レコードプレーヤーの話
その価格30万円也
これは2014年9月1日の話である。
今日はどうやら「防災の日」ということだった。日頃、防災グッツで大儲けしている弊社にとっては書き入れ時である。また、今はバーゲン中ともあって客も店員(主にバイト君)もヒートアップしている。いくら販売したところでバイト君の給料が増えるわけでもないのに、彼はなにゆえあんなに頑張るのか。そんなにしてまで。愚直というのも美徳の1つと言えば1つだが。
毎年恒例の商品
本来は模型・理化学担当の私は、なぜかこのバーゲンにおいてはオーディオシステムを販売しなければならなかった。しかも、レコード音源をパソコン不用でCDに焼けるという、かぎりなくバッタもんに近い商品だった。 どこからともなく集められたレコードをかけながら接客をするのだが、モノがモノだけに高齢者が殆どだ。美人など一人も来ない。 あてがわれたバイトさんが少し可愛らしい子だったことぐらいが救いである。 ジジイにUSBやらマイクロSDやらSDを説明しなければならない自分の運命を呪う。あるジジイに至っては「MD」を連呼するので、「それには対応していない」と言ったのだが、ジジイのいう「MD」は「ミニディスク」ではなく「マイクロSD」のことだった。そんなんわかるわけがない。
あくまで個人の見解です
上田正樹に飽きたので、ビリー・ジョエルを流す。ビリーはあまりに退屈すぎたけれども、ジョンとヨーコよりはマシだ。ジュリーが楽曲としてもっともまともだった。惜しむらくは、備品がシングルなので頻繁に針を操作しなければならなかった点だ。PYGというバンドでDEEP PURPLEなどのカバーをしていただけあって、ジュリーのB面はなかなかのハードロックだった。チェッカーズは今聴いてもゴミだった。 そういえば、高校の時に交際していた女子がチェッカーズのファンクラブに入っていた気がする。彼女はドアーズやルー・リードやキング・クリムゾンを聴いていたわりになぜチェッカーズだったのだろう。
そして日常はつづく
バーゲンもあと2日で終わる。決して安くもないし、大して良いものもないのに人が押し寄せる。人の行動はおよそ合理的とはほど遠く、行動経済学の見地から観察するとそれは興味深い。そして、そこに商機があるのだ。 商機云々!と言ったものの、私は別に実業家でもなければ上昇指向でもない。ただひたすらに息を吐いて吸うだけの存在である。たまには商機とか言ってみたかっただけである。 明日もジジイとの戦いが待っている。しかし、奴らは得てしてマニアぶったエセの連中である。本気のレコードマニアでない限り、私の知ったかぶりはなかやかの攻撃力を持つ。こんなこともあろうかと『レコードコレクターズ』を毎月読んでいて良かった。