越境ECの光と闇の全てを話します 日本の魅力を世界へ届けるのに必要なこと
内需の減少に伴い、今後、日本企業が生き残っていくためには海外に販路を拡大するしかないといっても過言ではありません。それに加え、インバウンド(訪日外国人)の増加や円安など越境ECに挑戦するタイミングとして今は絶好のタイミングともいえます。
しかし企業の規模感に合った取り組み方でなかったり、明らかに間違った取り組み方をしているせいで越境ECで成功している企業のニュースはほとんど見ません。それだけ希望を抱いて越境ECをはじめたものの志半ばで辞めてしまっている企業が多いということです。
そこで、越境ECの海外Webマーケティング歴17年の経験を踏まえ、何故、失敗してしまっているのか、そして成功している企業は何をしているのかといった越境ECの光と闇を解説していきたいと思います。
1.商品の特性毎に勝てる越境ECプラットフォームが分かっていない
まずあなたに知って頂きたいのは、越境ECは商材特性に応じて勝てるプラットフォームが異なるということです。下の価値のマトリクスの図をご覧下さい。
海外での認知度の有無の縦軸、情緒と機能的価値の横軸で海外のお客さまに提供する価値を4つに分類することができます。
私は中小機構やJETRO、地方自治体にご依頼を頂き全国でセミナーや相談会をさせて頂いております。2023年は23都道府県で相談会をさせて頂きました。
ここでよく相談されるケースが海外で認知のない商材を取り扱っているのにAmazon USAに出品していて上手くいかないというケースです。
何故、海外amazonに出品して上手くいかなのでしょうか?まず、こちらから解説していきます。
認知の無い商材なのにAmazon USAに出品しているケース
海外amazonで上手くいっていないプロジェクトは認知のない商材をいきなり出品しているケースが多いです。
つまり上の図の価値のマトリクスでいうと③共感価値、④保証価値に分類される商材を取り扱っているのに①評判価値、②実利価値商材を販売するプラットフォームで販売しようとしているということです。
世の中に認知されていない商材を海外で販売していく場合、顧客の悩み、興味関心に紐づくキーワードで流入を獲得し、コンテンツを通して顧客に価値を伝えるというステップが不可欠です。
しかし、そういったステップを飛ばしていきなりAmazon広告で集客し、Amazonの商品詳細ページに遷移させても十分にユーザーの理解を得ることができず、コンバージョン(購入)に導けません。
解決策:Shopify+コンテンツマーケティング
もしニーズが顕在化していない商品を取り扱っている場合はShopifyで自社ECを構築し、商品の価値を伝えるコンテンツや共感を得るコンテンツを執筆していく必要があります。
ユーザーの検索ニーズ(ユーザーが知りたいこと)に合わせて記事を用意することで自然検索経由の流入を増やしていくと共にユーザーの理解を得ることでき、購買に導くことが可能です。
また自社ECの場合、階段設計という売れる仕組み施策が使えます。
階段設計とは初回訪問で海外の顧客は購入しないという特性を考慮し、購入を初回訪問のゴールとせず、その手前のメルマガ登録というステップを設けてリストを獲得するというものです。
ここでリスト登録して貰い、そこからメルマガを通して自社商品の価値や創業ストーリー、ユーザーの声といった海外の顧客が欲しい気持ちになってくれるような情報を提供していくことが可能です。
こういった売れる仕組み作り、買いたい気持ち作りができることが自社越境ECサイトの特徴です!時間をかけて理解を得たり、共感をして頂く必要のある共感、保証価値商材との相性がとても良いです。
鋸、鉋の魅力や顧客の知りたい情報を網羅した角利産業さま
新潟県三条市にある角利産業さまの事例では海外のお客さまに対し、自社越境ECで鋸、鉋の活用方法や手入れ方法のコンテンツを執筆し続けた結果、自然検索経由の流入を大きく伸ばし、結果、売上も右肩上がりで伸びていきました。
角利さまでも上記の階段設計を実施し、鋸、鉋の魅力をコンテンツとメルマガで伝え続け、成果を伸ばすことに成功しました。
