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有望だけど甘くないッ! AI同人マンガ【もしくは丸コピーマンガへの警鐘】
AI同人マンガ、興味ある人増えてきましたね。
AIマンガがどう有望で、どう甘くないのかちょっと書いてみました。
さらには「丸コピーマンガ」問題も……
AI同人の歴史っぽい話
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AI同人作品は、22年秋~冬あたりの初期画像生成ブームからありました。
当初は驚きで迎えられたものの、程なく粗製濫造問題が……
DL同人系のサイトは取り扱い中止、もしくは厳しい規制(AI作品審査を劇的に減らし、何ヶ月も待たないと作品が出ない。あるいはゲームしか認めない)に移行。
フツーの人がAI同人をするのは厳しい時期が続きます。
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が、23年末から24年頭あたりでFANZAが総量規制を徐々に解除。
同時に、NovelAI V3やpony系など、よりハイレベルなAI画像生成サービスやモデルも登場。
AI同人に粗製濫造ではない作品が生まれ始めました。ユーザーの注目も増えました。
こうして、24年末にかけて多くの有名AI同人サークルが生まれます。
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月100万円以上の利益を出すAIサークルも複数存在します。
DL同人では卸値も本数も見えるので一目瞭然(*)です。
ユメのある話なのは間違いありません。
※セールがあるので、本数×卸値をそのまま信じないようにはしましょう。
5円セールとかをしていたサークルさんもあります。それをセール終了後の価格で計算すると、ものすごい売上をたたき出したように見えます。
だから「FANZAで1000部売ったすごい方法教えます!」みたいな情報商材見かけても、そのまま信じないようにしましょうね。その人の卸値、1000部で2000円とかだったのかもしれませんよ(金額ベースで言っている人なら一聴の価値はあるかも)。
AI同人は有望
私は24年8月くらいにマンガ制作の準備を始めました(結局初作品出したのは11月、その後クライアントワークのほうが忙しくなってしまっていますが……)
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実際にAIマンガを作ってみた手応えですが、「有望」と思います。
新規サークルではありましたが1作品35000円くらいの卸値になったので、月に3本出せれば10万円。
認知度が上がれば20万円から30万円くらいには届くと思いますし、何より過去作も含めてロングテールで売れていくのがDL同人です。
様々な副業が世の中に存在しているものの、特に自宅で作業せざるを得ない方にはかなり有望なのがAI同人マンガと思います。
ここで「儲からない」と思った人はやめて正解
「え、その程度なの?」と思った方も多いでしょう。
そう感じた方は、安易にAI同人を始めないほうがいいと思います。
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例えばAI同人をするときにきわめて重要な、AI同人限定24時間ランキング。
ここで50位に入れれば一人前と言われています(私は100位に入ったことがある程度……)
で、50位というのは1万円くらいの卸値です(週末や休日が絡むともうちょっと上)。
DL同人の売上というのは基本的に初動がすごく大きいので、新作が1日で1万円ぶん売れたら立派だということです。
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初日で1万円売れれば、その後じわじわ売れていって5~7万円くらいにはなると思います。これがAI同人サークルの「中上位」グループということです。
私レベルだと初日で5000円ちょっと、最終的に35000円くらいとかになるわけですね。
実際にAI同人を2つ3つ買ってみて、自分ならどれくらい作るのにかかるか計算してみることをオススメします。
正直、作るのがスキ、マンガを描いてみたい、という人以外にはなかなかオススメづらい現実がそこにありますね。
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逆に言えば、「マンガ作品を作りたかったけど絵が描けなかった」という人にとってはこの上ない場所です。
面白くて幅が広くて(えっちで)、オカネまで頂けてしまいます。
作りたいから作る。儲けたいから、だと危ない
最近オークションサイトで二次創作系のAI生成画像のポスター(*)を販売したということで、逮捕者が出た事件がありました。
ここでは二次創作そのものの是非は(AI・非AI関係なく)問いません。二次創作が文化に寄与してきたことも事実と思います。ただ、創作性のない単なるグッズは版元と直接的に競合するものであり、版元から訴えられるリスクがマンガなどより非常に高いことは認識しておきましょう。
そのためか、オークション物販系からAI同人に転向される方が増えているようです。
そのこと自体はかまわないと思うのですが、転向される方をターゲットにした情報商材を扱っているケースも目立ちます。
