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どうでもいい話(2023年 12月分)


シーン・ビジネス(29)

自分より上に店舗の “長” が来るとなると、かなり仕事面では楽になるな~。

なんて思ったら、大間違いである。

私は常々 “人の上には立てる人間では無い” と思っている(現在進行形で)。

それでも環境的に許されない状況に陥り、文面上 “部下” と書く時は有れど、部下を部下とは思っていない。

“同僚” 若しくは “戦友” だ。

ならば役職付きの私に出来ることは何だろう?

スタッフみんなが働き易い環境を整える事、みんなの支えになる事、土台になる事。

“縁の下の力持ち”

私が選んだ、一番しっくりくる自分の遣い方である。

適材適所、意識を一番下に置くことで、自分の在り方・動き方が ようやく視える。

これはあくまでも、私個人の “矜恃”

──なんやが。

これまでも 課長→自分→スタッフ の中間管理職だったんだから、部長→店長→自分→スタッフ の図式になろうと、大差ない 若しくは 楽になると思うだろ。

そんなものは ただの理想論だ。

確かに館の店長会や月報なんかは半分になった。
だが、店長・副店お互い兼務なんだから片側はやらなきゃならん…てか、やらざるを得ない訳で。

私の “勉強” の為──ていうのも、ただの後付けで。

ううん、書きにくいな…
ズバッと言おう。

X店長は接客以外の管理能力が低かった。

当然、接客以外は完璧にこなしたい私には気になり過ぎて気になり過ぎて、一応 引き継ぎで教えはしたものの、全部 私がやっちゃう事に。

だって「やって下さい」て言う前に、自分でやっちゃえば終わるんだもん。

せいぜい、部長→店長 になったから部長と会話しなくて良いんだ~、くらいに思っていたんやが。

──それすらも叶わん訳。

エリア周りで店舗に来るとX店長が拉致られた後は必ず「部長が呼んでる、喫茶店で待ってるよ」って入れ替わりに呼び出されんだ。

えー… ヤダ。

もの凄~く、行きたくない。

「X店長はさ、接客は出来るんだけど、レイアウトとか店舗造りとか事務系も苦手なんだよね~。
その点○○さんは、そっち方面得意だからさ、サポートしてあげてよ」

先月 聞いてた話と、違いますけど。

「あとね、兼務シフトも組んだこと無いらしいから、教えてあげてね」

結局、やる事は店長職と変わらないんだな。
むしろ何をやるでも、いちいち許可取りしなくちゃならんくて、自分が長より よっぽど面倒臭い。

何より面倒臭いのが…

「X店長のメイン所属はI店だから、I店のシフト多めにしておいて」

部長の こういうところ。

お気付きかな?
つい さっき小一時間、部長とX店長はミーティングしてんだよ?
それはX店長に直接、言えただろ。

部長は部長で自分より年上の部下経験少ないし、付き合い長い私の方が言い易いんだ。

また厄介なのが、X店長が私には指導をしない事。

「言葉遣い、直されたんだけど」

20代スタッフらから相次いで愚痴られた。

「何直されたの?」

「『お釣りが○○円になります』の“なります”。日本語的に おかしいから直せ、って」

あ、あー…ぁあ?

一時期コンビニで流行った接客とんち であるが、間違ってると気にする お客様も多い。

なる=成り代わる

お釣り=返す物
レシート=渡す物

いずれも成り代わってはならん物。

自分で言ってて意味分かんなくなるんだけど。

だってさ、計算式だと「なる(なり)」使うじゃん。
1足す1は2に なる、て。言わない?

だから「800円の商品をお買い上げ頂き、1000円お預かりしたので、お釣りは200円になります」て…ならないの…か…???

“なる(なり)” には意味が有り過ぎる。

学校教育なんて高二で止まってるんだ、私に国語を語らせてはならんよ(遠い目)。

そういう話はメディアなんかで観た時有るけど、考えると盛大に?が飛んで訳分からんくなるから「そう思う方も居るんだな~」程度にしか捉えていなかった。

返却する釣り銭無くレジから排出されたレシート単体で「レシートの “お返し” です」が、間違ってるのは流石に分かるけど。

「私も『なります』言っちゃうけど…てか、X店長の前で めっちゃ『なります』言っちゃってるけど、何も注意されてないよ」

「嘘ぉ!?」

マジで。
一度も接客面で注意受けた時は、無い。後にも先にも。

「『なります』じゃなくて『ございます』って言えって」

ございます、かぁ…

「それはまた仰々しいね。言い難いし普通に『です』切りで良いんじゃないかな。私も “なります敬語” には気を付けるよ」

こうして、私は自発的に “なります敬語” から卒業を決めた。

だが、いざ止めようと思っても長年の言葉遣いは変えられん。

お釣り“です”、お釣り“です”、お釣り“です”…

何十回もイメトレして、ようやく「お釣り“です”」て言えるようになったのは、話を聞いてから三営業日後だったかな。

良かった、言えた~(安堵) ✨

と、内心 喜んだんやが。

「ご試着室は こちらに なります…」

お客様をご案内中、商品片手に試着室のドアを開いた瞬間、フリーズしてしまった。

んんん…???

いつも言っちゃってたけど、この “なります” は大丈夫なの…か???

「…あの…?」

「──あ!失礼致しました!ご用意致しますので、少々お待ち下さい♪」

お客様に引き戻され、現実に戻って来れた。

こちらに “なります” …

この場合の “なる” はルートの経緯を指すから、間違ってはないのでは…
いやいや分からん…どっちだ???

商品の畳を開いてボタンを外しつつ、頭の中は自力では得れぬ正解を求めてフルマラソン。

どこまで “なります” を使って良いのか、さっぱり分からん。

一度悩み出すと混沌に陥るよ、マジで(遠い目)

分からん時は、“なります” には “です” に言い換えられる言葉が多いから、“です” にしちゃった方が無難だよ。

秘書検、とろうかな。

そう思って少し参考書を読んだけど、“なります” の正解も分からなければ とりに行く時間も無かったので、未だに持ってないんだけど。

X店長が赴任した初月、いつも通りスタッフには早めに希望休を出してもらい、25日前の勉強デーに兼務シフトを組んでもらうことにした。

スタッフの希望勤務時間と労働時間を口頭で伝える。

空の兼務シフト表を印刷しX店長に軽く説明し、覗いてたら邪魔だろうと思い、店内作業に離れる。

──小一時間後。

カウンターに両肘を付きボールペンを握り締め、X店長はシフト表を睨んでいた。

…白。

「何か分からないこと有ります…?」

「ううん、大丈夫だよ!」

コレ絶対、大丈ばないヤツだ。

何より気になるのは、営業中だというのにカウンターに両肘着いて全く顔を上げない姿。

私が店内に居るからかもだけど…

「大丈夫なら、休憩行ってきます」

「いってらっしゃーい」

良いのか、コレ…???
独りになったら流石に、店内気にするよな…???

見送りすら顔を上げずモヤッとするけど、モタモタしてると店長の休憩も押してしまうから、私は休憩を取りに店を出た。

…うぅ~ん、昔「シフト組むなら喫茶店に行っても良い」て課長に聞いたけど、X店長にも そうしてもらった方が良いかな。

次は提案しよう、と考えながら一時間後、店舗に戻って愕然とした。

──X店長の姿勢、全く変わってない。

「ただいま戻りました…」

「おかえりなさい」

「どんな感じスか…!!!」

カウンターに広げられたシフト表を覗き込むと、書き込まれていたのはX店長の行のみ。

──ダメだ、この人!スタッフより自分主体で考えちゃう人だ!

