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どうでもいい話(2022年 4月分)


(4)どうでもいい話

自分が書いた物語を露出するのに加え、「自分をさらけ出そう」とも考えている。
私は典型的な蠍座B型だ。基本性格は一部(美形・カリスマ等)を除き、まんまなので割愛。
BやらTやら+αやら、病気に人生の話だとか、そっち方面を語りたい。
この項目は笑読、は出来ないかもな…

遡れば思春期の頃から「平凡な人生をおくりたい」と、心から願っていた。だが、実際は願いとかけ離れていたように思う。
平々凡々な人生では無い。
「事実は小説より奇なり」とはいえ、裏を返せば「漫画・小説にはありがちなエピソード集」でもある。
途中ご気分が悪くなったらばスルーして下さい。

なあんて。アゲにアゲといて クッソつまらん話だったら、ごめんなさい。
自分の全てを落とし込んで書いている 今の小説、それに入れらんない(若しくは追記分)エピソードを語ります。
一応だけど、職場で経験談語ると大抵「自伝書けるね、読みたい」て言われる…井の中の蛙。たははw

大前提として、2022春 現在の私。

バツイチ、子無しの中年。ニャンコ五匹と共同生活中。
虫が嫌い。虫、虫め…マジで勘弁して欲しい。
母親には性癖カミングアウト済み。受け止めてはくれたが、理解は得ていない。
父親は疎遠なまま他界。

人生略歴

小学校 → 同性の親友1人、異性の友達複数。インドア派だけど外でも遊ぶ、明るく快活な子供であった。
中学校 → 自分が世界の中心に立っていない事に気づいた。馬鹿ばっかやって盛り上げ役に徹してた、黒歴史。
高校① → 滑り止めだった公立校に、うっかりトップで試験合格してたっぽい
この時の同性の親友3人とは今でも連んでる。二年でドロップアウト、黒歴史。
高校② → 高卒資格欲しさに自動車整備の私立に一年から入学。天国だったこの高校、マジで。
フリーター、社会人、異業種転身を経て、独り立ったつもりがスネかじりに戻っちゃった 自分が不甲斐なくて情けなくて堪らん。

ここから先は時系列では無く、語りたいとこから順不同でちまちま呟いていきます。

カミングアウトの件

私は母親が苦手だ。理由は追追。
昨年末、意を決して母親に「私はバイで、トランスジェンダー。出来ることなら、性転換したい」と伝えた。
母親の回答はアッサリしていた。
「アンタは そうじゃないかと思ってた」
たった一言。
世の中理解が進んだお陰か、私は恵まれている。

キッカケは十円ハゲ

昨年夏、円形脱毛症になった。誰の目に見える症状は初めてだったので、感動したのは内緒だ。
昨年秋、ハゲが目も当てられないほど広がってしまった。皮膚科で治療を受けたが、効果無し。
仕方なく免許証更新は着帽させてもらった。もう運転出来ないんだけど一応、身分証として。
円形脱毛症はメンタル関係無いらしいけど、検索する完全には関係無くなさそう…
メンタル、ズタボロだなぁ…
まず一番身近な母親に「私を分かってもらう」努力をしてみるか。
打ち明けただけ。皮膚科治療は受けず、結果今フサフサである。良かった。
今年春、反対側がハゲちゃったんだけどw

謹んでお悔やみ申し上げます。

年頭、立て続けに母方の祖母・祖父が亡くなった。
昨年、母親から祖父が癌だと聞かされた時、私は「じぃじのお葬式行けないかもしれない」と泣いてしまった。
体調のこともあるけれど、一番の理由は父親にある。葬儀中、恐らく私は狂ったように号泣するだろう。
私だけ、泣く理由が明らかに周りと違う。そんなの居た堪れないじゃないか。
それでも、祖母の葬儀は祖父に会えるラストチャンスかも…と思い直し、参列した。
案の定、蓋の空いた祖母の棺に寄ることも出来ず、式場の済で号泣して、骨を拾ってあげることすら出来なかった。
本当に申し訳ない。
祖父が私の名前を呼んで、強く握手してくれた。私よりもしっかりした武骨な掌は温かかった。

