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【徹底解説します】フリーランスエージェントのメリット・デメリット、よくある疑問

【フリーランスという働き方に関する知識を網羅する最新記事を公開しました】↓


働き方改革、雇用の流動化に伴い、フリーランスが増えてきました。

とともに、フリーランスに仕事を紹介する「エージェント」も増えてきたように思います。

有名なところとしてはレバレジーズ、クラウドテックなどが挙げられます。

特に独立したてで知名度・営業力のない駆け出しフリーランスの頃は、エージェントを使う人も多いのではないでしょうか。

私も今でこそ直請けで仕事をしていますが、最初は2社ほどエージェントを通して現場に入っていました。

今回の記事では、フリーランスエージェントのメリット・デメリットについて自身の体験を交えながら解説していきたいと思います。


そもそもエージェントって何するの?

エージェントは、IT業界のいわゆる案件リストを集め、それがこなせるエンジニアに仕事を紹介し、紹介料をもらうというのがビジネスモデルの基本です。

大体、元請けから月に支払われる金額の数%を紹介料として中抜きし、残りをフリーエンジニアに渡すというビジネスモデルです。

※エージェント間の競争激化によりマージン率自体は下落傾向にあるようです。

フリーランスエージェントを使う3つのメリット

エージェントを使うメリットは以下の3つです。

・自身の営業スキルがなくてもすぐに仕事が取れる

・契約の質がある程度担保される

・個人では契約不可の案件も獲得できる

1.自身の営業スキルがなくてもすぐに仕事が取れる

フリーランスエージェントを使う最大のメリット。

先述したようにエージェントは大量の案件リストを持っていますので、これにマッチしたものを選んで商談行くだけで数件はそこそこ高単価の仕事が取れてしまいます。

営業ノウハウがなくてもすぐにそこそこ(サラリーマンの給料と比べて)高単価の仕事を始められます。

60万〜85万くらいの案件はゴロゴロあります。

今はエンジニアの売り手市場となっているので「当たり前のことを当たり前にできる」技術的スキルがあれば、基本的にはすぐに仕事は取れると思って良いと思います。

私の例で言うと、一週間で7社受けて4社からオファーを貰ったことがあります。

これは自分の中では自信を構成する要素の一つとなっているし、「まぁ仕事なくなっても最悪1ヶ月と単価妥協すれば次は決められる」という感覚がありますね。

フリーランスのエージェントについては「ただの派遣じゃねえか」等、色々批判も多い業態ですが、なんだかんだでフリーランスエンジニアの仕事の供給への安定に一役買っていると思います。

ただしいつまでもエージェントに依存しているとただの下請けになってしまうので、自分の顧客を探すことは開発の傍ら同時並行でやっておく必要があります。

ちなみに、私が100万/月を突破したときはエージェントを使ってませんでした。

2.契約の質がある程度担保される

契約というのは個人事業主である以上とても重要なものです、エンジニアあがりのフリーランスだとその意識が薄い人が多いです。

自分で仕事を探すと、契約書なしで仕事を求めてきたり、「金の振り込みは検収から三ヶ月後」、「瑕疵担保責任10年」のような「アホか!」と思えるような契約書が出てくることがザラにあります。

契約に関するリテラシーがあればそういう仕事はスルーすれば良い話なのですが。。。

うっかり「何の実績もない自分の実績になるなら...」といって受けてしまう人が一定数います。

そして、悲しいことに少なくない人が未払いなどのトラブルにあっています。

エージェントからくる仕事は契約書が社会通念上割りとまともな形をしていることが多かったので、怪しい契約書を見抜ける自信がない方はエージェントからの契約書を貰ったほうが良いです。

とはいえ、準委任契約のくせに「瑕疵担保」がついている契約があったりするので、エージェントとの契約とは言えどもおかしいと思ったら交渉することが望ましいですね。

それから今まで契約書をロクに読んでいなかったエンジニアの人は、独立したら心を入れ替えて一字一句契約書を読む習慣をつけること。

契約書を読むということは、自分の身を守るために必須のスキルです。3.