「難しいね、兼務シフト」

それはね、制限多い方から順に埋めていかないからだよ。
一番自由の利く自分を先に埋めちゃったら、そりゃあシフトも回らないさ。

この人にシフト任せたら、ダメだ。

「──良ければ、私がシフト組みましょうか?」

「ホント!? じゃあ、お願い!!」

という経緯でね、私がシフトも見る事になりました。

仕事自体は増えるけどシフト組むの好きだから、奪い返せて良かったとも思う。

──店舗が二つ、店長との擦り合わせ日(勉強デー)を設けて…ううん、月イチか二しか被せられん。

仮シフトを ちゃちゃっと組んで、同日中にX店長に確認してもらう。

「え~、こんなにI店入らないとダメなの?C店多めにして欲しいんだけど。I店3日くらいにしてよ」

──は?

「X店長のメイン所属はI店だから、出勤日の半数はI店に居てもらわないと困ります」

私だってなぁ、徒歩圏なんだからI店多めにしたいわ。
だけど副だからX店長に譲らなきゃなんだから。

郊外から出てくるX店長は、閉店時間短いC店の方が都合が良いと言う。
双方の思惑は同じとて、会社のルールは守らねば。

「兼務で副店居る店は、サブの方3日も行かないって、他の店長から聞いたよ」

確かにな、そういう店舗も有るけどな。

「X店長のサブはC店という事になりますが、それでも減らしますか?」

「え?…ぇえ~、そうなるの?」

出勤日の半数+一日。これでも最大限譲歩してるんだ。
私だって月半分もC店行きたくない。

「私てっきり、C店を私が見て、I店を○○さんが見るんだと思ってたんだけど」

「それじゃあ 二人とも兼務の意味、無いじゃないスか。私の勉強にならないでしょ」

「え、勉強?? 何の話??」

──は?まさか、聞いてなかったのか?

ぶっちゃけ、私が説明するのは はばかられる。
これは流石に、辞令を出した上役に説明してもらわないと…

なんやが。

「私『X店長から接客を学べ』って部長から言われてるんスよ。なんなら部長に聞いて下さい」

「あ。そういう話だったの」

なんかこう、スルッといかん。

私が組んだ仮シフトを部長にメールしてOKが出た。

「あ~、○○さんがシフト組むなら安心だ~♪不安だったんだよね~、正直」

なんてね、Mさんは喜んでくれましたよ。

次の部長とのミーティングで、早速お小言が始まった。

「○○さん、X店長も少しI店増やせないの?自分がI店入りたいからって」

何を言い出すか、この鬼は──!?

確かに私がI店入りたいのは間違ってないけど…間違ってないけど!!!

「X店長は『家が近いC店にメインで入りたい』て要望なんス。なんなら本人に聞いて下さい。ていうか、もっとI店に入るように部長が説得して下さい。これでも私は最大限、両者の言い分をシフトに反映させてます」

自分の首を絞めてるって分かってるけど、私だって引き下がれない。

「ホントぉ~?? 確認して嘘だったら容赦しないからね」

その言葉、まるっと そのまま返却しよう。そして私は容赦しない。

こうしてね、最初の頃こそ難癖付けられたけどね、以降 言われなかったから X店長とも話したんだと思う。

月に一度の勉強デー。

「ラスイチのコート、売れたんスね!」

色味も強くSサイズだったから万民受けしないし、最悪 私が買い取ろうかと考えていた。

「サイズ的に小さくって前が閉まらなかったんだけどね『羽織として使えば良いんですよ』って言ったら、買って貰えた♪」

う──
これから真冬になるんだぞ?寒くなっていくんだぞ?前が閉まらなかったら凍えるじゃんか。
絶対 タンスの肥やし確定だぞ、最悪 返品されるぞ、そんなアコギな売り方で、大丈夫なのか???

要は、無理くり売りつけたって話。

販売員には二通りあって、

お客様の必要じゃない商品を売りつけて「良いのかな…」と苦痛に感じる、充足第一主義。

何であろうと お客様の買い物を後押しして「良かった♪」と感じる、売上第一主義。

完全に前者の私が目指す販売員と、X店長は真逆のタイプ。

接客面でも得られるものは少なくって、私の接客嫌いに拍車が掛かるだけだった。

何より困るのが──

平気でカウンターに両肘着いて話し込む事。

ひょっとしたら私以外のスタッフの前では やらない姿勢かもしれないけれど、営業中に平気で店頭でガラケー開いてゲーム招待してくる人間に話合わせるのもツライ。

「あ、最初の招待じゃないから招待ボーナス付かないのか…ううむ…そうだ!一回脱退して、もう一度会員登録しよう!」

「え、いや!? そこまでしなくて良いッスよ!!」

そんなボーナス要らんから、早く携帯 しまって欲しい(号泣)!!!

「い~から、い~から!この垢も何個か目だし!…ぇえっと、どうやんだっけ…???」

いや、脱退までしても即再始動したら、多分 招待ボーナス貰えないし…

言っても聞かないんで どうにか私は忙しなく店頭ウロウロ。
お客様に せめてゲームの話をしているとは悟られないよう、するしか出来ない。

は、はやく招待し終わってくれ~(泣)

気が気じゃない。

結局、招待ボーナスも貰えなかったしね、何だったんだろうね、あの時間(遠い目)

よく分からんがX店長は気に入ってくれたんだか、しょっちゅう呑みに誘ってくれて。サシで。

──目の底が笑ってないのが怖い。

どこぞのタヌキと同じ貼り付けたような笑顔の この人は、どうにも苦手でならない訳。

(30)に続く──

記憶力が暴走してた時期

現役時代の一時期、一日にあった勤務中の他愛無い会話を帰宅途中に思い返すようになった。

最初の頃は3~4個の短い出来事を反芻してただけだったけど、同じ出来事を何度も何度も眠りに就くまで思い出し続ける。

地味に厄介であったが、頭はいつも回転してるものだったから、まぁ特に気にもとめていなかった。

それを放置していたら──

勤務終了直後から、出勤した時に巻き戻り、丸っと一日を振り返るようになっていった。

一日の思い出しが終了すると、また始まりからスタートする。

エンドレス。

別に自分では思い出そうと思ってもないのに、全てが自動再生。

丸っと2回くらい振り返って、ようやく眠に就く訳で。

一日が三日くらい有る感じ。
分かるかな。
思い出すだけで疲れちゃう。

そのうち本っ当に些細な、例えば お客様との普通の やりとり、それこそ「ありがとうございます」「また来ますね」的な会話にすら、もの凄く落ち込むようになっちゃって。

全く落ち込むような内容じゃないんだよ、むしろ褒められてたりするのにね。

──世界の終末を願うようになっちゃった。

眠ると明日が来る、眠らないと今日の再生が終わらない、だけど明日は来て欲しくない。

そんな思いを抱いてた。

独り家に向かって歩いている間に「みんなタヒね!」とか「滅べ!」とか「うわぁああ!」だとか、口から盛れるようになっちゃった。

はたから見ると、完全にヤヴァイひと。

うん、マジでヤヴァイひとだったな、あの頃(遠い目)

自覚はしてたんだけどね、口から勝手に出ちゃうんだよ。
何だったんだろうね、アレ。

──今ですか?