祖母を追うようにして、祖父も亡くなった。
参列したが私は祖母の時と同様で、本当に申し訳ない。
号泣する私の肩に、叔父が手を置いてくれた。私は「すみません、ごめんなさい」しか言えなかった。
帰省前、母親に「アンタの父ちゃんが亡くなってること、向こう(母方親族)には言ってないから」と口止めされた。
誰かに話て気持ちいい話でも無いし、聞く方は不快だし、主役はお向こうだし、喋るつもりなんか毛頭無かったけど、私は父について一言も喋らなかった。
謝る理由くらいは伝えたかったな。
姉2号は私の醜態を見て「おとんのトラウマか(笑)」と、困ったように呟いてた。

火葬場で突然、姉1号が火葬の思い出を喋り始めたので驚いた。
「私、火葬の(火をつける)ボタン押した事ある!」
うえ!?確かに、父の時…
「私が父を燃やしたの!?」
うええ!!?いやそんな、従兄弟に向かって大声で…
「ああ…押してたね。姉ちゃん、押してたよ」
としか言えない私。姉2号が「(私が)覚えてるんだぁ…」と呟いてた。
母ちゃん、口止めるんなら姉にもしといてよ!詰めが甘ぇんだよ!要らん汗かいたじゃんか!!
内心めちゃめちゃツッこんだ。

暗い話が続いちゃったので、楽しい想い出をば。

学校自体は無くなったぽいけど、だからこそ語れる。
高卒資格欲しさに大検受けるか、高校編入するか悩み、自動車整備系の私立3期生として高一からやり直しちゃった第二の高校生活。
「共学だけど男だけ」な学校にガチで3年間通ってた。
見渡せば可愛くてヤンチャな野郎共がわんさか。
校舎裏に灰皿設置されてたり、授業中 平気で猥談が始まる あの空気、大好きだった。
天国だよ、マジで。

同学年で最も年長だった私が近くに居たら喋りにくいかな、なんて気を使って皆と離れた所に居たけど。
同窓会あったら絶対参加するのに…
幹事やる奴 居ねぇなw

声を大にして叫ぶ。
「○ちゃん、○ちゃん」て慕ってくれたY君、お昼一緒してたK君、あとは ええと…顔は覚えてるぞ、野郎共!元気かー?落ち着いたかー?
お世話になったK先生、M先生、私は今こんなんなってまーす!
往復80kmキツかったけど、楽しい高校生活をありがとう♪

スクーリング 夏

平時は五科目の授業に整備実習だけど、年に数回イベントもあった。高校なので。
中でも一大イベントが年一回のスクーリング。本校のある北海道に3泊4日(だったかな?)泊まりがけで学びに行くのだ。学年により四季が異なる。
ぶっちゃけ、修学旅行だ。
一年夏は北海道でアウトドア。
初めて自分一人でテントを組んで、若干 虫に怯えながら迎えた夜。
小雨が降り始めた中、外が騒がしくなった。誰かがテントを破壊し始めた様だ。これ、通年行事らしい。
夏だけど、寒ぃじゃん北海道の屋外。お馬鹿だなぁ…
キャンプ場の隅っこ陣取って良かった。私のテントは被害を受けずに済んだ。
聞き耳立ててたら、誰かが叫びながら私のテントに向かってきたじゃないか。
「うわぁーん!俺、○ちゃんとこで寝るー!」
ドキリとした。この声、Y君だ。
「寝てるんだ!放っとけ!」
て先生が止めなかったら、何か起っきしてたかもね。あははw
甘酸っぱい青春の想い出でした。

愛車

アメリカン(単車)→スポーツセダン(車)→コンパクトカー(車)→カブ(原付)→原付…と、山なりに排気量が減少して行った愛車達を経て、今の愛車
✨シルバーカー✨
CO2排出 ゼロ!超エコ!
ご存知、じぃじ ばぁばの使用率最強、人力の手押し車である。
良いよ、コレ。お散歩楽しいよ。
「年寄り臭いから…」なあんて、渋っている そこのあなた。
スーパーのレジカゴ乗せるカートを、路上で押してる自分の姿を想像して下さい。
お分かり頂けるかしら。
歩行時に両手で掴める支え、体重かけてもへこたれない、(車種により)疲れちゃったら椅子に変身、道端が休憩スペースに!
杖より楽々

