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トリミングサロンのトリマーが日本臨床獣医学フォーラム年次大会2024年に参加してきた話~後編~
こんにちは!
トリマーのゆきすけです!
今回は前回の続き、日本臨床獣医学フォーラム年次大会2024年~後編~をお話していきます!
こちらは後編になります。
前編がまだの方はこちらも御覧ください!
youtubeでも公開してます!
youtubeではスライド付きで動画を上げていますので、動画のほうがいいなぁ、という方はこちらどうぞ!
心優しい方はnoteもyoutubeも両方ともチャンネル登録やフォロー、高評価などなども是非お願いします!
1日目はしっかり頭を使ったので、帰宅後もへとへとでした…。
起きるのがちょっと辛かったですが、ここは気合で9時までにはしっかり会場に着き、9時から講演開始です!
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8,かゆみ攻略 2024: 「かゆみ」を理解する
さて、2日目の1コマ目は皮膚科です。
今回の講演は「かゆみ」についてで、かゆみから様々なことを見ていくというスタイルで面白かったです。
ちょっとマニアックな話っぽいですが非常に大切な視点だと思うのですが、一方でトリマーの方はあまり聞いたことがなく、少し難しい話に感じるかなぁとも思います。
みなさん、かゆみってどこでどこで感じていると思いますか?
皮膚ですか?
本当に皮膚ですかね?
実は脳なんですよね。
確かに皮膚や粘膜が、かゆみという刺激や信号、物質を伝えていきますが感じている=辿り着く先は脳ですよね。
かゆみ自体は皮膚や粘膜にのみある感覚でもあります。
かゆみを知ろうとすると、難しい話になっていき「IL-31」とかの単語が出てきたりもするのですが、もし興味があればご自身で調べてみても面白いかもしれませんね。
ぼくはこの手の話が結構好きで、楽しく聞いていました。
また、これは過去にも獣医師向けの皮膚科セミナーで何度も言われていたことですが、
「わんちゃんがどれくらいかゆみを感じているのか」
「どこにかゆみがあるのか」
などの情報は非常に大切な一方、飼い主さんは基本的に「うちのコ」しか知らないので、飼い主さんに
「どれくらい痒がってますか?」
と聞いても、返答がかなり曖昧になることも多いと言われていまいた。
少し専門的なことをお話すると
pVASスコア(Pruritus Visual Analog Scale)
というかゆみ評価の基準とされているものがあります。
簡単に説明すると、
かゆみやかゆみに伴う行動を0~10の10段階に分け、
どのくらいのかゆゆみなのかを客観的にわかるようにするものです。
3だとこれくらい、7だとこれくらい、とわかりやすく例を書いてある問診票などもあります。
これだと、
「うちのコすごくかゆそうで」
の曖昧な言葉をなるべく正確に理解するのに役立ちますよね。
すごくかゆそう=ご飯を食べていても寝ていてもかいている、血が滲むほどかいている
とは限らなくて、
元々あまりかかないコが急にかきはじめたら飼い主さんは
「どうしたの?いつもはかいたりしないのに!すごくかゆいんだわ!」
と思ってしまうのも仕方のないことですよね。
こうやって、なるべく統一された評価はすごく役立ちますよね。
トリマーのみなさんも、「pVASスコア」をざっくりとでも知っておくと役立つと思いますので、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか?
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9,かゆみ攻略 2024:非アレルギー性疾患の「かゆみ」
続いても皮膚科です。
というのも、2日目は皮膚科を4コマ聞かせていただきました。
プログラム上、こんな風に同じ科ばかりの日というのも過去にもありました。勿論、何を聞くか選んでいるのは自分自身ですけどね。
今回はかゆみの中でも、アレルギーでないもののお話でした。
わんちゃんのかゆみといえば、アレルギー、中でもアトピー、正確には犬アトピー性皮膚炎、獣医師向けのセミナーではよくCAD(Canine Atopic Dermatitis)と言われるものや、感染症を想像しますが、他にもかゆみがでるものはありますよね。
非アレルギー性の中でも特に、ベトベトと言われるような脂漏や多汗に着目したお話がありました。
獣医学では皮膚病以外でも、好発犬種といわれる視点も多くありますが、この ベトベトでも犬種や年齢を意識することも大切だよ、と言われていました。
ターンオーバーやpH、そもそもベトベトになってしまう原因も様々だよね、というお話はとてもわかりやすかったです。
少しシャンプーに関するお話もでたのですが、みなさん「過酸化ベンゾイル」という成分聞いたことありませんか?
