ベンゾ系の薬のやめ方~ラクに減薬する2つのアイデア「脳呼吸法」と「紅茶療法」(その2)
(ベンゾジアゼピン系の減薬に役立ちそうな方法と、それを試した記録のつづきです)
僕の場合(その後)
一旦、0.060gまで戻した後、また減らしていきましたが、何度トライしても、0.010g前後で体調がおかしくなりました。精神的にも肉体的にも耐えられない状態になって寝込んでしまうことを繰り返します。
そして2年ほどが経ち、もうこれは諦めて、ずっと飲み続けるほかないかなと思い始めていたころ、変わった療法に出会いました。
宮野博隆さんの脳呼吸法・・・ホームケア
この療法の載った本(『「脳呼吸」が整えばうつは改善する』幻冬舎新書)は、少し前に購入して一読していたのですが、そのままになっていたものです。ちょうど、別の体調不良もあって、もう一度手に取りました。
著者の宮野博隆さんは、柔道整復師をはじめ、さまざまな技法を習得されたのちにアメリカへ渡り、あちらで「SOT(仙骨後頭骨療法)」と呼ばれるものを学ばれた方です。
耳慣れないですが、その後に、さらに独自の技法を開発された方で、いまは日本で「CSFプラクティス(脳脊髄液調整法)」という治療体系を編み出されて活躍されています。
この方の業績は、医学の本道とはかなり離れているので誤解されがちかもしれませんが、もしかしてかなりすごいのではないかと僕は思っているんです。
いくつもすごいところはあるのですが、たとえば現在、認知症に関しても「脳のゴミ」をお掃除する「脳脊髄液」のはたらきに注目が集まっています。
でも、宮野先生はずっと前からこの脳を守る液体に着目されて、それをコントロール(調節)する術も開発されています。
ここには現代医学ではまだ気づけていない働き(頭蓋骨のかすかな動きの意味、末端まで至る脳脊髄液の流れの全体など)までがカバーされていて、さらに誰でも(タダで?)その調節ができてしまう「ホームケア」という技法を惜しげもなく公開されているんです。
このホームケアだけでも、セミナーでもひらけば高いお金をとってもいいくらいの効果があるのですが…
ただ、あまりにそれがシンプルな動きなので、僕も以前は「本当にこんなことで良くなるのかな?」と半信半疑だったせいもあって、丁寧にできず、その精妙な(深いところまで伝わる)流れがわからずじまいでした。
少なからぬ人が、このホームケアを習っても「効いているのかわからない」「やった気がしない」と感じて、習慣化するところまではいかないそうです。
ホームケアをはじめ、宮野先生の技法はどれも、気づかないくらいの小さな力で、体の「防御反応」を起こさせないようにして効果を出そうとするところに特徴があります。一般的な体操や整体などとはそこが大きく違う点かなと思います。
また誰でも行える(再現性がある)のも大切な点だと思います。ホームケアもそうですし、専門の治療も、いまでは研修を受けた多くの治療者が全国で行なっているそうです。
それから・・・脳呼吸法をはじめてみる
ちょっと説明が長くなりましたが、僕はもう一度、このホームケアを試してみることにしました。
この本には、いくつも脳脊髄液の流れをよくするホームケアが載っていますが、僕は全部をしたわけではありません。
その当時体調も悪かったため、寝たままできる動きだけをやろうと思って、その本の中から「極性タッチ」「手上げ法」「波動法」の3つを毎日やることにしました。
これなら、朝、目が覚めたとき、寝たままできます。それも5分から10分ほどでできる動きです。
ちなみに、こちらの宮野先生の治療院のページに、「手上げ法」と、もうひとつ、「かかと上げ法」のやり方が公開されています。
(かかと上げ法もとてもユニークな技法ですが、かなり体の中が鎮まって、セルフモニターのできる人でないと、最初は変化がわからないかもしれません)
その他の技法は、僕が勝手に載せてはいけないと思うので、興味をもたれた方はぜひ本を読まれてみてください。
うつの本は残念ならが絶版ですが、他にも何種類か出ています。どの本にもホームケアは載っています。
減薬がうまくいく理由・・・「脳呼吸」の意味