電車・バス・階段移動が苦手。
乗り降りは力技(手伝ってくれる方も多い)。バリアフリー化が進んでスロープやエレベーター増えているけど、凄い遠回りしないと辿り着けなかったり。
後、舗装されてない道なんかは弱点だけど…
市街の徒歩圏には絶好です♪
あのコがいるから、私お外に出れてる♪

またねえ、メンテが楽しいんですよ。オーバーホールして汚れを取ったり。
キャップ類は直ぐ取れちゃって無くなっちゃったけど、まぁ支障は無いwB品。
細かい部品(ワッシャー、ベアリング)等は代替品で済むけど、座面やタイヤ等パーツは個人で手に入るのかな?
下手したら新品買った方が安いかも??

そんな訳で、私のやりたい事その②
”車いす安全整備士”の資格を取る!
そんで、ご近所の じぃじ ばぁば宅に訪問して、お喋りしながらシルバーカーのメンテするのだ♪
絶対、楽しい。絶対、転職。
やりたくて堪らない…
資格取りに行けたら、なんだけどw

プチプラ自分磨き

最近どうにも人と会う機会が増え、マスク取らなきゃいけない場面なんかも有って。
何年ぶりだろう、手鏡でじっくり自分の顔を見てみた。
「…ブスだなぁ」
思わず嘆いちゃったよ。

近くに座ってた母親が
「そんなこと、無いよ」
言いながら、ちょっぴり目を逸らした。
ほらー。

私ブス、ドブス。
姉1号には「せっかく一家で一番の美人に生まれたのに」てボヤかれて…
あ、語弊が有るといかん。姉の言葉は身内贔屓の色眼鏡で、私は美人ではありません。
二十代の小綺麗にしていた頃で、なんとか十人並み。
でもね、良い事も起きてた。
「あれ?なんか睫毛 増えてる」
ビッシリ
数年間、アイメイクしなかったせいか睫毛の量が倍増してた。
パチパチまばたき してみて、もうちょい長さが欲しいな…西島○俊さん位、長かったら可愛いのに。
そんな訳で、早速Amaz○nさんへGO。睫毛が伸びる(らしい)怪しげな美容液を買ってみた。
ついでに、千円二千円位の美容グッズも幾つか。
ハイド○キノン(シミ消し)、腹筋ベルト、他

使い始めて一週間。
ちょっと下睫毛、伸びたかも…思い込みかな。
いつの間にか出来てた そばかす、加齢によるシミ、ちょっと薄くなったかも…気のせいかな。
この調子で20代 とはいかなくても、せめて対面した方に不快感を与えないレベルに戻したい。

最近の腹筋ベルトってバッタもんでも、ジェルやらパッドやら要らんくて、お水だけで良いなんて楽じゃない。
今日初めて、腰と背中に当ててみた。
レビューには「強くて痛すぎ」て書かれてて、怖々だったんだけど…
あッ
いや、あの…あのね。
別の意味で気持ち悦いくて…ヤバ。
続けられそう?

やりたい事 その③

ダイエット&筋力増強、です。
これ、気付かないうちに、半分 叶ってました。
年頭、目標体重まで あと5kg、だったんですが…
何か痩せたかも、と思い体重計に乗ったらば、目標体重キッカリではありませんか!
いつの間に!私 なんもしてない!
嬉しかったもので…差込。えへへ♪

現役時代は細っこくて、食っても呑んでも肥えなかった、私…(遠い目)
中年に差し掛かり 連日の呑み歩きか、寝たきりに不摂生が たたったのか、一気に30kg成長。
お米3袋ですよ。どうやって くっついたんですかね。
金欠で禁酒したせいか、昨年までには20kg減。
ここまで来たら、も少し落としたい。

目標を現役時代+5kgに設定。
したものの、思い当たるのは、タンパク質 を摂る意識をしたくらい??あと、野菜??
その他はお菓子とか平気で食ってた。ちょい呑みも再開したし。
とは言え(筋力については別途語りますが)、筋肉無いせいで、まだ ぽよぽよ。うーん…
追加 2、3kg 落として、体締めます♪