以前、薬用シャンプーでこの過酸化ベンゾイルが配合されたものがありました。
優れた脱脂作用があり、その分皮膚への刺激もあるものでしたが、このシャンプーは終売してしまったんですよね。
トリマーのみなさんはこういった薬用シャンプー事情も少しだけでも知っておくといいかもしれませんね。
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10,永田・岩崎の皮膚科ギリギリ(?)トーク -第10回世界獣医皮膚科 会議(2024)の感想を含めて-
続いても皮膚科ですが、こちらは2日目のランチョンセミナーです。
タイトルのとおり、今年2024年の世界獣医皮膚科会議のお話でした。
ぼくは勉強不足で知らなかったのですが、とても素晴らしい権威ある賞を受賞したそうです。日本の皮膚科獣医師の先生が世界的にも活躍されているのって、とてもすごいですよね。
■受賞概要
獣医皮膚科学分野における最高栄誉賞で、当該分野における国際的な学術発展に多大なる貢献をした人物に授与される。
本賞についてはこれまで岩﨑利郎名誉教授を含めて5名が受賞しているが、過去の受賞者はいずれも欧米の著名な獣医皮膚科学専門医であり、今回の岩﨑利郎名誉教授の受賞はアジアで初めての快挙となった。
https://www.tuat.ac.jp/NEWS/winning/20241021_01.html
ランチョンセミナーなので、2人の皮膚科獣医師の先生方の談話のような形で、面白く聞かせていただきました。
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11,70分で人生が変わる 歯科学の話
続いては歯科です。
歯科もトリミングサロンで結構、相談されますよね。
逆にニオイや歯肉の赤み、歯石で口腔内の状態がよくないのかな?と思うこともありますよね。
僕自身、皮膚科同様歯科はトリマーにも重要だと思っており、獣医師向けのセミナーに何回も参加したこともありますし、過去にはJBVPで歯科の講師をされていた先生にご挨拶させていただき、トリマー向けにセミナーを開催したこともあります。
みなさん、わんちゃんの歯は必要ないものだと思いますか?
5年ほど前だと、歯は悪くなったら抜歯すればいい、別に歯がなくてもごはんを食べれる、と言われていましたよね。
勿論、どうしても必要な抜歯等はあります。
しかし、歯はなくなってもいいから予防的なケア、具体的には歯磨きをしなくていい理由にしては良くないのでは?だったら去勢や避妊同様、若齢期に予防的理由で抜歯をしてしまえば良い、になりませんか?と言ったお話が非常に共感できました。
わんちゃんの歯科って、近年の進歩が著しいと思うんですよね。
適切な処置をして、術後の管理もしっかりすると、ある程度まで治ってくる、というお話をすごく聞くようになりました。
個人的には、もっとわんちゃんの歯磨きがホームケアで必須であり、それに伴いスモールステップなどももっと広まり、わんちゃんのためになる必要なケアが当たり前の世界になってほしいなと思います。
トリマーのみなさんも、最近の歯科のお話をまだ聞いていない方は、一度聞いてみてはいかがでしょうか?
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12,歯が折れます! 間違ったデンタルケアに注意! -本気で歯を守るための デンタルケアのコツ教えます-
歯科2連続で、今回は歯が折れること、破折についてです。
歯が折れている子って、たまに見かけますよね。
人間でも言われますが、歯が欠けたり、折れている状態は放置しないほうがいいです。
そのためにも正常な状態の歯を知っていると、歯の異常にも気づきやすくなりますよね。
永久歯なのに、やけに尖っていたり、そもそもの歯の高さが低かったり、歯が折れている線が見えたり、歯髄が見えたりなどなど、歯の異常はよく見るとわかるものから、よく見ても知識や経験がないとわかりにくいものもたくさんあります。
最近では、硬すぎるものは良くないと少し広まってきていますが、まだまだショップでは硬すぎるもの、具体的にはヒヅメや鹿の角、硬いチーズや硬いおもちゃが売られていますよね。
昔は硬いものを噛むと歯が強くなる、という話もありましたが、全くの嘘なんですよね…。
そもそも、噛むときの力のかかり方だけでなく、エナメル質の厚さや噛む力の観点からも、わんちゃんの歯は人間よりも折れやすいとも言われていました。
あと、口腔内のお話だとどうしても歯に意識が行きがちですが、歯肉もとっても大切です。
歯肉に関しては、本当に歯磨きが大切になるので、やはりホームケアでの歯磨きをしっかりできるように、が重要ですよね。
歯科処置をしたあとも、維持するには歯磨きが不可欠ですからね。
個人的な意見なのですが、この部分はぜひともトレーナーさんが加わってくれると、より歯磨きのケアがスムーズにいくのではないかなぁと、昔から思っています。
動物看護師さんも、トリマーも同じですが、「診断」はできません。
ただ、異常に気づけるといいですよね。
トリマーの皆さんは、歯が異常な状態なのかを知るためにも、正常な歯を知ってみませんか?