余談ですが機能価値商材や伝統工芸品でまだ海外市場に出ていない商材を販売する場合はKickstaterのような海外クラウドファンディングも有効な手段です。
イノベーター、アーリーアダプターといわれる新しい商品、ストーリーのある商品を欲している層にアプローチすることで海外市場での反応を見ることができます。
海外クラウドファンディングについても勝ち方がありますので、こちらはまた別途、記事を執筆したいと思います。
認知度の高い商材を扱っているのに自社ECで販売しようとしているケース
価値のマトリクスで分類した場合の①評判価値、②実利価値商材のような既に認知度の高い商材やニーズが顕在化した商品を販売する場合、海外AmazonやeBayは適したプラットフォームです。
貴社が認知のある商材のメーカーであれば海外Amazonが適していますが、小売店の場合は他社もその商品を仕入れられるため、基本的には価格が差別化要因となり、利幅が薄くなってしまいます。この場合、仕入れの優位性がない限り、続けることが難しくなってしまいます。
逆に自社ECでニーズが顕在化した商材を販売しようとする場合、公式サイトから購入する理由がない限り、Amazonなどの普段から購入し慣れているサイトから購入しています。
「何故、公式サイトから購入するのか?」という問いに答えられるようノベルティや名入れなどのサービスを強化し、海外からの引き合いを獲得しましょう。
解決策:商品特性に合わせた販売戦略
商品特性に合わせたプラットフォーム選びと販売戦略、そして中長期的な予算取りが越境ECで成功するための秘訣です。貴社がメーカーで認知度の高い商材を取り扱っている場合は、自社ECとAmazonを併用するのも一つの手段です。
先ほどお伝えした角利産業さまの事例のように自社ECで商品の特性を伝えたり、集客を実施し、Amazonに送客するといった導線でAmazon広告やAmazon SEOだけに頼らずに送客することができます。
自社ECと比べ、Amazon FBAを使用し、米国から商品を発送して貰えればお客様の送料の負担も日本から購入するよりも抑えることが可能です。
2.海外の誰に対してどういった価値を届ければ良いかが分かっていない
1.では商品特性に応じた適切なプラットフォームを選択できていないという話でしたが、次によくある課題は誰にどういった価値を届ければ良いか分からないというものです。
本来、新規市場開拓をする際は市場のニーズやお困り事を把握し、競合がどういった価値を提供しているかを調査します。
その上で自分たちがどういった価値提供をその市場で提供できるか(バリュープロポジション)を導き出す必要があります。
海外で勝負するフロントエンド商品を設定するケース
岐阜県にある左利きの道具店はその名の通り、左利きの方向けの道具の専門店です。左利きの方は全世界の人口の10%ほどなのですが、多くのモノがマジョリティである右利きの方向けに作られています。
そのため、左利きの方は無理やり右利きのアイテムを使わざる得なくなってしまっています。そこで店主の加藤さんがお困りの左利きの方たちのために世界中から左利きのアイテムを揃え、販売することにしました。
日本国内だけでなく海外向け販売を強化するということで私たちにご相談頂いたのですが、私たちは最初、岐阜の加藤さんにお店に伺い、取扱商品を一つひとつ確認し、わざわざ海外から購入したくなるエースアイテムがあるかを確認しにいきました。
一つひとつの商品を見たり、加藤さんに話を聞いていると左利きの人たちが最も困るのがハサミだということが分かりました。確かに左利きの方の検索ニーズを調べてみてもLeft handed scissors関連のキーワードの検索ニーズはダントツで多かったです。
更に岐阜は関の刃物で有名な土地でこの土地で作られる刃物は世界的にも認知があることが分かりました。
これらの強みや日本ならではの特徴を表した商品を探していると、シンボリックな商品が一つだけありました!それが分解して水洗いできる左利き用のキッチン用ハサミでした。
この商品を海外に販売していく際のエース商品として掲げ、集客戦略を組んでいくことにしました。
フロントエンドでシンボリックなアイテムを手に取って頂き、そこから悩みの多い左利きの方たちにCRMでクロスセルをしていくという戦略を実施していくことにしました。