母親からの宿題

母親も私と同様、お買い物でゲットした品をひけらかすのが趣味だ。
興味示さなくても、帰宅速攻マイバッグから全部出して、お店開きながら一個一個 説明しないと気が済まない。周りの状況踏まえないからタチが悪い。
眼鏡掛けてないから、見えてません。
言わないと、気付かない。
基本的に母親とは趣味が合わない。晩御飯のおかず、リピートの消耗品etc…興味無い。
時々いいね、て思うものも存在するので、一応 話は聞く。
直近だと、百均の「らくがきブック」
絵の外枠だけ印刷されてて、好きな絵を書き込めるやつ。
書店で買えば千円位する品が、100円だなんて素晴らしい。
久々ドンピシャだったので「面白ーい!やりたーい!」
なんて、私のテンション爆上がり。
それが いけなかった。
翌日、座卓の上に置き去りにされていた、らくがきブック。
あんなに盛り上がったのに、母ちゃん忘れて帰っちゃったんだな。なんて思いつつ、面倒なんで放置してたんだけど…
表紙に付箋が貼られていることに気付いた。

『 来月まで
遊んでいいよー。
できれば、
各ページ 一ヶずつの
お手本を書いて下さい。』
……
無茶 言うな。

線維筋痛症と私①

「私は、線維筋痛症です」て言うと、「何ソレ?」てなります。
意外と知れ渡ってないんだな。
レ○ィー・ガ○さんや、八○ 亜○子さんも襲われてしまった、正体不明の疼痛です。

痛いです。

常に痛いので、痛いとしか言えません。
今だって痛いです。
手甲に背中、針のむしろ

私の最大の敵は、自分の体です。
自分自身と激戦を繰り広げている真っ最中です。

痛みになんか、負けないぞ こんちくしょうめ!!
絶対、負けないんだから!!
ふぇーん(泣)

四半世紀 から 折り返し地点

中学校の頃、何かの授業で「今後十年の人生設計」を組みました。
内容は忘れてしまったけれど、当時の自分が掲げた人生は歩んでいません。
強く思ったのは「長生きしたくねぇな」です。
とりあえず、キリ良く
「25歳、死亡」
と書いて、先生にこっぴどく怒られましたw

実際は運良く生き延び、今現在に至ります(中身は追追)が、25歳を過ぎた時、非常に困りました。

ええー…これから、どうしよ…

計画通りに進んでいない上に、先の人生がブランク(空白)なんです。
「早死にたい」思いは強く、自分で決着も着けられず。
困り果てた自分は、不健康を取り入れ始めます。
苦しんでいる方々には大変申し訳ないのですが「病気とか癌とかで死なないかな…」と思いまして…浅はかですね。

私、なんか丈夫みたい。

酒・煙草は勿論、薬の過剰摂取なんかザラ。※マネしちゃダメですよ※
不健康な生活を続けたところで、死にません。ちょっとや そっとじゃ死にません。

苦しいだけ、です。

なので、健康志向にシフトチェンジしました。

自分が行えることは少ないけれど、考えれば中年「人生の折り返し地点」なんです。
何事も起こらなければ、今まで自分が歩んできた時間と同じ位、人生残ってるんです。
まだまだ長い。だったら、少しでも「楽に生きたい」強く思い。

線維筋痛症と私②

一体どれほど痛いのか。
痛みの度合い、て なかなか他者に伝わらない…
一応、医学的には10段階で表すらしいのですが、私は いまいちピンときません。
その上、波もあるので一日中 同じ度合い、て訳でもありません。
なので、自分の中では3段階に簡略化してます。ご参考までに。

Lv0→ 痺れ、倦怠感等の諸症状
Lv1 → 地味に痛い (皮下2cmの火傷のような痛み)
Lv2 → 普通に痛い (剣山を刺されたような痛み)
Lv3 → マジで痛い (五寸釘 打ち付けられてるような痛み)

私の場合ですが、リリカ(メインの痛み止)一日辺りの処方上限MAX、他諸々。

Lv0でも何かしら不具合が発生してます。
Lv1はギリ耐えつつ、動けます。
Lv2で薬飲んでんのか飲んでないのか分かんなくなります。
Lv3では横になってられない、けど動けない。

色々お薬飲んでるので、怪我なんかしちゃうと、今以上痛み止めが貰えないケースもしばしば。
困っちゃいますね、本当に。
誰かに分かって貰いたくはありますが「大丈夫?」と過度に心配されるのは、自分が負けてる気がして嫌なんだ。
面倒くさいですね、自分。
自分の中で 痛みと戦ってる真っ最中は、他の方への配慮も減ってしまいます。
この辺は、流石にどうにかしたいんだよなぁ…
まだまだ試行錯誤です。