直近も独り言は止んでないけど、随分声も小さくなったし 回数も減って信号待ちの時に一言くらいだし、一日に思い出すような事も無いし、何よりプラス思考しか呟かないよ。

え、それでも十分ヤヴァイひとかな。ヤヴァイな、たははw

あぁでも、今はコンビニの行き帰りに「お腹空いたぁ」が一番多いかな。

だって腹ペコなんだもん、コンビニ行く時いつも(笑)

シーン・ビジネス(30)

限りなく黒に近いグレーは最早、黒。

地方店舗は顧客・売上獲得の為、ボーダーラインすれすれの売り方をすると噂には聞いていたし、実際 部長からも「それくらいやれ」的な事も言われていたが、実際 目にすると やはり私的には許せぬもんで。

例えば、自社では当時 “倉庫に無い商品の店舗間移動は禁止” されていて、他店に取置き依頼をして お客様ご自身に足を運んで頂くキマリだった。

だけど、自店に無い商品でもエリア内の別店舗に在庫在らば、営業が訪問時に手持ち移動したりしていた。

兼務だと2店舗を行き来するし、自宅最寄りに別店舗が在ると、営業じゃなくとも手持ち移動したりもしていた。

そもそもの店舗間移動が禁止されてたのは配送料が掛かるからであり、ついでの手持ち移動はボーダーライン。

ここまでは私でも許せる。

他に本社指示の店舗間移動に “クレームB品による商品移動” システムが有った。

何らかの欠陥による商品交換時、自店・近隣店舗は おろか 倉庫にも在庫が無い場合、地方の店舗に在庫が在ると一点だけでも配送移動が出来る。

「明日か明後日、○○店から客注商品が届くから、取置いといてね」

「クレームB品っスか?」

「ううん、ただの客注品。倉庫にもエリアにも無かったから、クレームって事で取り寄せちゃった♪」

えー… それは黒。

そういうのがね、一度や二度じゃなかったんだよ(遠い目)

私は頑として客注品は自分で手持ち移動出来る範囲までしか受けなかった。

お客様的には交通費も掛かるけど、それでも どうしても欲しかったらルールは守って欲しいし、実際 他店の商品を ご覧になって他にも お買い上げ下さったりもするし…

自店の売上にはならないが、お客様は悪い顔しないのに。

とにかくだよ、店員による販売戦法の差が、店舗内でも起こるんだよ。

どっちが良いとか悪いとか、判断するのは お客様。私が口を出せる話じゃない。

てかさ普通はさ、「無い」て言われたら、余程でなければ諦めるじゃん?諦めない?
私は面倒だから諦めるけど。

世の中、色んな人が居るんだよ(遠い目)

他にも困った出来事は、気付くと “貯め銭” が 引き出しに入ってる事。

これも随分前に “釣り銭以外の金銭を店舗に置くのは禁止” されていて、過不足金発生の際は 過剰または不足のまま納金するキマリ。

フランチャイズ出だからかな~…

フランチャイズ店ではオーナーが決めたルールが有ったりするので、本社のキマリとは違う場合も よく有る。

「貯め銭は作らないで下さい」

「分かった~」

なんて やり取りを何度かしたけど、日誌に引継ぎ記載無く 引き出しに十円玉が入っていたりして都度。

「計算間違っちゃったかもだから~」

なんて誤魔化され、結局 毎回 私が遅番の日に過剰納金していた。

多分だけど 散々言っても聞かないのは、過不足金が発生すると店長評価が下がるからだ。

流石にコレは黒だろ。思って部長に相談した。

「どうしても “貯め銭” 作っちゃうんスよね。どうしたら良いっスか?」

「うん、見つけたら納金して」

違くて。

いやね、納金はするけどさね。

上役として店長に探り入れるなり注意するなり、改善に向けた動きっていうか、そういう類を私は期待していたの。

部長はアテにならん。
自分の言うことは聞いてもらえん。

詰んだ。

結局ね、見つけ次第 私が納金して、終わり。
今まで口を酸っぱくして指導していたスタッフらにも示しが付かん。

私はヘルプによく出ていたから結構 店舗毎のやり方の違いに関しては寛容だった、筈なんだがな~(遠い目)

終盤に ちょっとポカミスの多い新人が入った。
私が遅番を教えたんだけど、なんつーか、飲み込みも難あり。

まぁ、私が作った遅番マニュアル全部なぞって作業してるし、時間が掛かっても いつかは慣れるだろう。

レジが合わない時も多かったんだが、大事には至らぬ小さなミスばかりなので、ひとつずつ説明しながら やってもらっている ような子で。

ある時、出勤してMさんに小声で話しかけられた。

「──レジ間違いした商品、社販で買わされたって」

「え!?? どういう事!!?」

話を聞くと、複数点の会計時に含まれていたベルト一点を、レジを通さぬまま袋に入れて渡しちゃったらしい。

「気付いた時には お客様 見失ってて、店長に『在庫合わなくなるから、買え』て言われたらしい」

「ぇえ~…」

そんなの…と言っちゃいかんが、商品分かっているのならレジ通して不足納金して本社に報告~…で、済むのに。
それから「次は無いように」対策を立てるのが指導員の役目だ。

入ったばかりの右も左も分からない新人に買い取らせるのは酷いし、違うと思う。

──なんか納得いかない。

とは思えど、他の店でも似たような事象でスタッフに買い取らせるって言う店長も聞いた時有るし。
私は絶対やらせないけど。

この辺はね、きちんと本社で決まっていなかったのだよ(遠い目)

黒くも白くも無かった訳。

──自分だって、大ポカやらかしたくせに(モヤモヤ)

店長の尻拭いをしたのは他でもない、私である。

そう、あれは、一件のクレーム電話を受けたのが発端だった。

『買った商品が届かないんだけど』

電話の主が言うには、出先でフラッと立ち寄った自店で買い物をし、配送依頼をしたんだそうな。
お客様はレシートを破棄してしまい、うろんとした日付しか分からない。購入商品もイマイチよく分からない。

「お調べして折り返します」

一度電話を切り、私は配送伝票の控えを探した。

──あれ?

