Step2ライフスタイルを整える軸の3つ②
日頃から運動することは、私たちが思う以上にカラダのバランスを整えるのに効果的です。
猿人から進化した人間は、その時点の生活スタイルに適合するように、カラダができているといえる。その頃は、食物を獲得するため必然的に激しい運動をしていた。また、100年くらい前の日本を考えてみても、農耕や日々の移動など、カラダを使うことが当たり前の時代だった。
ところが、それほど動かなくても食べられるようになって何百年、現代ほとんどのことができるようになって何十年、とにかく、動かなったと思いませんか?
その頃に比べて、カラダを動かす必要がさほどない現代の生活は、カラダにとっては異常なことといえるのかもしれない。その上、高カロリーで偏った食生活。運動不足で筋肉が減少・衰弱、代謝が低下しているのに加えて、血液中にコレステロールやトリグリセリド(脂質)、グルコース(ブドウ糖)、インシュリン(ホルモン)が増加した結果、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病や体調不良が起こりやすくなってしまいます。
本来、カラダに備わった機能が低下している状態ならば、これといった「原因がないのに妊娠しにくい」というのも、なんら不思議はないでしょう。
前の状態にカラダを戻すということはとにかく、動くこと。
運動はホルモン分泌や自律神経を安定させる
私たちのカラダの機能が正常に働けるのは、内分泌(ホルモン)系、神経系、免疫系という3つが、絶妙なバランスを保ちながら全身の細胞を統括するメカニズムが働いているから。
これらのネットワークのメカニズムは、日々の運動により適度な刺激を与えることでより活性化するといわれ、それによりホルモンの分泌や交感神経と副交感神経、免疫機能が安定します。
妊娠・出産にあたり、卵巣と子宮だけが働いているわけではありません。妊娠から出産に至る一連の生殖活動のすべてのプロセスでは、ホルモン系、神経系、免疫系のネットワークが複雑に影響し合い、それぞれの役割を果たしているのです。(どれか、一つだけしたらいいと言うわけではなく全て繋がっているということ。)カラダの機能の正常な働きは、自然なリズムでそのバランスが保たれてこそ活発になります。 定期的な運動は、こうしたカラダのメカニズムの維持に役立ちます。
激しい運動は逆効果になることも
気をつけたいのは、運動も取り組み方によっては、逆効果になる可能性があること。
激しい運動は酸素の消費量を増やし、多くの活性酸素を生み出すことがあります。活性酸素による細胞の損傷が、老化の一番の原因とされているので、激しい運動は老化を早めることになりかねません。これは、生殖機能においても同様で、激しい運動は女性の月経サイクルを乱したり、生理や排卵が止まってしまうこともあります。
妊孕性(妊娠する力)を低下させるほどの運動とは、マラソンやトライアスロンなどの耐久スポーツ、ジョギングやエアロビクスなどを過剰にやりすぎた場合。運動においても、適度が大事ということです。
運動すると性機能が高まる
妊娠中によく動くほど、妊娠中のストレスや不定愁訴の緩和、妊娠糖尿病や妊娠高血圧などの合併症のリスク低下、そして、帝王切開率が低下し、安産になることがわかっています。
妊娠前に運動習慣があるかないかにかかわらず、妊娠中に週に5時間以上速歩きするだけで、妊娠糖尿病にかかるリスクが75%低下したとの報告も。
身体を動かすことで、生殖器官の機能が高まることを証明していますが、それは、妊娠中であろうと、妊娠前であろうと同じことです。
生殖器官が位置する骨盤内の血流をよくすることで、生殖器官に栄養や酸素が行き渡り、老廃物がスムースに排泄されるようになるから。
運動すると妊娠する力が高まる
身体を動かすことで、誰にでも当てはまるわけではありませんが、間接的に妊娠しやすい身体の状態を整えることは間違いない。
◾️排卵する力が高まる
運動することで、全身に血流が巡り、特に、下半身や骨盤内の血流がよくなることで、卵巣が温められ、排卵率が高まることが期待できる。
また、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)による排卵障害を改善するのに、メトフォルミンという糖尿病のお薬が有効なケースがある。
メトフォルミンのインスリン抵抗性を改善することは、運動することによって、インスリンの感受性が高まることも知られています。
◾️着床環境が改善される
卵巣や子宮は臓器の末端に位置するため、内臓が全体的に下がってきて血流が滞りやすい。定期的に階段を使ったり、歩く行動範囲を広げる。ランニングの運動習慣によって、血流を改善することで、子宮内膜の着床環境が向上することが期待できます。(補足:よくクリニックなどでビタミンC,Eなど処方される理由は、血流を良くし着床しやすくする目的で使われています)
◾️日光浴でビタミンD不足が解消される
厚生労働科学研究の調査では、調査対象になった30歳以上の女性の半数以上に、ビタミンD不足状態と報告がある。アメリカの大学の試験で、血液中や卵胞液中のビタミンD濃度の高い女性ほど、体外受精の妊娠率が高い結果が上がっています。
ビタミンD不足に陥らないためには、太陽の光を1日10分浴びるだけでよいとされている。朝起きたら、カーテンを開けて背伸びするのでも◎気分転換に散歩するのもいいですね。
運動は強制ではない。楽しい運動でより効果が。
運動しようと思っても、ついついラクなほうに流されてしまいがちです。そうならないためには、意識して計画的に取り組みましょう。
もちろん、運動習慣のない人が、いきなり、毎朝、ウォーキングやランニングする目標を立てるのは無謀。まずは、週に2、3回くらいからスタートして、徐々に、頻度や強度を高めていきましょう。目安としては、少し心拍数が上がっているな(ドキドキ)と言うくらいの負荷がベスト。家でできる簡単なストレッチでもヨガでもいいですね。
運動は、血流を良くし妊活にもメンタルにも有効と言えます。
ですから、運動は、もちろんするべき。ただし、無理強いする物でもありません。
妊娠しやすいカラダづくりの運動という観点では、妊娠しないことで感じるストレスを発散できるメリットもあります。「やらなければ」と義務的になったり、難行・苦行としての運動は、楽しくないし、続きません。
何事も楽しくやることが、1番と言うことです!自分のできる範囲で計画を立てたり、日常生活でできることからコツコツとトライ(行動)してみましょう!!!