心のゆとり

私は、“心の残量”を「コップの水」だと考えてます(何かで読んだのかな?)
コップに お水を注いで、水平線より上の空気が、心のゆとり。
お水は、仕事や家事や何やらのストレス等、疲弊した心。

私の心って、結構 表面張力ギリギリ だったんですよ。
ちょっとの刺激で溢れてしまう。

溢れた お水は、泣いたり喚いたりキレたり、堰を切ったようで、自分でも収集つけられません。
この話、前に母姉にしたはずなんですが、先日 母親からラインで
「アンタは すぐキレて、話が出来ない」
と、言われました。実際、自分でも そう思います。

細い話は追追ですが、今は 凄く穏やかです。
「病気を治す」から「病気と付き合う」にシフトしたから、かも知れません。
前は「治さなきゃいけないんだ」て思い込んで、なのに、なにかしら行動する事が出来ない自分に、いらだちを覚えていました。
今は「まあ、治らんでも やれることはあるか」て開き直ってる状態ですねw
ぶっちゃけトークも、効いているのかなw

悪運だけは強かった(過去形)

昔から目前で発生した、事件・事故の目撃 及び通報者になることは数あれど、
自分が被害者に回るだなんて考えもしてなかった、二十代半ば。

痴漢に遭いました。
電車内とかのじゃなくて、屋外で引っ倒されるやつ。

立て続けに2回。
世の中には物好きが居るものですね。

痴漢とコート①

確か普通のビジネススーツに、買ったばかりの薄手のコートを羽織っただけの、平々凡々な いでたち だったと思う。
仕事上がり さっさとネクタイ外して、繁華街から大通り沿いに帰宅途中、何やら背後に気配を感じた。
…あれ?ひょっとして、つけられてる?
振り返るも、他に歩行者も居て、判別 出来ない。
持ち前の被害妄想か。なんて思って気にしない事にした。

でも、やっぱ5m程 後方に、ずうっと誰かが つけて来てる気配がする。
大通り沿いだし、車も通るし、人通りあるし、平気だろ。
煙草くわえて火を点けて、交差点を曲がり ハッとした。

ヤベ、墓地じゃん…

道は真っ暗、家迄100mは残ってる。

走れるか?この距離…微妙だな。
全力ダッシュなんて数年してない。気のせいかもだし…

考え始めたのが、いけなかった。

突如 背後の気配が、ダダダダダダッと、走り始めた。

瞬間的に、刺されるッッ!!

と、身構えた。完全に、後手後手だ。

ドオンッ、ズザザッ、全身に衝撃が走り、視界が回った。
自分の身に何が起きたのか、分からなかった。

気付くと、私は 誰かの上に仰向けに倒れていた。
右手で口を塞がれ、左腕でホールドされて。

え!?何事!!?

とりあえず、疝痛は無い。刺されては無いようだけど…

チラリ見れば、黒い目出し帽。

ええー…?

服装も上下、黒。どう見ても犯罪者。

私の両手は空いてた。
立位で背後から抱きつかれたならば、バンザイする型で抜けられただろうに、惜しいことに右肩が抜け、私の体は犯人の上に寝そべっている。

無理、抜けられない。
股間も蹴り上げられない。

煙草の火を目に突きつけるか、股間を握り潰して、怯んだ隙に 家まで駆けるか?

無理、走り切れる距離じゃ無い。

葛藤の末、私はその場に煙草を捨てて、押さえられた口をどうにか解放しようと、犯人の腕を掴んだ。

「おっぱい、触らせて」

はああ!!?

犯人の左手が、ワイシャツの中に入りかけたので、咄嗟に掴んで止めた。
こういう犯罪者、て性交を求めるんじゃ無いんですか??

胸は嫌!胸だけは嫌!!