無いんだけど。

配送伝票控の束は一ヶ月間分で まとめているし、お客様依頼の配送は少ないし、控えは直ぐに見つかると思ってた。

何度見返しても挟まっていない。

「…おっかしいな~」

とりあえず購入日付を特定しなければ。

日誌を見返し引継ぎ連絡欄を確認するも、配送を承った記載、無し。

シフト表を確認する。
私が出勤している日で無いのは明らかだ。

配送料は支払われていればポスレジに入力されている。
アタリを付けた日付の日計票を見ていけば、配送料を受領した日付は特定出来る。

──有った、有った、この日だ。

後は対象日の売上レシート控を流して見れば、配送料の掛かったレシートNo.が見つかる訳。

レシートには購入した商品JANコードが記載されているから、店舗システムで照合すれば品番が分かる。

これで お客様の購入日時と、お買上商品が確定する。

「何やってんの?」

「お帰り。クレーム対応入るから お店お願い」

休憩から帰って来たスタッフに説明

私は電話の受話器を持ち上げた。
掛けた先は対象レシートに記載された社番のスタッフ。

「ごめん休みの日に」

事情を説明し、対象日に配送を承ったかを確認する。

『受けてないよ!?』

「あ、やっぱり?」

レジを打つ際は担当者が分かるように社員番号を入力する。コンビニとかで目にする、レジ打ち前に名札をピッ!てやる、アレだ。

当然 手動操作なので、レジ代わったのに自分の社番に打ち直すのを忘れたパターン。

「配送関連で今月、何か変わった事無かった?」

『──そういえば、集荷してもらった荷物の店舗控えが無くって、配送屋さんと「無いね、無いね」「どうしよう?」ってなった荷物が有った』

やはりな。

半ば確信した私は、店長に電話を掛けた。

「お休みのところ申し訳ございません」

店長にも事情を説明し、地方配送を承った日が有ったのを確認し、斬り込む。

「何故だが配送伝票の控えが見つからないんですよ。ひょっとして店長──お客様に控え渡しちゃいませんでした?」

『──あ!!!』

やはりな。

当時店には数種類の伝票が常備されていた。
①送り主に店名の入ったルート配送伝票、②完全に空の配送伝票、③店舗控A票・お客様控B票の控え2枚付き空の配送伝票etc…
間違わないよう私、厚紙の間仕切り作って、黒マジックで用途をバッチリ記載しておいたのに。

今回のケースでは通常③を使い、お客様にはカーボン写しのB票を お渡しする。店舗には集荷印を頂戴したA票が残る。

だが、店長が お客様に記入頂いたのは②。
これだと控えが一枚しか無い為、集荷の受領印を貰わねばなので、お客様には控えを渡せない。

別に①でも②でも構わんのだが、荷物の “問い合わせ番号” が不明だと お客様側には不都合が起きるので、その際は記入済み伝票のコピーをとり、お客様にお渡しする。

通常お客様には渡さぬ店舗控を、店長はペロッと剥がして渡してしまってたのだよ。

探しても伝票が無い訳だ。

──ぅうん、困ったな…

配送業者に配送歴を確認したいが、 “問い合わせ番号” が不明では、恐らく教えてもらえない。

せめてルート配送の方を使ってくれてれば、ワンチャン有ったのに…

残念ながら店長が使ったのは、送り主もお届け先も空欄の、空伝票。
確認のしようが無い。

念の為、配送業者に電話確認をしてみたが、なしのつぶて だった。

──詰んだ。

望み薄だが、お客様に折り返し。

「お買上頂いた時に配送伝票の控えを お渡ししていると思うんですが、お手元に ございますか?」

『そんなの捨てたよ』

デスヨネー。

レシート捨てちゃってるくらいだし、嵩張る控えが残ってるなんざ思ってなかったよ(遠い目)

私は懇切丁寧に お客様に、店舗控が無く問い合わせ番号が不明なのだと お伝えした。

「大変申し訳ございませんが、店舗では確認の仕様が無く、ご本人様である お客様に、配送業者へ ご確認頂きたいのですが…」

『はぁ!? そんなの、そっちの都合だろう!! ウチの住所教えるから、そっちでやってくれよ!!』

ヤバ!お客様がお怒りになりかけている(汗)!

──ここで対応を間違えると、二次クレームに発展する!

いやさね、お客様の声が荒がった時点で、もう二次クレームだったかもだけどね。

ここは引き下がるしか、無い。

配送業者の受付時間終了も迫っている。急ぎ私は配送業者に電話した。

お客様からの お申し出を伝え、どうにか無理をお願いして、ご住所から配送歴を追ってもらえる事になった。

よ、良かったぁ~(安堵)

ここまで既に数時間、早番スタッフの上がり時間も迫っている。

「残りの休憩、行って来て良いよ」

「え!○○ちゃんの休憩は??」

「あー…電話待ち中だから、後で行けそうなら行くや」

とりあえずスタッフの休憩だけ回して、私は休憩返上の覚悟。

スタッフが休憩に入っている間に、私は お客様が購入した商品と同じ物を かき集める。
もし配送事故ならば、再配達する可能性が残っているからだ。

──ううん、ネクタイだけは全く同じ商品が自店に無い(涙)

上役にも経緯を報告して、ついでにネクタイ探して貰って…

部長に電話をして、事情説明。
この日だけで同じ説明を何度したことか(遠い目)

早番スタッフの休憩が終わった頃、配送業者から連絡が来た。

『探したんですが、伺った ご住所への配送歴は有りませんでした』

「──え!!?」

どういうこと???

『ただ、該当日付に確かに そちらの店舗からルート以外の地方へ配送した履歴がございまして…
ひょっとしたら お客様が仰ったご住所が間違っている可能性が』

──MAJIKA。

「左様でございますか~…え、どうしたら良いですか?」

『もう一度、お客様にご確認頂きたく』

デスヨネー…

「もうすぐ そちらの営業時間終了ですよね…また明日ご連絡…」

『あ、窓口は しばらく延長して空けておきますので、本日中に ご連絡いだだければ』

なんという神対応か✨✨✨

捨てる神あれば拾う神あり。

私は再び、怖々お客様に電話をし、住所確認。

『──あ、そうだ。3日前に引っ越したんだった。さっきのは古い住所』

なんと。

新しい ご住所を頂戴して、再び配送業者さんに問い合わせ。
そわそわする。そわそわ。

『お調べした結果なんですが──
“受領” されています』

「え。」

『伝票も確認したんですが、お客様の受領印も押印されていまして…お客様の勘違いかも(汗)』

「ぇえ…」

なんかね、ここまで散々 問い合わせていたら、配送業者の窓口さんとは妙な仲間意識を感じてしまっていたよ。

気重く、お客様に何度目になるか分からん結果報告。

「自店からの配送だと、10センチ厚くらいの茶色い無地のダンボール箱なんですが…」

すると──

『あ!ひょっとして、この箱かな?! 何が届いたのかと思ってた!!』

MAJIDE。

もの凄~く遠回りしたけれど、自店から配送した商品は、無事お客様のお手元に届いていた…ていう、オチ。

ずっと窓口を開けていてくれた配送業者さんに報告とお礼の電話を入れる。

これがね、配送伝票の控えさえ店舗に残ってりゃ、5時間も掛からずに済んだかもだよ(遠い目)

──凄ぇ、疲れた…

「ごめん、30分残ってもらえないかな。残業付けて良いから」

「いいよいいよ、ゆっくりしてきな~」

「ありがとう(ホロリ)」

あんまり疲れたもんでね、早番の子にも助けられたよ、あん時は。
ありがとう。

(31)に続く──

ツメハガレヤスイ。

なんやかんや今までの人生で、両手足合わせて7~8枚の爪がロストしている、私。

市販のつけ爪貼れないくらい、爪にアーチが無い所為か、因果関係は不明だが、ちと剥がれすぎなんじゃないかと思う(遠い目)

つい先日、足の小指の爪が剥がれたんで、皆様の身近にも潜む危険を語ろうと思い立った。

あれは、私がI店に勤務していた頃じゃった。

♫ピピピピピピッ

──ヤバッ!!?

何度目のスヌーズかも分からん目覚まし時計の電子音に、ガバチョッ!と飛び起きた。

──ぎゃあああぁあッ!!?