3.個人では契約不可の案件も獲得できる

コンプライアンス上の理由からか、個人事業主との契約に難色を示すユーザー企業も一定数います。

エージェントを使うと、エンドとの契約はエンド法人⇔エージェント法人という契約関係になるので、この縛りを回避でき、ふつうに案件に参画することができます。

ちなみに余談ですが、「自分の法人を持つ」ことでも「個人では契約不可」という条件を突破することが可能です。

フリーランスエージェントを使う3つのデメリット

エージェントを使うデメリットとしては主に3つほどあります。

・商流が一つ深くなり、中間マージンが発生する

・高単価(100万以上)の案件は取りにくい

・あなた個人に信用が蓄積しにくい

それぞれ順に解説していきましょう。

1.商流が一つ深くなり、中間マージンが発生する

エージェントはわかりやすい日本語で表現すると「営業代行業」というビジネスです。

ボランティアではなく、商売でやっているのだから利益は出さないといけません。

なので、エンジニアはユーザー企業が支払う単価のすべてを懐に入れられるわけではなく、10~30%のマージンを抜かれることになります。

エンジニア側に提示する額はすでに「マージンを抜いた後」の金額になります。

2.高単価(100万以上)の案件は取りにくい

上記と関連するが、商流が深くなるためやはり収入にキャップがかかりやすいという欠点があります。

また、エージェントとしても「高単価で高スキルを求められる案件のみ」に絞っているわけではない。(この領域に集中するのは、エンジニアの採用コストを爆上げしてしまうため、得策ではない)

むしろ「まぁ当たり前のことができれば誰でもこなせるよね」程度の案件を主軸として回転させることが多いです。

なので、エージェントから送られる単価の相場観に不満があるのなら、基本的には自分で営業をかけるほうが良いと思います。

与えられた平凡な案件をこなすだけならあまり独立している感は出ないのではないでしょうか。

とはいえ、その平凡な案件でもこなしてしまえば全然サラリーマン時代より稼げてしまうっていう面白さがありますけど。

3.あなた個人に信用が蓄積しにくい

エージェントを通した以上、「○○から派遣されてきたAさん」という色眼鏡で見られることはどうしてもあります。

そこで単価以上の働きを出しても個人というより、やはりエージェント会社のほうに信用がついてしまうのではないかと思います。

フリーランスエージェントを使うときのよくある疑問集

Q.未経験からでもフリーランスエンジニアになれる?

A.厳しい。

基本的には業界1~3年くらいの仕事をこなしてきた人がメインターゲットのため、エージェントとしても扱いに困ると思います。

アルバイト、クラウドソーシング、派遣社員、サービスローンチ、インターン、何でも良いからまずは自分の足で稼いで、なんとしても「未経験」の負の肩書を外すべき。

Q.どんなスキルがあると仕事を取りやすい?

A.案件の数が多いのは、

・PHP
・Java
・Swift
・JavaScript
・Kotlin(Android)

上記のような言語。このあたりの実務経験があれば問題なく仕事を獲得することができるでしょう。

ややニッチではありますが、近年はだいぶ

・Ruby
・Python
・Go

あたりの案件も増えてきている模様。こちらは採用ハードルがちょっと高めのようです。

また、言語だけでなくミドルウェアの運用経験やプロダクトオーナー・プロダクトマネージャーのような経験も歓迎されます。

あまり想像できない人もいるかと思いますが、フリーランスのプロダクトマネージャー、結構いるし結局技術者よりPMのほうが単価高かったりします。

Q.リモート案件は取りにくい?

A.取りにくい。

ほとんどが常駐で、数年前は「週5常駐」が大半を占めていたが、最近になって「週3~4」「リモート可」といった案件がぽつぽつ見られるようになった程度。

とはいえ、「常駐案件に特化して営業をするエージェント」と「リモート・副業に特化して営業するエージェント」の2つの経営形態が出てきたので、しっかり調べて商談対策をすればリモート案件を勝ち取ること不可能ではないはず。

また昨今のテレワーク推進の流れを受けて、RW可の案件を重点的に扱うエージェントが増えてくるのではないでしょうか。

最初常駐で入って常駐先の信頼を勝ち取ってからリモートに移行する。。。というやり方も一つの手。(というか、王道です)

最近だと働き方改革の影響で正社員でもリモートで働ける企業が増えてきたので、単にリモートで仕事がしたいだけならフリーランスという形を取らず正社員での転職をしたほうがいいかもしれません。

Q.有給は取れる?