よくわかんない思考に囚われ、絶対に乳首だけは触らせるもんか、と必死な私。
犯人の腕力と、当時の私の腕力は 拮抗しており、剥がせないけど、ギリギリ止められていた。
身動きとれない この局面、どうしたらいい。

まずは、助けを呼ばなければ…

「むむむむーん、むむ、むみむむん。(すみませーん、息、出来ません。)」

話掛けると、犯人の掌が少し浮いた。
その隙に、私は叫ぶ。

「だッッむぐう…」

即座に再び、塞がれた私の口。

ですよねー…弱ったな。

こういう時の自分の冷静さって、なんなんですかね。

いや もうアンタ、ガチガチじゃん。おっぱいに こだわってんじゃねぇよ…て、思ってたのは内緒だ。

結局、私は「叫ばない」事を約束し 犯人と会話を試み、説得した。
腕の力は抜かずに 攻防しつつ、小一時間、人生について語った。
「絶対 通報しないので」嘘八百である。私も身を守る嘘はつく。

とても 聞き分けの良い 犯人、であった。
むこうも収穫無い 上に 説教されて、疲れちゃったのかな。
解放されて、ちょっと ヨロけた私に手を貸してくれちゃったり、目出し帽で無けりゃ王子様…

「じゃあ、お互い反対方向へ歩きましょう」

犯人も私の指示に、素直に従っちゃったり。
いい人なのかも

…私に優しくしたらダメ。理由は追追。
行くとこ行きゃぁ居るのに…なんて思いながら、犯人の背中を見えなくなるまで見送って。

それは それ、これは これ。

信号が赤になるや、クルッと振り返り、パカッと携帯開いて、即、通報。

「痴漢に遭いました!!」

事情を説明しながら、家までダッシュ。

つけられてないか 辺りを見回し、家に飛び込み施錠して、
戸締り全部 確認して、
サイレン聴こえるまで、玄関で待機。

呼鈴 鳴るや、ガチャッと戸を開いて、驚いた。
警察の方々が、ズラッと5人 はいらっしゃってた。

え、多くない…??

今迄こんな沢山 駆けつけて下さったの見た時 無い。ビビる。
通りには、原付・パトカー・覆面まで停まってて。

私、何か悪いことしましたか?

もうね、連行されちゃう、犯人の気分。

現場検証は、煙草の吸殻 目印にスムーズに進んだんだけど、間で原付 追加到着して、凄い 大所帯。

私、結局 乳首 触られてないんだけど…

ええ、凄い言い出し にくい空気。

犯人の特徴「全身黒の目出し帽」と、痴漢の行為「胸の、辺りを触った」を伝えて、覆面に乗せられた。
初めて見る覆面の内装にワクワクしたのは、内緒だ。

同乗した警官の方が、カウンセラーの如く尋ねてくる。
「本当は、何をされましたか?」
「胸の、辺りを触られました」
としか、言えません。

何だか、ほぼ何もされていない自分が、申し訳なかった。
かなり親身に尋ねて下さったけど、本当に、入口しか触れてません。

拘束時間も軽く数時間あり、
いっそ無駄な抵抗しないで サクッと触らせときゃあ、早く済んだのでは…
なんて、ダメダメな事 考えてた、私。

この後は、笑い話。
当時のパートナーが、野次馬に来たのだ。私は彼の姿を見て 内心ホッとしたのだけど…
ババッと、警官の方々が、私を中心に布陣した。

え、何事!?

警官の方々は、私を守るように前方を にらみすえている。
よくよく見れば、彼はジャージの上下、黒。

お分かりですね。
今となっては、笑い話w

翌日、私は眠かったけど定刻通り出勤した。肌寒かった。
買ったばかりのコート、路面に擦り付き 汚れまくり、着れる状態では無くて…

私は助かり、コートはおしゃかに。

警察関係の皆様には、大変お世話になりました。御礼申し上げます。
犯人が捕まったら「コート、弁償しろ」と言ってやりたい。

痴漢とコート②

呑み会のお誘いにルンルンで おめかし。お化粧して、ミニスカ履いて、防寒にパンストまで履いて、おろしたてのロングコートを羽織った。
上々の仕上がりに、テンション アゲアゲ。そういう日は、羽目を外しやすい ものである。

終電だったが、皆 同駅で解散だと言うので、私も下車。
最寄駅一つ手前ではあったが、歩けない距離ではない。
ちょっと呑み過ぎたし 歩いて酔いを醒まそう、そう思い、私は皆と別れ一人歩きだした。

ブーツのヒールをカッカと鳴らし闊歩しているつもりだが、傍から見れば 千鳥足。

初めて通る道、初めて見る景色。何となく家の方向に向かって歩いていた。

ええと…ここは、どこだ…??