液晶が指す時刻は出勤、10分前。

当時こんな事が、よくあった(遠い目)

自宅から職場までは脅威の5分、走れば1分。
近過ぎるやろ。

大慌で化粧で5分、ハンガーに掛かったスーツとワイシャツとネクタイを身に着けるのに2分。

──く、靴下は…!!!

洗濯物はニャンコに布団にされたりオモチャにされちゃうから、タンスの引き出し。

一分一秒のロスも許されない、出勤3分前。
靴下を引っ張り出す時間は無い。

いいさ、職場で買う!

私は鞄を持ち、バタバタと大慌てで玄関へ。

スポッスポッ

──ガチャン!

革靴をつっかけ、玄関閉めて、エレベーターで階下に下りた頃には残り2分を切っていた。

──ヤバヤバヤバ~ッ!!!

そこからは全速力の猛ダッシュ。

──いける、いける、間に合っ

「…痛゙ーーーッッ!!!??」

職場まで残り半分の所、突然の疝痛が左つま先を走った。

痛痛痛ッ…!??

痛みに怯みはしたものの、その程度で私は立ち止まらなかった。

「おはようございまーす!」

「急いで急いで!」

バタバタお店に走り込む私の姿に、早番スタッフも慣れたもの。

急いで出勤打刻を済ませ、ギリギリのギリでセーフ。

「ま、間に合ったぁ~…」

安堵に胸を撫で下ろしたのも束の間、私はそのままレジカウンター内に しゃがみ込んだ。

「どうしたの?」

「いや、なんか、左足が変で…」

もの凄い違和感のある靴をスポッと脱いで、ギョッとした。

「うわッ…!!?!?」

左足先は赤く血に染まっていて、ガラスの靴が履けずに つま先を ちょん斬ったシンデレラの義姉が脳裏を過ぎった。

「MさんMさん!薬指の爪もげた(号泣)!」

「ぇえッ!!?ちょっと、大丈夫!!?」

「大丈ばない!痛いよ~(号泣)!」

二人して大騒ぎしながら、お店のマキ○ンとティッシュでどうにか血を拭い、つま先にティッシュを丸め詰めて その日は一日お店番をしました…とさ。

皆の者、よく覚えておくが良い。

─素足で革靴を履いて全力ダッシュすると、爪が逝くよ─

あ。爪は逝っても、また生えてくるよ。

母親は、アレ(26)

二日ばかり休んだけれど、なんかもう最近は愚痴くらいしか残っとらんで、用のある日は無理してやんなくてもいいかな~、なんて思ってる。

という訳で、先日来訪した母親の驚き発言おば。

毎度思うが、母親の道程ラインは何となく『メリーさん』を思い出して、地味に怖くて何か嫌だ。
そう伝えてから若干頻度は下がりはしたものの、まだまだ多いと思う。

お昼時、予告通りやってきた母親と食卓を囲った。

私「母ちゃん、聞いてくれ…私なんだか○○歳になってから、運が悪いっつーか、ついてないっつーか…」

母「何、どうしたの」

私「あ、昨日いいことも有ったよ!」

母「いいこと と 悪いこと、どっち先に聞いたら良い?」

私「悪いことから聞いて。その後いいこと話してテンション上げるから」

なんやかんや、これまで生きながらえるのに、運を使い果たしちゃってると思う自分。
もう残りの人生は実力で生き抜くしか、無い。

てのは置いといて。

それにしても誕生日の3コンボはメンタル削られた。

私「話は前日の19日から始まります…」

私が一番話したいこと、それは先日のアレである。

私「夜の21時過ぎだったかな、変な時間にピンポンが鳴ったんだよ。間を置いて2回くらい。
部屋の電気点けてなかったし、居留守したのね。

そったらさ、カッ……ツン…、て、もの凄い小さい金属音がしたのね。
こう、鍵を ゆうっくぅり 回して音が出ないようにした感じの音」

母「まさか、来たの?」

私「そうなんだよ、来ちゃったんだよ。アポ無しで。とりあえず、聞いて。

まさか!??
て思ったんだけど、鍵が空いたっぽい音がしてから、しばらく何の音もしなくてね。
ドアがバタンと開閉する音とか、ガサガサって荷物が擦れる音とか。

何だ!??!?
て飛び起きて部屋の電気を点けて、それでも声も無ければ音も無くて。

そうっと、居間の のれんを分けてみたら…

ぬぼ~っとさ、立ってたんだよ、台所の入口に!!!

怖ーッ!!!!!

てさ、なるじゃん」

母「え、何ソレ怖い怖い、合鍵で入って来ちゃったって事…??」

私「そうなんだよ、侵入して来ちゃったんだよ」

母「音も無く、とか、怖」

私「『何しに来た』『何しに来た』『何しに来た』て、あの日だけで何度言ったか分からん。
『帰るでしょ?』『明日、姉ちゃん来るから帰ってよ』て言ったら『2泊するつもりできたんだけど』て言われて、はぁ!!? てなったし」

母「うわ、非常識だね。何年も連絡してなかったんでしょ?普通は縁切れたと思うよね」

私「ラインもブロックしてるし、メールも返信しなかったし、着信にも出なかったし、非通知で一度掛かってきて伝言残ってた時有ったけど、キモ。て思って連絡返さなかったし。
いやもぅ、めちゃめちゃ怖くってさ!!!」

母「そういう時は、怖がってる様子見せちゃダメだよ」

私「いや、それは分かってるし、心内は大騒ぎだったけど、普通に『帰れ』て何度も言ったし」

伊達に事件に巻き込まれてませんから。

母「合鍵は?返してもらった?」

私「返してもらった。いやもう、下手なこと言って逆上されたら、どうしようって、散々考えたよ。
適当に話合わせながらビール呑みつつ、携帯で『元彼に合鍵を返してもらう言い方』とか、散々検索したし」

2年は連絡無かったんだよ、もう流石に来ないと思うじゃん。

そもそもが他人が絡んだ非常事態に直面するのも数年ぶりで、呑まずにやってられん。

500mlのビール缶、2本も空けちゃったよ。

てのは、まぁ、置いといて。
時期尚早なので、ここでは全ては語らんけど。

こうして、私は誕生日に恐怖の一晩を明かした顛末を全部母親に愚痴った訳だ。

私「も~、姉ちゃん来るから風呂入らなきゃって、朝から あっつい湯船に浸かって、久々に一睡も出来なかったよ!ウトウトはしたけども!」

母「でもさ、合鍵返してもらったんでしょ?良かったじゃん」

私「合鍵返してもらったって安心できないし!そもそもが下手な対応したら何かされそうで、めっちゃ気遣ったし!『二度と来んな!』て念じながら『バイバイ、バイバイ、バイバイ』しか言えんかったし!」

そしつて、母親は最後に こう言ったんだ。

母「でもさ あの人、そんな事出来る人間じゃ無いじゃない」

私「──は???」

母親が言うには「大人しい性格だから、逆上したり手を上げたりなんて、出来ない人間」なんだと。

絶句した。

何で貴女、不法侵入の犯罪者の肩持つの…???

私「いや…世の中、普段大人しくて何考えてるか分からん人間の方が、キレたら何するか分かんないじゃん…」

母「そんな事無いでしょう~(笑)」

そんな事、有るの!!!