A.個人事業主は被雇用者ではないので当然なし。

が、ほとんどの契約では稼働清算幅を設けているはず。

例えば一ヶ月140~180時間の現場なら、稼働140時間を超えたら(現場との信頼を壊さないよう配慮しつつ)自由に休んでも問題はない。

Q.消費税は請求できる?

A.本来請求して然るべきだが、何も言わないと税込価格を提示されることも多いのでしっかり交渉すること。

Q.東京でないと紹介は期待できない?

A.現実的には難しいと思う。

IT企業の案件は、東京と地方では単価・案件数ともに絶望的なほどの差が開いています。

また、東京でないと案件の単価が10%~20%程度落ち込む傾向にあります。

地方の家賃がいくら安くても、もらえるお金が10万〜減ってしまっては意味がないですよね。

Information Technology(情報技術)を扱っている業界なのになんてザマだ、と毒づきたいが、まぁそういうものだと割り切るしか無いですね。

Q.最高単価はどれくらいの人が取れる?

A.広告のクリエィティブに乗っている単価はほぼ取れないと思ったほうが良いです。

「広告で出てる単価ってどういう人が取ったんですか?」とエージェントに聞いてみたところ、ベテランのプロマネ、しかもユーザーから指名が入る実力だったそうです。

(エージェント通さなければよかったんじゃ...?) とも思ったが、深入りはやめておく。

が、基本的には最高単価には期待せず、だいたい60~80万程度を見ておくと現実とのブレが少ないと思います。

税抜77万で税込み価格85.7/万になり、年商1000万はわりと簡単に達成できてしまうラインです。

Q.多重下請けから脱出できる?

A.商流による。

基本的には商流は明示される(ユーザー企業→エージェント→フリーランス、など)が、営業力の弱いエージェントだと間に何社も挟まっていたりすることがある。

私の場合は、アポを取って面談に行こうとしたら何故か知らないおじさんに2回引き渡され、謎の社名が書かれたカードでユーザー企業と面談。。。なんて経験があります。

また商流の明示は法で定められたルールではない(「派遣契約」ならば、マージン率を公開する義務があるのだが...)ので、隠してくるところも多いです。

なので、「サブコンは絶対嫌です」「上流工程からコミットします」という意思表示はしっかりしておく必要があります。

Q.SIerから脱出できる?

A.何を持って脱出するというのか曖昧だが、フリーランスに仕事を任せたりする(コーディングを外注してなんとかする文化がある)ところはSIerも多いので、無思考に仕事を取っているとSIerに吸い込まれることも。

とはいえあなたは独立した個人事業主なので、その仕事を受けるも蹴るも自分次第。

Q.フリーランスって経費何使うの?

A.人によりますが、自分だと家賃按分、交通費、エンジニアとの飲み代、書籍費、PC購入代金、カンファレンス代あたり。

家賃按分以外はどうせ会社員のときも自分の手取りから捻出していたので、フリーランスになって新しく経費が必要になったということはなく、正直ほぼ月商=月収という認識でいました。

Q.確定申告はどうするの?

A.原則として自分でやる必要があります。

私はfreeeを利用しています。税理士を探すことができたり、法人化するときの仕組みもfreee上にあるので、かなり良いSaaSソフトウェアだと感じでいます。

まとめ

以上、フリーランスエージェントについて、自分が見てきた現実を適宜入れながら解説してきました。

フリーランスの世界は「思ったほど甘くは」ないかもしれません。

しかし、全く希望がないわけでもありません。

例えば常駐でサラリーマン時代の給料の3倍をもらいながら、その半分を自己投資・サービス開発に使う、のような生き方もありです。

常駐自体は労働集約的な事業ですが、それを自分だけの資本集約的な、ストック性資産に換えてしまえばよいのです。

あくまで独立した個人であるという自覚を忘れないようにしましょう。

エージェントにどっぷり依存しない。

できる範囲で副収入を作ったり、副収入につながる人脈を作ったりする努力をきちんと継続していくこと。

プログラマとして「当たり前のことが当たり前」にできるだけでなく、個人事業主としても「当たり前のことが当たり前」にできるようになると良いですね。




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