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正直、上で述べたとおり、AI同人はあくまで「マンガ作品を作りたかったけど絵が描けなかった」人向けの場です。
たしかに24年前半くらいまでは、少々粗製濫造気味なCG集でもそれなりの儲けを得た人もいたと聞きます。
ですが当然のことながら、ただ絵をポンと出しただけの作品は飽きられるのも早い。
今では基本的にセリフとストーリーのついたマンガ作品でないと上位どころか中上位に食い込むことも大変になってきています。
そういう場で戦うとき、「戦い方も全部商材屋さんに教えてもらう」というのは危ないです。
その時点で、「こんなに大変なのに売れないと思わなかった」になるオチが見えてしまいます。
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さらに危ない、丸コピー作品
売れないだけならまだいいのですが、新規参入サークルには「売れている作品を丸コピーした」マンガを出すところまで出てきています。
二次創作と言えるようなものではなく、いわゆるデッドコピーに近いものですね。
少なくとも3件、有名サークルさんのマンガのコマ割りやストーリーを丸パクリし(おそらく各コマの画像をi2iにかけ)、FANZAで売ろうとしたケースがあったと聞きます。
これらはサークルさん自身や、有志によって発見されFANZAに通報されました。
そして売り場から削除されました。
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はっきり言って、AI同人サークルの上位陣はかなり警戒心を強めています。
恐らくこうした丸パクリ作品が出た場合、これまで以上に早いタイミングで通報されるでしょう。
こうした手法でマンガをリリースした場合、FANZAから販売停止にされるのみならず、今後は民事裁判のリスクもあることを理解すべきと思います。
それくらい、こうした被害を受けたサークルさんは怒りを抱いています。
「i2iすれば元の画像の著作権はなくなる」などという怪しい説明を信じてはいけません。
裁判では著作物性・依拠性・類似性が問われますが、「i2iをかけたらそれらがゼロになる」などということはないのです。
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売れている作品を「換骨奪胎」するならまだしも、「丸パクリ」するような手法を広めている情報商材やグループがあったなら、速やかに距離を取ることをオススメします。
AI同人で色々な作品を作っていこう
私は12月くらいからクライアントワークばかりになってしまい、自分の作品を全然作れていなかったのですが……
ついにRTX 4080を手に入れて生成速度がメチャクチャ速くなりました。
これの元を取るためにも、色々AI同人マンガを作っていきたいと思っています!
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AIマンガを作るのに最低限必要なのは
いくらかのFANZAの調査(24時間ランキングしっかり見ましょう。ちなみにDLSiteはAIコーナーが隔離されているので割と絶望的……)
画像を出せる知識・技術(ローカルでも、オンラインサービスでもかまいません。叡智な絵を出せるならどれでも使いやすいものを)
セリフを入れられる知識・技術(クリスタはプロ向けですが、正直動作が重い。。。他のソフトも全然アリだと思います。最初のうちは本格的なコマ割りがないソフトでもいけますよ)
AIマンガを作るときに大事なのは
叡智な部分へのこだわり(メジャーな嗜好じゃなくてもいいですが、ちょっとマニアックすぎる場合はメジャーなのとセットにするのも○)
最低限のセリフ回しのこだわり(あー。あー。いくー。とか言われたら困ります)
豊かな表現(どのコマも似たような構図、全部こっち向いてる、表情の変化が少ない……とかありがち! 構図と視線と表情のタグは真っ先に覚えよう!)
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そして何より打席数、「出す作品の数」だと思います。
何がウケるのかは正直誰にもわからないところがありますし、初心者のうちは「作ることで学ぶ」部分がとても大きいです。
単純に作れば作るほど認知度が上がるのもあります。
Xではえっち系が拡散しづらくなり、pixivに来る人も減っていることを考えると、結局「FANZAの宣伝はFANZAで」みたいなことになっている現状があるのです。
実際AI同人でいい結果を出している人を見ると、実はどなたも体力やフットワークがすごいです。
シンプルに体を鍛えていたり、本業での働き方もガッツあふれていたり……!
(この出しまくる、っての一番自分がニガテなとこなんで改善したいですね……)
創作意欲をぶつけよう!
「AI嫌い」で作品を避けていた人も、AI同人のヒット作品が出るにつれてじわじわと減ってきています。
そういう人に、あなたの秘めた創作意欲と叡智な気持ちをぶつけていきましょう!
(AI同人ゲームも作りたいんですが、残念ながらFANZAではマンガのほうが人気がある印象なんですよね……1作品作るのに時間がかかるのもあって、「爆死」のリスクも高かったり。。。)