私「アイツが怒った時とか、私知らないもん!逆上したらマジ何して来るか読めないもん!」

母「そんな事出来る人間じゃ無いって~(笑)」

まだ言うか(泣)!

それこそ力じゃ敵わないし、殴られるだけじゃ済まないかもだし、刃傷沙汰にだってなりかねない、何より逃げ場の無い “憩いの我” が家の中で対峙してんだよ。

最悪の事態に備えて自分に出来る対抗措置を考えておかなきゃじゃんか。

とにかく気を揉んで揉んで、気が気じゃない、気の休まらないド緊張の一夜だったんだよ。

何で3回くらいしか会った事の無いアンタが「何もやらかさない」って、言い切れるの???

何だったらアンタ、奴のこと嫌ってたじゃん。何で肩持つの???

──ていうね、母親に愚痴ったのにモヤッとさせられた結果に終わったのだよ(遠い目)

まぁ、私が考え過ぎなんだろうけど。
何だったら「合鍵返してもらって無かったアンタが悪い」て言われそうだから、深くは追求しなかったけど。

納得はいかない。

あの人とは、一生分かり合えないて、確信はしましたよ。
これまでも、これからも。

(27)に続く──

百害あって一利なし。

誕生日の2コンボ目と言えば、やっぱり外せぬ あの悲報。

いつも吸ってるタバコの銘柄が、とうとう生産終了になってまうんだ(涙)

禁煙のチャンスだしょうけど、あんだけ ぎっくり腰入院だとか親不知だとかで禁煙に失敗し続けたんで、今すぐには…考えられんのだよ(遠い目)

私は常々 ちみっこ は勿論のこと、20歳以上の大人の非喫煙者がタバコに興味を持つと、必ず「吸っちゃダメ」だと たしなめる。

オススメはしない。
マジで。
毒だよ。
吸ってないなら一生吸わない方が身のためだよ。
マジで。

昨今のタバコには 紙巻き と 加熱式 と 何か水蒸気のやつ とあるんやが。

今私が吸ってるのは紙巻きの、ピアニッシモ・ルーシア。

こいつに辿り着くまでにも地味に歴史が有ったりする。

私が初めて吸ったのは父親からパクった、マイルドセブン。

なんやかんや迷走して、次に続けて買いだしたのが、ハイライト・メンソール。

販売員時代にタバコ休憩に吸うには ちと重くて、代わりに吸い出したのが、キャスター7ミリ。

このキャスターがね…

東日本大震災で5ミリまでしか生産しなくなっちゃったんだよ(涙)

震災直後はタバコの流通も安定しなくて、それこそ止めるチャンスだったかも知らんけど、もう、ね。

タバコ吸わないと やってらんない体になっちゃってたんだ、必死だったよ(遠い目)

一昔前は灰皿周辺は情報交換の場だったから、無理に止めなくてもいいや、とも 思っちゃったんだよね。

キャスター5ミリは7ミリに比べると どうしても軽くて、再び あれやらこれやら試してみて、口に合ったのがピアニッシモ・ルーシアだった。

コレも当時の営業さんに「変な味」だって一本貰ったのが始まり。

5ミリだけどメンソだと何か満足出来たから、以降 今日まで吸い続け。

最初は凹凸プリント、パールインクの乙女ティカルなパッケージだったんだが、ある時 緑色にパケ変しちゃって、悲しかったのを覚えている。

ルーシア自体も他のピアニッシモシリーズに比べると需要が低く、扱ってるコンビニを探すのも地味に大変だった。

それでも吸い続けたルーシアちゃん…ありがとう。

この機会に、私は加熱式タバコに切り替えるよ。止めるという選択肢が無いよ、お財布が痛いよ(遠い目)

紙巻きタバコの吸える灰皿も少ないし、加熱式の方が まだ喫煙所は見つけ易い。

──こんなね、必死こいて灰皿探したりして、体に悪影響しか無くて、ほんと、吸い始めたら地獄だよ。

非喫煙者の方は、もし誰かに勧められても、断りなさいよ。

シーン・ビジネス(31)

店長 副店 両名が同2店舗兼務と言えど、社員2名に若いフルタイムスタッフ2名に主婦2名…必然的に人手が余る、というか、全員の希望を含むと貧乏期には稼働予算が足りない。

でもまぁ折角なんで、両店舗のスタッフ1名ずつを交換して早遅教え、有事の際に備えたり出来た。

1店舗だと基本スタッフ3名以下の大概が2人体制。
誰か一人でも体調不良なり起こしてしまうと、しわ寄せが休みのスタッフに行ってしまう。

だから、いつの間にか全スタッフが責任感じてて「休めないから!」て、言っちゃう状況に。

仲の良い知り合いちゃんと休み被せられるようになったのだけが救いだったな、あの頃。

しかしまぁ、人手が余るのは皆が働く時間すなわち、お給金が減ってしまって困っちゃうので、私は率先してヘルプへ出ていた。

毎月シフトを組む前後に部長に尋ね、ヘルプ受け入れ先を探してもらう。

そんな毎月だったんやが。
そう、あれは初夏の頃だったかな。

『○○さん!S店の早番出来たっけ!?』

「S店は遅しか知らないっス。随分と前だし」

『ぇえ~!? 困っあなぁ…○○さんだけが頼りだったんだけど…!!』

若干込み入った事情のようで、部長の慌て方とヨイショが いつも以上だ。

「何か有ったんですか?」

──この時、私にはピンと来るものがあった。

お茶を濁すが、長年S店では大量に商品が消え失せるという事象がたて続き。

まぁ、なんとな~く、察するよね。

『僕さぁ、今度S店の早番独りでやらなくちゃいけなくて…開け方知らないし寂しいから、○○さんと一緒に早番やろうと思って!!』

え…………ヤダ。

『あそこさぁ、レジ開けるだけじゃ無くて朝入金らしくてさぁ、やり方のメモ貰ったんだけど、独りじゃ不安なんだよ(涙)』

えー…………独りでやって。

私を巻き込まないで欲しい。
てか、私 独りで早番やりたい。
正直、他人が一緒だと落ち着かない。

思いはせど、緊急事態に仕方なく、私は部長と初めてS店の早番をやる羽目になった。

もの凄~く、嫌。

当日、思い足取りで部長の迎えの車に同上させてもらった。
ぶっちゃけ、助手席に乗って適当に相槌打つだけだから、行くだけなら楽ちん。

会社が借りている月極駐車場に駐車。

「ぇえと、まず鍵を受け取って、ポストの中身を…」

入館証を首から下げ、ぶつくさとメモを読み上げる部長に続く。

「コレに記入して、ポストはココ」

「え!? 凄い、何で知ってるの!? 初めてだよね!?」

声がデカイ。

「この辺は遅番の逆ですもん」

「え!? S店の遅番、何年も前に1回くらいって言ってなかった!?」

「覚えてますよ」

遅番は命掛け、それだけが胸張って言えてた時代。
手順を覚えるのは得意だったから。

店舗に到着、バックヤードを開け荷物を置き、レジカウンターに入る。

「ぇえと… 引き出しの鍵が…」

「ココです」

カチャン。

「入金室の鍵を持って…」

「コレです」

シュピッ。

部長が真横でメモを指でなぞる中、私はさっさと動いちゃう。

指導中なら見守るだけだけど、今回は “部長と一緒に初めての早番” であって、私も初めてなんだから触りたい。

部長に やらせだとか、面倒臭い。
うん、面倒臭い。
さっさと終わらせて解放されたい。

ん~、入金室は暗証番号だったなぁ、確か…

「ええと、カードを通して番号が…」

部長がメモをペラペラ漁ってる間に、私は端末をポチポチポチ。

カツンッ

おぉ、意外と覚えてるもんだな(ホッ)

