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思いやりを、少しでも 〜 try a little tenderness 〜

Otis Redding のソウルフルな歌唱で知られるこの曲、私はてっきり、彼 Otis がオリジナルだと思っていました。が、ある時 Sinatra のヴァース(言わば "語り")付きのバラード•ヴァージョンを聴いてびっくり。Otis を遡ること20年前、1946年の Sinatra のデビューアルバムでも、この "Try a little tenderness" は歌われていたのでした。最初の楽曲リリースは1933年。様々な歌手にカバーされているこの曲ですが、Otis 前後で、これほどまでに曲のイメージが変化してしまうとは!Otis のヴァージョンでは、ヴァースは当然のようにカットして、そしてむしろコーラス部分さえヴァース的に使って、シャウトし始めてからが本領発揮… そんな大胆な脚色。そこがまたパワフルで、荒削りな色気があって良いのですよね。

歌詞を読み解くに、女性のカバーも(Otis 以降?)多いものの、本来は男性が歌うべくして書かれた曲のように思えます。男性が愛する女性を思いやる… というか「お前には愛する女がいるじゃないか!女には愛が必要なんだぜ!しっかりせんかい俺!」と、男性が自らに言い聞かせ、つよく鼓舞するような、そんな曲だと感じられます。

"Tenderness" と聞いて、最初に思いつく日本語は "やさしさ" かな… でも "Gentleness" とは少しニュアンスが違うんですよね。"gentle" は "gentleman" の gentle。もしかしたら紳士的で、ちょっと敢えて距離を取る感じのやさしさ、かもしれない。でも、"tender" は "tenderloin" の tender。最高級のやわらかな腰肉の tender… そこには、敢えて触れることの "触感" を伴うような、労わりのやさしさ、思いやりがある… 私にはそう感じられて。だからきっと "love me gentle" ではなく "love me tender" なんですよ。そして、だとすれば尚のこと、この曲が、当初の甘いバラードから、感情を爆発させるようなパワフルなソウル•ナンバーへと生まれ変わったのも、十分に納得のいくこと… 私にはそう思えます。

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思いやりを、少しでも ~ try a little tenderness ~

慌ただしい日常のなかで 
みんな きっと そういうことが 必要なんだ
ささやかなこと でも かけがえのないこと
言葉とか、笑顔とか、キスとか 

女が 男を愛するとき
彼女にとって その男はヒーローなんだよ
そしてその男は ずっとヒーローでいられるんだ
もしその男が ちゃんと自覚できてさえいれば

彼女は 疲れているのかも  
女って 疲れちゃうものなんだよ
いつもおなじドレスしか 着られなかったりすると
彼女が 疲れているのなら
思いやりを、少しでも 

彼女は 待っているのかも
ただ 期待しているのかも
彼女の手に 得られるはずのない何かを
彼女の手に それがないなら
思いやりを、少しでも

それは ただの感傷ではなくて
彼女には彼女の 哀しみがあって つらさがあって
だからね やさしい労わりの言葉が
彼女を少し 楽にしてあげられるんだから

君は それを決して後悔などしない
そして女は そのことを忘れない
なぜって愛は 女の幸せのすべてだから
こんなにも 簡単なことだよ
だから思いやりを、少しでも

以上【超•ゆき訳】でした。

では、まずはやっぱり Otis でしょう。これぞソウルミュージック!なライヴ•ヴァージョンをどうぞ。Otis の本領は、むしろ本来の歌詞以外のシャウト & アレンジ部分。 Hold her!  Squeeze her!  Never leave her!

そして、いまもご健在な Tom Jones さま。後半のダンスもヤバいぃねぇ。

そして、彼らを遡ること20年ほど前、Sinatra が歌っていた甘いジャズ•バラードはこちら。本来のヴァース付きで。

番外編。かのヒデキも歌ってました。この、原詞にはこだわらず新たに付された日本語詞は、どなたが書かれたのでしょうね?


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yuki tada
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