気付けば周りは住宅地。迷路のような袋小路を右往左往し、抜け出せないでいた。

ええん、おうち帰って早く寝たいよー(泣)

いい大人が迷子である。
その上、酔いが醒めるどころか、徒歩による上下動により ますます酔いが深くなる。
酩酊状態に陥り、気持ち悪い…

住宅の間に、ぽかんと開いた空き地が在った。
砂場の山に、ショベルカー。
間口からして新築住宅の基礎工事現場だ。街灯も遠く、その一体だけ 妙に暗い。

なんか、嫌な予感がする…

虫の知らせ というものか。
しかし、私は再び、 持ち前の被害妄想だろう、と自分の直感を無視して歩き続けた。
酩酊していて周囲の気配など感じ取れない。

ドオンッと衝撃を受け、グルンッと天地がひっくり返った。
自分の身に何が起きたのか、さっぱり分からない。

グラグラと揺れる視界を、どうにか見渡すと、私は工事現場の砂山に倒れて いるようだった。

え…何事…??

転んだにしては空き地の入口が遠い。
横向きに倒れた私の背中が、妙に温い。まるで背中に誰かが抱きついているようだ。

とろん と振り返ると、知らない男。

ブリーチで褪せた髪、ニットキャップ、サングラスにマスク。

ええと…どちら様でしょう…??

服装も上下、黒。どう見ても犯罪者。

──またかよ!!!

瞬間的に自分を取り戻した。

とは言え、体当たりされた衝撃で吐き気がピークに達し、戻しそうな自分の口を両手で抑えた。折角 両手が空いていたのに、自分で使ってしまったのだ。
体を捻って藻掻くも、酔いのせいで力がこもらず、全く抜け出せない。
犯人がのぞき込む。

「キス させて」

はあぁ!!?

私、今それどころじゃない。

犯人はマスクを下ろし、私の口に当てた掌を剥がそうとする。
いや だから、何でこうピンポイントな嗜好の輩に当たるかな!!と 思ってたのは、内緒だ。

吐き戻しそうで叫べもしない。
吐瀉物をかけて 怯ませてやってもいいが、走って逃げれる気がしない。

あー…マジどうしよ…

途方に暮れた私は、再び、犯人と会話を試みた。

「すみません…吐きそうなんで、離して下さい…」

すると どうだろう。犯人が私から腕を離したのだ。

やったー…!

と 思うまもなく、猛烈な吐き気に襲われた。私は這うように犯人から離れ、砂山の隅で嘔吐した。

しゃがみ込んだ姿勢の私は、隙だらけだ。

しかも、うっかりしたことに、私はコの地の現場の奥に向かって這っていたのだ。
私と出口の間に犯人。

近づいてくる犯人に、私は為す術もない。
嘔吐も止まる気配が無い。
夢中で ぶちまけていた私の横に、犯人も しゃがみ込む。

ちょっと…何してんの…

なんと、犯人が私の背をさすり始めたのだ。

介抱してくれるつもり なんだろうか。ひょっとして、いい人なのかも…

「車 停めてあるから、送ってあげる」

車はダメー!!!

狭い密室に犯人と二人きりなんて、何さるたもんだか、分かったものじゃない。殺されたって おかしくない。
自力で立ち上がる力も無く、犯人に肩を抱かれ 押されるがまま。

絶体絶命の この局地、どう乗り切ればいい??

ズリズリと押されながら路地を曲がると、正面に自販機の明かりが見えた。
まずは血中アルコール濃度を下げて、思考できる頭にならなくては…

「お茶、飲みたい…」

私の申し出に、犯人は自販機まで誘導してくれた。
ガコッと落ちたペットボトルを拾い、

取り出し口に しゃがんだまま、ゴッキュゴッキュと お茶を流し入れた。
その間も犯人は、私の肩を離さない。

天の助け…!!