3.海外のお客さまが何故購入してくれているか分からない
「今、日本で販売している商品を海外向けサイトに掲載すれば売れる」そんなプロダクトアウト的な発想では海外市場に参入しようとする企業がとても多いです。これではラッキーパンチが当たらない限り、上手くいきません。
解決施策 購入してくれている人、興味を持ってくれている人にインタビューをする
弊社に越境ECに関する相談を下さる企業の中には既に海外から引き合いを獲得しており、購入する場所として越境ECサイトを構築したいと相談して下さる企業もいます。
これはやり方として間違っていないのですが、重要なのは
⑴ 何故、顧客が御社の商品を購入してくれているのかを明確にする
⑵ 市場性がどれくらいあるのかを事前に把握する
ことです。
これらの情報を定量的、定性的に分析し、どういった規模感で海外に力を入れていくべきかを検討していきます。
極論を言ってしまうと規模感や商材によっては越境ECサイトを構築せずに日本語サイトでWorldshoppingBizで海外向け対応しておくだけでも良いケースもあります。
私たちが海外に商品を販売する際は必ず顧客インタビューを通して顧客が購入してくれている理由、買わない理由を明らかにします。
これからご紹介する話はユーザーインタビューの結果、勝ち筋を見つけ、売上を5倍に伸ばした事例です。
認知はあるものの購入に繋がっていなかったケース
岡山から世界に挑戦するデニムブランドThe Strike Goldはヨーロッパ最大のデニムセレクトショップRed CastやサンフランシスコのセレクトショップSelfEdgeで取り扱われているデニムフリークの中では知られたデニムブランドです。
日本が誇る岡山デニムとして世界的にも注目されているアイテムでInstagramのフォロワーが1万人近くいるブランドでした。それにも関わらず、越境ECでの購買がフォローワーの数ほど発生していませんでした。
まさに下の顧客分類ピラミッドでいう認知しているけど未購買の顧客が多い状態でした。
そこで、
・購入してくれている海外顧客に購入してくれている理由
・購入してくれていない見込み顧客に購入してくれていない理由を確認しました。
インタビューの結果、
・購入してくれている人たちは岡山デニムならではの色落ち(Fade)が魅力的で購入してくれている。
・購入してくれていない人たちはどのどの種類のデニムがどういった色落ちをするのか分からず、購入に踏み切れないという声を頂きました。
認知未公未購買顧客の買わない理由が分かったことで、買わない理由を無くすコンテンツマーケテイングを私たちは実施しました。
具体的には経年変化がどういったところに現れるのかをファウンダーの濱本氏に伺い、それらを一つひとつ英語コンテンツに落とし込みました。
またInstagramにタグ付けしてくださっているお客様が多い事から彼らの許可を得て、投稿をストーリー、ハイライトに該当商品のURLも載せて再度投稿しました。
これにより、どの商品がどういったサイジング、エイジング(経年変化)なのかを実例をもとに判断することができるようになり、これまで迷っていた顧客がたちがなだれ込むようにThe Strike Goldのアイテムを購入してくれるようになり、海外での売上を5倍に伸ばしました。
今回、ご説明させて頂いたように越境ECには勝ち方があります。17年間海外Webマーケテイング支援をし続けて培ったメソッドとそれを実行できるチームがあるからこそ再現性高くクライアントを勝たせることができています。越境ECでお悩みの方は私たちに相談してください!
越境ECの勝ち方教えます!
2024年6月13日(木)D2Cの会で50分に渡って、越境ECに挑戦しているマーチャントさまと共に越境ECの勝ち方お伝えします!
もしあなたが、
越境ECに挑戦したい!
越境ECに挑戦しているが上手くいっていない
どちらかに該当するようでしたら、絶対イベントに来た方が良いです。(残り数枠しかありません)
越境ECの課題のヒントを探しているあなたの参加をお待ちしております!
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