「──何で番号知ってるの…??」

「なんとなくテンキーの配置で覚えてましたね」

部長から何か疑惑な視線を感じるのは気の所為だろうか。

後は金庫から昨日の遅番が用意した入金セットを持ち、入金伝票の必要分を埋めつつ、入金機に納める。

使った時の有るタイプの入金機だったので、操作は部長に譲り、横から指示を出す。

帳票の残った項目を埋める。この辺は知らんので、部長の後に続き記入台へ。

「台に記入見本が有るから、その通りに、だって」

おお~✨なかなか見本置いておくとか、ここまでやってくれてる館は無いな✨

記入見本は銀行の記入台に挟んである伝票みたいに分かり易く、これなら多少ウロ覚えでも心配無い。

帳票を完成させて提出箱へ。

「ずっと思ってたんだけど…メモ取らなくて大丈夫なの…???」

「大概どこも似たようなもんスから、一度触れば覚えます」

「え、凄いね!僕なんかメモが有っても無理そうだよ!今日本当に○○さんと一緒で良かった!」

部長が度々ちゃちゃ入れてくるから、若干飛び飛びになっちゃってるけど、まぁ何とかなるだろ。

「困ったら電話して良い!?」

「…良いですけど」

それは出来ればS店のスタッフにして欲しいが。

店舗に戻り、私の知ってるレジ立ち上げは部長に任せ、什器に掛かっている暗布を捲り集め、軒先に張られたのネットを回収する。

「○○さん、ここね、もう一つ作業が有って」

「何やるんスか?」

「商品数カウント」

マジか。

「え。毎朝、ですか?」

「うん、毎朝」

マジか。

「在庫表出しとくから、カウントしてきて」

「ぅあ~い…」

どうやら先の件で毎日プチ棚卸をやらねばならんようで。
昔 遊技場で毎晩似たような事してたな、なんて思い出した。

ぶっちゃけ、朝のテンションで独り棚卸とか、いくら棚卸好きの私でもダルい。

「そういえば…ここ本物の防犯カメラが付いてるって噂で聞いたんスけど…もう無くなったんスか?」

「ん?まだ在るよ。どーこだ?」

え、どこだ???

天井を見渡すも、カメラ的な物はC店と同じダミーしか見付けられない。

「??? ダミーと見せ掛けて実は本物だったり???」

「ううん、アレはダミー」

「えええ…???」

部長がレジセットしている間 手持ち無沙汰だったので、天井を見渡しながらウロウロした。

「──ううん、降参ス!」

「ん~ふ~ふ~…」

誰かを思い出す不敵な笑みを浮かべ、答えを教えてもらった。

「!!! マジだ!カメラだ!え、あんな ちいちゃいんスか!!!」

例えるなら、隠しカメラ。
しかも4台くらい設置されていて、バックヤードに録画データ用の小型PC端末が置かれていた。

「うわぁ✨凄~い✨」

「観てみる?」

「観たい観たい!」

部長に端末を操作してもらって、直近の録画データを開いてもらった。

「これね、カメラを探してる○○さん」

oh。

「あとね、定期的に本社でデータ全部確認するから。今日の○○さんのウロウロしてる様子も観られちゃうね」

oh…

何か恥ずかしい。

「『何やってんだ、○○???』て、販売部の皆に言われるだろうね(笑)」

羞恥に追討ち掛けんでほしい。

─おまけ─視線

早番を一緒にやった部長は開店直後には退店した。

…ようやく、独りだぁ(安寧)

なんやかんや手探りでお喋りつつ作業していたので、朝の清掃が出来ていない。

フロアにモップを掛けて、鏡を拭く

──汚。

手が届く範囲に洗剤膜がギラギラてれっとしているのは勿論、天井まで着く高さの鏡は真っ白で。

私は、バックヤードで綺麗な雑巾を探した。

──雑巾、汚。

何枚か見付けた雑巾は全部マ○ックリン色と灰色けっけ。

せめて白い雑巾が在れば良かったんだが、水道に行くにも店を空けねばならんし、その日は諦め通常のお掃除だけやった。

そして、2回目のS店早番の日。

シュパッとカバンから出したるは、自店から持ってきた予備の雑巾3枚。

開店作業を終え、従業員トイレで雑巾2枚を水に浸し、開店したらば来客のない間に鏡を拭いてやる。全部全体。

五段脚立を肩に掛け運び、天板に立ってみる。

──おおぅ…久々だと地味に怖いな、この高さ…

数年か天井低い店舗ばかりだったんで、五段以上の脚立にはもう立てる気がしない。八段とか多分、無理ぽょ。

落ちないように鏡の無い柱の部分とか掴まりまくって、せっせと水拭き、乾拭きで仕上げる。

作業中ふと、何やら視線を感じて上を向いた。

バチンッ☆

うおッ!!?

目が合ったのは勿論、すっかり配置なんか忘れていた、防犯カメラくん(本物)。

うわー、うわー(汗)

絶対これ「こんな天井近くでドアップ晒して何やってんだ…???」て思われるやーつー。

めっちゃ恥ずい。
けど、こんな中途半端じゃ終われない。
けど、めっちゃ恥ずい(泣)!!!

しかもね、視線が気になっちゃってチラチラチラチラ、カメラ目線キメてたと思うんだ(遠い目)

(32)に続く──

カメラワークは俯瞰(ふかん)

今日とあるポストがTLに流れてきて、目を見張った。

私みたいに頭の中でずっと喋ってる人間、“思考の中に生きる” 人間は少数なんだって。

知ってた?
私、知らなかったよ!
みんな目で見た出来事とか感情とか、普通に脳内で言葉にして再生してるもんだと思ってたよ!

なんなら映像で考えてるよ。

例えば私生活を例に取れば、
コンビニで会計中、店員さんと会話したとして、

店「今日は一段と寒いですね~」

私「ついこの間まで夏だったのに~…着るもの困っちゃいます~」

店「分かります、分かります!」

ていう何でもないやり取り中、自分の目玉から入る店員さんの正面からの姿と、
店員さんと自分の姿を斜め上から見下ろしている少し引き気味の映像が、同時に流れて脳内録画されているよ。

Xにポストしたり、YouTube等で米した自分の文章も、頭の中で音読し続けるよ。
何なら “(汗)” とかの感情文字も「かっこあせ」て読み上げてるよ。

言葉を音読してない時も有るけれど、そういう時は映画やアニメや漫画仕立ての映像が脳内再生され続けているよ(妄想モード)

これ直近、母親にも指摘されたんやが…

以前『SOS発信④ ─魔女の一撃☆3打目─』で語った、入院初日の深夜、母親が血相変えて病室にやって来ちゃった下りを、母姉と会話していて。

私「もう私『何で来ちゃったの~!!?』て、大騒ぎだったんだからね!」

母「嘘ぉ!アンタ全然落ち着いてたじゃない。『来たんだ、ふ~ん』くらいだったよ!」

私「あー…うん。私、考えてること表には出ないから」

母「アンタそういうところ、あるよね」

私「でもね!心の中では大騒ぎしてるんだよ!大声で!」

なんてな、会話を致しまして。

この時 私は「よくよく見れば顔には出てると思うんだけどなぁ…眉間にシワ寄ってたり」と思ったんやが。

そもそもが普通の人って五感を感じた時、頭の中で「ぎゃああああぁッ!!?」とか「痛゙ーッッ!!?」だとか「うまー♪うまうま♪」だとか、音声再生されないのかな???

