。
マーケティングに携わっているけど、顧客の理解はあまりできていない…、これからマーケティングに取り組みたい方たちに一つでもトレースをする新しい視点や気づきが提供できましたら幸いです。
「モノが売れない時代」だからこそ顧客の解像度を上げる
現代は、「モノが売れない時代」と言われ、高品質な商品が手ごろな価格で手に入ります。日本国内で買い物をするのであれば、大きな失敗をするという事はあまりないでしょう。
その為、消費者が
①何に価値を感じ、購入してくれたのか
②何故、購入してくれなかったのか
は品質以外の要因であることが多いです。
このような時代だからこそ、顧客に目を向けて彼らの理解を深めていく調査はとても重要です。
しかし、広告代理店に勤めているとGoogle広告やFacebook広告の管理画面にばかり目が行きがちで、顧客の解像度を上げ、理解を深める為の調査やインタビューというものはおざなりにされがちです。
私自身も前職で海外向けのSEOに取り組んでいた際に、SEOで目標が達成されたにも関わらず、クライアントの売上が上がらず壁にぶつかった経験から、SEOや広告等の戦術面でだけでなく、顧客の理解を深める調査やその市場でどのようなポジショニングを築いていくかを考える戦略策定の重要性に気付き、マーケティングトレースに取り組むようになりました。
もしかしたら国内の顧客であれば、簡易的なデスクトップリサーチでも、ある程度のレベルまで顧客の解像度は高められるかもしれません。しかし、文化的な背景も習慣も異なる海外の顧客の理解というのはきちんと時間をかけて調査をしないと分からない事が多いです。
元P&Gのマーケターが語る顧客の解像度を上げる為のマーケター育成研修
先日、元P&Gのマーケターで女性の起業家支援を行うめぐみさんとランチをさせて頂いた際にP&Gのマーケター育成研修について伺いました。
P&Gでは「モノが売れない時代」では市場に顕在化していないアンメットニーズ※を見つける必要があると考えており、アンメットニーズを見つける為のリサーチ、コンセプトメイキングに莫大な時間と労力をかけています。
※アンメットニーズとは
企業のマーケティング活動において、まだ満たされていない顧客の潜在的な要求・需要のこと。顧客の観察やインタビューを通して見つけることができます。
ディズニーのような莫大な予算のないUSJのマーケターであった森岡氏がUSJが欲しい顧客を再定義し、顧客のアンメットニーズを探る事で来場者を爆上がりさせた話はとても有名ですね。
具体的にはユーザーインタビュー等の定性的な調査、パネラーを使った定量的な調査を行います。マーケターは質問リストを設計し、パネラーを持っている企業に調査を依頼します。
マーケターとして配属されると日本人メンバーもアメリカ本社に呼ばれ、数週間にわたるマーケター研修が行われます。ここで実際に、商品のコンセプトを絞りこむためのパネルリサーチを行います。
研修では、前日に立案したコンセプトが好ましいかどうかパネラーに投げ、次の日に彼らからフィードバックを得ることができます。
実際のユーザーのフィードバックを通してコンセプトを絞りこんでいく事ができ、P&Gのマーケター候補生は研修で顧客の声を聞く、実体験を通して、顧客のアンメットニーズを探る事の重要性を学びます。
P&Gではコンセプトを重要視しており、商品コンセプトであれば数か月、ブランド全体を包括するコンセプトであれば1年以上かけて作る事もあるようです。
前述のように、高品質な商品が手ごろな価格で手に入る現在は、商品の機能、特性が理由で顧客が購買するというのではなく、コンセプト(顧客が近い未来に得られるベネフィット)によって人は購買の意思決定をしています。
例えば、シャンプー一つとっても、対象とする顧客に応じて「髪の美しさを取り戻すシャンプー」なのか、「1日の疲れを癒すリラックスできるシャンプー」等、大きくコンセプトが変わります。
また、ターゲットする全ての国で異なる特徴のシャンプーを作るのは困難である為、同じ商品でも各国の顧客のニーズに合わせて複数のコンセプトを用意し、展開していくという事もあるようです。
マーケティングトレースで企業分析をする際に、企業の代表的な商品がどういった顧客に対して、どういったコンセプトで作られたものなのかを調査する視点を持つと更に企業のターゲットする顧客像がクリアになり、打ち手も考え易くなりそうですね。
顧客の解像度高め、アンメットニーズを見つける
P&Gのような大手メーカーでは顧客の解像度を上げる為の調査やコンセプト作りに時間をかける文化がありますが、中小企業の場合は運用型広告やSEO等の施策に目が行きがちです。
商品開発を行う際も、調査に基づいたコンセプトではなく、プロダクトアウト的な視点で自分たちのイメージでコンセプトを作り、商品が展開されているケースも少なくありません。
だからこそ、マーケターがクライアントに対し、顧客の解像度を上げ、アンメットニーズを見つける為の調査や戦略立案の重要性、意義を伝えていく必要があると考えています。
私自身、前職の苦い経験を経て、商品コンセプトの重要性をクライアントに伝えるようになりました。
それから海外に商品を送ってユーザーインタビュー会を開いたり、社内でクライアントと競合の商品を世界中から取り寄せてのお試し会をやる等、顧客の声に耳を傾けるようになりました!
このような上流工程から取り組めむ事ができれば、プロジェクトチームで共通の顧客像を持つ事ができ、コンセプトも明確になります。そしてコンセプトに基づいたWEBサイトの構築、クリエイティブの制作、集客施策できれば、プロジェクトの成功確率も大きく上がります。
ただ、そういった視点がないクライアントの場合、最初は顧客の理解を深める調査やアンメットニーズに基づいた商品開発を行うプロセスを理解してもらえないかもしれません。それでも諦めず、目的、目標に立ち返り、上流工程から進める事の意義を伝え続けましょう。
このような「この市場で顧客をしっかり理解し、取り組んでいくんだ!」という覚悟をクライアントと共創していく事もマーケターには求められているのではないでしょうか?