帰宅の遅いサラリーマンの姿が見えた。お茶飲んでる場合じゃない。

「すみませーん、この人、痴漢なんでーす」
「あはは、この子、酔っ払ってて」

犯人の “勝ち” である。

朦朧とした意識の中、黒っぽいセダン(車)まで連れてこられ、助手席に押し込まれた。
犯人が安心材料として名刺を渡してきた。

こんな紙切れ、何の身分証にも なりはしない。

そうは思ったが、私は霞む目で懸命に名刺を見続けた。

あー…こうなったら 適当に家の方向に走らせて、離れた所で降りよ…

現場から さほど離れていなかった。5分程で知っている開けた道に出たのだ。
犯人も運転のためサングラスを外したし、顔も見れたし、「ここまでで。ありがとうございました」停車してもらい、降りようとした。
だが、ドアロックが施錠され 助手席からでは開けられない。

ですよねー…弱ったな。

犯人もじっと動かず、何かをしてくる気配は無い。どうしたものか、葛藤していたのだろう。
仕方ないので、再び、私は犯人とお喋りタイムだ。というか、喋ってないと意識が途切れそうだった。

ええん、おうち帰って早く寝たいよー…ていうか、おしっこしたい(泣)

随分と長いこと喋ってた気がする。

──ハッ!!!……あれ???

気づいた時、私は自宅の玄関の中に立っていた。いつの間に帰ってきたのだろう。
ブーツ脱いで家に上がり、異変を感じた。

…なんで、腰履きのパンスト、片足脱げてんだろう。

夜はしらばみ、明け方だ。私の帰宅を心配した、当時のパートナーが出迎えてくれたのを覚えてる。

翌朝、ガバッと布団から飛び起きた私は、頭を抱えた。
痴漢に遭い、車に乗っていた ところまでは覚えているが、どうやって家に帰ってきたのか、思い出せない。

ヤベエ…何が起きた??

どんなに深酒しても意識は はっきりしている私。
この時、初めて酒により記憶を失った。
しかも酷い二日酔い。

現状を把握せねば…

混乱した頭のまま、顔を合わせた彼に「帰ってきた時、何か言ってた?」と尋ねた。
彼は ものすごく引いた顔で私に告げる。

「なんか…“いい痴漢”だった、て言ってた…」

私の馬鹿ー!!!

いい て どっちの意味ですか!? 善い ですか!? 快い ですか!!?
どちらの意味でもアホ発言。

ヤバヤバヤバ…なんかやらかしてる…絶対なんか やらかしてる、私!!

目を閉じると、薄らぼんやり 知らないおいなりさん が視える気がするのは、話を聞いて 捏造された記憶だろうか??

彼が「通報する」と言ったけど、仕事行かなきゃだし、私は もう少し記憶が戻るのを待つことにした。
前回以上に「記憶にございません!」と、しどろもどろする自分の未来が視える…
持たされたはずの名刺も無ければ、肝心の現場すら分からない。残っているのは、砂まみれになった、おろしたてのコート のみ。

気に入って買ったのに…

次の休みに、現場が どこだったか探し当ててから、通報しよう。そう思った。
二日酔いに耐えつつ 仕事に行き、自分の記憶を反芻しては、抜けた部分が思い出せず…
なんとなく、自分から跨っちゃった気がするのは、捏造された記憶だろうか…???
空白の時間が、凄く怖かった。

休憩中に知らない人間からメールが届いた。
短い本文は忘れてしまったけど、画像が添付されていた。
画質は悪く、薄暗い車内で、不思議そうにカメラを覗き込んでいる、私の姿が写っていた。

キモ。

と思い、即効削除してしまったんだが、よくよく考えれば、犯人に直接繋がる重要な手懸かりである。後悔拭いされない。

私、いつの間に犯人とメアド交換したんだ…

もちろん、即効 引っ越しましたよ。

痴漢とコート①② 追記

小生の身の上話 故、うっかり“どうでもいい”に含んでしまいましたが、正直“どうでもよくない”です。
たまたま“会話が成り立つ”犯人だった、というだけの話。

皆様におかれましては
僅かでも身に危険を感じたら、勇気を持って、どこかに逃げ込んで下さい。
勘は当たります。

悪い事を くわだてている諸君。勇気を持って、行くとこ行って、気を鎮めて下さい。
通報されますよ。

助けを求める人を見かけたら、勇気を持って、少しでも話を聞いてあげて下さい。

皆様の勇気有る行動が、事件を未然に防ぐことに繋がりますように。

今一度、犯人ら に告ぐ。
「コート、弁償しろ」

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