100回は読みたい佐藤正午作品について
岩波書店より、過去のエッセイ集が3巻連続で発売された。
読むことで、昔の作品のことを思い出したり、かなり心が掻き乱れている。過去と現在が交錯し、頭の中がとても忙しい。
「つまらないものですが」は、電子版になるのも待ちきれずに紙の本を買ってしまったものだから、パラパラめくっているうちに、なつかしい文章と出会いドッグイヤーだらけになってしまった。
読みたかったのは盛田隆二氏の「夜の果てまで」の文庫版の解説現実➖盛田隆二『夜の果てまで』だ。
待ち合わせのドーナツ屋で「マリ・クレール」に掲載されていた小説を読んでいた女性は、遅れて男性がやってきても小説を止めることができない。そうして結局二人でその小説を読む、という話なのだが、その雰囲気、雑誌の読み方、最後の小説のしまい方、ため息のつき方まですべての描写が映画のように美しく流れていてカッコいい。
ちなみに「マリ・クレール」に掲載されていたのは「夜の果てまで」の元となった短編、「舞い降りて重なる木の葉」である。
それから「舞い降りて重なる木の葉」が家にあるはずなので探した。
「マリ・クレール」掲載の短編のコピー。友人が某所でこの雑誌を見つけ、コピーして送ってくれたものだった。
のちほど検索して、盛田隆二氏の「きみがつらいのはまだあきらめてないから」という本に載っていることがわかった。あとでそちらを読んでみればいい。
それにしても。この「夜はての解説」は、これだけで100回読める。
「佐藤正午100回読めるリスト」に本日追加しました。
昔から20回も30回も読んだ佐藤正午の短編がいくつかあった。
この機会に読み返したくなり、書棚に向かっていろんなものを引っ張り出した。
読みたい本の埃を払い、読みたい箇所を探し出した。
今日はこれをやっていた1日。
ええ、幸せでした。
ちなみに今日読み返したものはこういう作品でした。
「水曜日の愛人」・・・携帯メール小説として小学館の「きらら」に連載されていた。月曜日の愛人から順番に話はあるのだけど、水曜日の愛人がわたしは一番好き。これは「佐藤正午教本」である「正午派」(小学館)に掲載されている。さっき読み返した。超超短編。
2.「愛の力を敬え」・・・NHKのドラマでも好評だった「身の上話」の元ネタになった短編。「人の物語」というアンソロジーに掲載されていて、これもやっと見つけ出し、さっき読み返した。
どこかに再掲されていたはずなのだが、と、またネットをうろうろ。
「ダンスホール」の文庫版に再掲されていることがわかった。
3.「鳩の撃退法」・・・村上春樹のコアなファンが、好きな作品は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」というのと、ちょっとニュアンスが似ているかもしれない。難解で不思議な世界で時系列が複雑で、読み返すたびに驚きがある。連載を含めて5回は読んでいるけれど、また時間がぽかんとあいたら読みたい。これ、上下巻なので長いです。
読み返してみると「今のわたしの中身をカタチ作っているもの」はかなりの確率で佐藤正午の小説の中にあったもののように思う。
軽やかさも、思い切りのよさも、それに伴う愚かさも。
本を読んでいる最中の感触は、降り積もっては溶けていく雪のようで、見えているようで見えていない。なのに、知らないうちにわたしの中にうっすらと積み重なっている。
ええ。なんか、今日は意味もなく興奮しています。
本ってほんとにすごいです!
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