漫画の考えているポワポワっと雲みたいな吹き出しあるじゃん。

私の頭ん中、あれで埋め尽くされてるよ。

幼少ひとコマ⑦

私にだって人並みにサンタさんを信じていた年頃だった小学校に上がる前年の、昭和末期。

何で知ったのか覚えとらんのだが、どこからか「サンタさんには奥様が居る」と噂を聞き付けた、私。

子供ながらに「クリスマスの為に毎日 妖精さんとプレゼントの用意をして、大雪の降りしきる真夜中にソリで世界中飛び回って、サンタさんは大変だな」と思っていた。

サンタさんに今年よいこだったプレゼントをお願いするにあたり、私はサンタさんに何かをしてあげたくなった。

言い換えれば、正当な労働への報酬である。

当時お気に入りだった『ノンタン』の絵本の見返し(表紙めくった所)に、クッキーのレシピが載っていた。

もちろん、園児でも平仮名さえ読めれば分かるイラストで工程が記載されていて、既に何度か母姉の手伝いを借りつつ焼いた時も有る。

「かあちゃん!サンタさんのためにクッキーやくから、ざいりょう ちょうだい!にかいぶん!」

今でも覚えているクッキーの材料は、薄力粉・バター・玉子・ベーキングパウダー・バニラエッセンス・強力粉、お好みでココアパウダーやチョコレートチップ等。
流石に分量は自信無いな、2:1 だったと思うけど。

「ひとりでつくるから!てつだわないで!」

手伝うから ちょっと頂戴、と言ってくる姉らは頑として断って、私はひとりで せっせとバターをコネコネ、粉をフリフリ、ざっくり混ぜて冷蔵庫で寝かして平たく伸ばして、型を抜く。

ひたすらひたすら、型を抜いてはオーブンで焼く。
プレーンだけだと つまらないから、3分の1位はココアパウダーを混ぜて焼いた。

いつもの2倍の材料、焼きあがったクッキーはボウルに山盛り。

「で、できたー✨✨✨」

子供独りでオーブン一台で作るには量が多く、半日くらい作業していたかな。

「あずま、ちょっと頂戴よ」

「ダメーッ!!!」

私の背後から粗熱を冷ましているクッキーを かすめ盗ろうと伸びる姉らの手をパシッとお手付き。

「何でよー、ケチー!こんなに あるんだから一枚くらい、いいじゃない!」

「ダメったらダメなのー!ぜんぶサンタさんに あげるのー!」

「あずま!少しくらい お姉ちゃんに分けなさい!」

「イヤーッ!」

という、クッキー攻防戦をクリスマス・イブに母姉らと くり広げ、私は味方の一人も居ない中、勝利を収めた。

ルンルンで母親から紙袋を2枚分けてもらい、ざらざらとクッキーを入れ袋の口を折り、誰かが開けて つまみ食いしないようにセロテープでバシーッと封をした。

量が量だから、袋は ぽくぽく。
食パン1斤くらい あったんじゃないかな。

外はもう暗くなっていたと思う。

『サンタさんへ』
『サンタさんの おくさんへ』

クレヨンで書いたメッセージカードを、袋の表にバシーッと貼り付け、サンタさんに分かりやすいように、タンスの鼠返しに2袋並べて置いて、枕元に靴下を置いて、私は眠った。

翌朝。

ガバッと飛び起きた私は、真っ先にタンスを見た。

な、なくなってる…!

枕元には靴下には入ってないプレゼントの包装。

さ、サンタさん、きてくれたんだ…✨✨✨

と、一瞬信じかけたんやが。

当時既に うたぐり深かった私は、家中の納戸や押入れやゴミ箱を覗きまくって、クッキーが仕舞われていないかを確認しまくった。

あれだけ大量のクッキー、一晩で平げられる量じゃない。
もし、仮に誰かが家族の誰かが食べたのなら、空になった包装が捨ててある筈…!

あ、材料に砂糖が抜けていたな。

家中探したが、大量のクッキーの痕跡は見つけられなかった。

私は ここで漸く、一つの結論に到達する。

サンタさんは実在するんだ!!!──

小学校に上がると、級友達の間で論争が巻き起こる。

サンタさんは居る派 vs 居ない派。

居る派の中には「夜中に目を覚ましたらサンタさんが部屋の中に居て、一緒に遊んだ」という、大人からすると ちょっぴりゾッとする経験を踏んだ子なんかも居て。

母親もシーズンになると「クリスマスに何が欲しいか聞いてくるように、サンタさんにお願いされたんだけど」なんて質問を投げかけられていて。

私の中では益々、サンタさんは実在するんだと信じさせてくれた。

「サンタさんなんか居ないよ!」
「サンタさんは居るもん!」

まんまと私は小学三年生まで、サンタさん居る派で戦い続けたんだな。

小学校高学年に上がる頃には、流石に「枕元のプレゼント」は無くなり、手渡しで母親から受け取るようになり、サンタさんは親が扮するものだ、と理解した。

ノンタンクッキーはレシピを覚えちゃうくらい度々焼いていた。

五年生くらいの時、ふと、幼少期にサンタさんの為に大量のクッキーを焼いたな、と思い出した。

夜中 私が眠っている間に、父親と母親が黙々とクッキーを頬張るビジョンが脳裏に浮かぶ。

──しっかり晩御飯も食べた後で、あの量のクッキーを全部食べたって
、凄くない?

小麦粉400g分のクッキーだよ。
砂糖とバターを足したらキロだよ。
姉らも手伝ったとしても、四人で食べるにも多過ぎる量だと思う。

子供に夢を持たせるための両親の配慮には頭が上がらない。

父ちゃん母ちゃん、サンタさんを信じさせてくれて、ありがとう✨

──なんて いい感じに締めたかったんやが。

つい最近、何となく思い出して母親に聞いてみた。

「母ちゃん、私がチビの時にサンタさん宛に焼いた大量のクッキー食べるの、大変だったんじゃない?」

そして母親は、こう言った。

「クッキー?? 何それ??」

!?!??

私の事だから作ったら作りっぱなしで、後片付けに洗い物もしなかったろうに。

材料費だって なかなかな もんだったろうに。

何と、母親は綺麗サッパリ覚えていなかった。

どんなに経緯を説明しても、ひとつも思い出しても もらえない。
大人になった私に、わざわざサンタさんを信じさせる一芝居も不必要。

ガチで忘れられちゃったパターン。

「えー…………」

じゃあ、あの大量クッキー2袋は、一晩で一体どこに消え失せたんだ?

母親が私の手の届かない所に隠して仕事中ちまちま消化したのか?

父親が会社にでも持って行って同僚にでも振舞ったのか?

それとも、本当にサンタさんが家に来て…???

今となっては、分かりませんね。ウフフ♪

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