特に代表的な、上顎第四前臼歯、下顎第一後臼歯だけでも頭に入れておくといいかもしれませんね。
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13,かゆみ攻略 2024: 犬アトピー性皮膚炎の治療 2024
さて、いよいよ最後の講演です。
今年最後に聞いたのは皮膚科でした。
色々な皮膚科のお話を聞いてきましたが、今回はアトピー性皮膚炎についてです。
犬アトピー性皮膚炎にもガイドラインがあるのですが、現行のガイドラインは2015年のもので、約10年経つのでそろそろ新しいガイドラインがでるのかな?なんてお話もされていました。
もしでたら、一度目を通したいですよね。
犬アトピー性皮膚炎のコって、トリミングサロンでもご来店されますよね?
ただ、多くの方がご存知だと思いますが、この疾患は完治ではなく、うまくコントロールして付き合っていくものと言われていますよね。
それに伴い、現状がどんなフェーズなのかによってもケアの方法は臨機応変に変える必要があったりもしますよね。
フェーズは急性期や慢性期なんて言われたりもします。
何度も繰り返しになってしまいますが、僕らトリマーは診断は絶対にNGです。
とはいえ、皮膚に異常がありつつも診断を受けていないコに対して、正常な子と同じシャンプー剤や同じ方法は個人的にはおすすめできません。
悪化させてしまわないためにも、知識をつけたほうが良いと個人的に思っているジャンルでもあります。
また、犬アトピー性皮膚炎はずっと付き合っていくものでフェーズにより治療も変わるもの、ということを知っておくと、治療でなにか違うことをしているのか、状態を見ておくすりに変更があったなど、そういったことの邪魔をしないことも大切だと思っています。
トリマーの皆さんは、獣医師がどういう意図で、どう治療していっているのかを、なんとなくでもスタンダードを知っておくといいんじゃないかなぁ、と思います。
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JBVP2024まとめ
と、いうことで、今年のJBVP年次大会に言ってきたお話になりました。
今年もとっても楽しくて、個人的には満足でした。
JBVPは毎年内容が違うとはいえ、過去に似た講演を聞いたことがあることも多いのですが、年に1度でも復習がてら知っていることも聞くことって結構有意義なんですよね。自分自身も経験や知識、見方がずっと同じなわけではないので、新しい発見や、あー、こういう意味だったのか、となることも多々あったりします。
個人的な想いですが、僕らの業界ってまだまだ良くなれるし、なる必要もあると思っているのですが、そのひとつに、もっと業種を超えていい意味で手を取り合えないのかな、と思っています。
獣医師、動物看護師、トリマー、トレーナー、それぞれのメインは違えど、きっとみんなが「わんちゃんのため、飼い主さんのため、わんちゃんと飼い主さんの共に過ごせる時間をよりよいものや、サポートを」などの思いが根底にあると思っています。
それぞれが自分の役割を理解するとともに、他の職の役割をしるつつ、一歩だけ手を伸ばし合ってカバーしたり、連携し合えれば、もっともっと良い業界にできると思います。
根底の思いが同じ方向を向いているのであれば、広く見れば同じ志を持つ者であり、どうしたら良くなるかだけでなく、別の視点からの考えを尊重したり、うまく混ぜて新しい方法や道が見えたりすると思います。
ひとつのわんちゃんと暮らしているご家庭のために、様々な職が協力していける世界、素敵な世界になると思いませんか?
飼い主さんやわんちゃんのためだけでなく、僕ら業界にとってもプラスになると思います。
と、いうことで、もしこれを見て興味を持ったトリマーさんがいて、有益になっていればいいなぁ、と思います。
ちなみに来年の日程ももう決まっているようです。
第27回 年次大会2025
日程
2025年9月27日(土)・28日(日)
会場
ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町4-1)
近くなると申し込みのぺージができて、早期割などもあるのでもし興味があればこまめに見てみてくださいね!
それでは、ここまでみていただきありがとうございました!
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