これを始めてからの変化はたくさんあり、またいつかまとめて書けたらと思うのですが、このベンゾ系の減薬が苦痛もなく、ぐっと進んだことがひとつの驚きでした。
これまで鬼門だった0.010gを超えて減らしていっても禁断症状がなにも出ませんでした。ほんとうに少しずつ減らしていったのですが、自分でも今度は大丈夫そうと思えるほど、脳が安定していました。
とうとう0.001g単位の計りでも計れなくなり、カッターでわずかばかりの粉を削って1日分を作るようになりました。
それまでの気が狂うかのような離脱症状を考えると嘘みたいにあっけなく、何事もなく通過していました。
不思議ですが、これは宮野先生のホームケアで、頭の巡りがよくなったことと関係しているのでは、と思いました。その他には何も変わったことをしていなかったので…
書き忘れていましたが、「脳呼吸」というのは肺呼吸と同じように、頭蓋骨がわずかに拡大収縮することによって体液(脳脊髄液)の流れを起こす働きのことです。
僕たちの頭は、かすかに動き続けて、脳の水(脳脊髄液)を押し流したり溜めたりしているそうです。その動きを「脳呼吸」と呼んでいます。
その脳呼吸は、生命維持や僕たちの健康にとても重要な意味を持っているのですが、それが生まれつきうまくいく人といかない人がいるそうです。
まれに、ベンゾ系の減薬・断薬が苦痛もなくスムーズにいく人がいるそうですが、もしかすると、もともと脳呼吸がスムーズで、脳の巡りのよい人なのかもしれません。
巡りがよくなれば、脳内のゴミや異常なものも排出されやすくなります。それに宮野先生の本によると自律神経もその中枢から正常化するそうなので、もろもろが断薬・減薬による神経系の混乱に対しても対応できるようになっているのかもしれません。
もちろん、宮野先生ご自身は、こうした薬の禁断症状に効くなどとは書かれていませんが、この脳呼吸法は驚くほど多方面の不調に効き目があるようです。
宮野先生も、著書では「うつ」「腰痛」「認知症」「糖尿病」などにも効くと書かれています。その理由、メカニズムもそれぞれの本で詳述されていますが、脳と自律神経という、ある意味で人間の中枢部分の働きを高める療法なので、その効果がいろいろな形で現れても不思議ではないのかもしれません(でもやっぱり不思議ですが)。
おわりに・・・あくびが大事
僕はこのホームケアを始めて、最初は5分くらいでしたが、次第に気持ちよさがわかるようになって時間は伸びていきました。
いまでは朝に30分くらい、もしくは時間があればもっと長く、寝そべったまま続けています。
それも休み休み、ときどきスマホを眺めたりしながらの気楽な、気持ちのいい時間になっています。
このホームケアのいいところは、何よりラクに、気持ちよくできて、体も健康になることです。
ひとつ、宮野先生は書かれていませんが、僕の体験では「あくび」がミソ、のような気がしています。
ホームケアをしていると、うまくいくと何度もあくびが出てきます。あくびをしっかりするほど、頭はスッキリして、「よく効いた」という感じが得られます。逆に、うまくいかない時にはあくびが出ません。すると、何度「手上げ法」などをしても、あまり気持ちよくなれず不完全燃焼という感じが残ります。
他にもあるのですが、またいつか、ホームケアや脳呼吸法の効果については書きたいと思います。
ぜひ、減薬にトライされる方には、この方法も取り入れて、神経系と脳の調子をととのえながら進めてみてほしいなと思っています。
手強いベンゾ系の依存も、脳が変質しての依存だと思うので、積極的にこの脳神経をケアし、正常化させながら減薬していけば、ずっとラクに進むのでは、と思います。
(最近、知り合いの70代の方にこの方法をお伝えしました。その方はもう何十年もデパスを飲んでいるのですが、この脳呼吸法で「頭の巡りがよくなるのがわかる」「デパスも減らせるかも」と仰っていました)
次は、最終的に「断薬」までいくための、またちょっと変わったアイデア(紅茶療法)を書けたらと思うのですが、これは少し前に気がついていま試している最中なので、ちょっと時間がかかるかもしれません。失敗するかもですが、失敗しても面白い体験だったので、いずれ書けたらと思います。
それでは長くなりましたがありがとうございました!