JPHACKS2020に参加した話と、試したデザインマネジメント手法と反省
初めに
先日JPHACKS2020という長期ハッカソンに参加してきました。結果として誰もやめることなく生産性の高い開発を行うことができ、チームコラボレート賞、イノベータ認定、Best Audience 4位、Best Hack 4位を獲得することができました。とても楽しかったので忘れないようにnoteにしようと思います。(アドベントカレンダー?に挑戦したかったのですがやり方がわからないので諦めました)
ハッカソンでの立ち回りや技術的なことについては我らがリーダーこんにゃく君のブログがよくまとまっているのでこちらをご覧ください。
制作物のまとめはこちらです。
クライアントのリポジトリ
サーバーのリポジトリ
モーショングラフィックス
プロモーション動画
発表資料
なぜ参加したのか
今回ハッカソンに参加した理由は、上半期に参加した泥沼イベントを学生生活最後のイベントとして終わらせるのが嫌だったのと、くめ君が誘ってくれたからです。
上記の一件で感じた自分の強みは、デザイン力とかプレゼン力とかリーダー力とかではなく(そもそもそんな力は本当にない)プロジェクトが泥沼になっても死なないところにあると思いました。この強みを持つ場合、孤軍奮闘の状況を避ける必要があり、気さくさとかボールを持ちすぎないとか改善しないといけないところがあるのですが、そもそも自分と同じか、自分よりも沼地で死なない人間と一緒に何か頑張りたいという思いが強くありました。メンバーが辞めるかも?というのに気を回すコストをかける必要がなく、思ったことをちゃんと言う、基本有言実行できる人と組んでプロジェクトに思考リソースを回してみたいと思ったのです。
そんな中で、くめ君は一緒にハッカソンを企画したり参加したり、話す中で絶対の安心感がありました。彼は自分の仕事をきっちり行うし、私のことを怖がらず思ったことをちゃんと言ってくれるので勝手に信頼しています。彼が沼地で死ぬときは生きてるやつ誰もおらへんのちゃうかな。
これは初見の挨拶で古のAA、「釣られクマー」を口にして普通に流されている様子。
チームができるまで
知らない人ばかりかなと思っていたのですが、実はいけもと君がcamphor-で登壇していた様子をみていたことがあります。技術者はもちろん、私のような技術に明るくない人でもわかる内容の発表だったのですごいなと思っていました。
こんにゃく君についてはちょうどその時、リーダーというものにむしゃくしゃしていた時期なのですが(意識だけ高い系代表の尻拭いをさせられてとても憎んでいた)、こんにゃく君があまりに穏やか素敵リーダーだったのでこのチームで頑張ろうというモチベがとっても爆あがりしていました。名前を忘れてしまいがち。種田山頭火みたいな名前だった気がする。
メンバーが4人になった10月後半、追加募集が認められることもあり、私はデザイナーを2人誘うことにしました。イトーくんとtakenです。
イトーくんは浜松のNokin.という制作系団体でデザイナーをしている子です。Nokin.は昔、運営の子がうちの事務所DANDELIONに「制作系団体を作っているが質問しても良いか」と連絡をくれたのがきっかけで仲良くなりました。彼はとても制作に対して真摯でこだわりをもっていると感じていて、SNSでその精緻でメッセージ性のある世界観の作品をみて、将来きっともっと素敵なデザイナーになるのだろうな、楽しみだな、そのために何か手伝えることがあればなと思っていました。別件で彼が「エンジニアと共同制作した経験がないのでそんな経験を積める場を求めている」と言っているのを聞く機会があって、彼が論理的にチームを引っ張っている働きも見ていたのもあり、良いエンジニアとリーダーのいるこのチームはお互い良いだろうと思い誘うことにしました。このハッカソンではUIUXとカラーなどのベースデザインに取り組んでくれ、デザインの骨格を生み出してくれました。彼が制作したデータを触ることもあったのですが、イラストアイコンを描く時やパワポ資料なども意見をくれて、視点を増やすことができて私も勉強できました。すげぇわ。figmaの学習速度も早く、技術力がある後輩すごすぎて、後輩が強い時に感じる先輩の気持ちを体感しました。やる気がありすぎる故の個人行動が先行してしまうときがありましたが、全体でデザインスタイルガイドだけ作ればあとは好きなだけ走ってもらえるので結果的にリードデザイナーとしてとても優秀でした。能力があるだけじゃなく向上心と熱意があるのがとても素敵だなと思ったので、つよつよのデザイナ友人さりちゃんと綾ちゃんを紹介しました。(takenもいれて皆でデザイナー巡りしたい)陰ながら作品みるの楽しみにしています。
takenは昔CAのイベントで出会って、そのままうちの事務所にスカウトしました。てへ。彼と出会ってからRCCの存在をしったので、世界を広げてくれました。制作における彼の強みはなんといっても社会性のある独創性だと思います。独りよがりの自分が好きなものや変なものをつくらず、誰かに求められる、刺さる作品を作ることができる。バズを生み出したことがあるのもそうですが、ピントを合わせるのがとても上手なのだと思います。コミュニティ運営も普通に私より上手いし、ダンデライオンのコミュニティなんとかオフィサーになって欲しい。ちょっと前に技術力がないとかで凹んでいましたが、技術云々というより立ち位置は既に立派なデザイナーだと思います。まぁ技術は何歳になっても足りないって思っちゃうんだよ。メンタルの波が大きく気分屋なところがあるので手を焼きますが、ハマれば強いタイプと言い換えることができ、補ってあまりあるほど面白い発想の作品を出すので、面白さを下支えするよほどの拡散と収束の思考量があるのだろうと推察できます。彼は「考具」とか「アイデアの教科書」みたいな思考ノウハウ本を読んでいないと思うのですが、それを自力でできているのは才能だと思います。RCCのロゴやSNSをみていると、彼は、何かプロダクトやイベント、所属組織など愛することができたものに対してデザインする時に比肩できない作品を生み出せるんだろうなと思います。まじインハウスデザイナー向きな気がする。めちゃくちゃ好きなものに対して沢山デザインして欲しいし、そんな作品を見れたら嬉しいです。
デザイナーを誘ったあと、takenから牛歩くんを誘うことを勧められたので、エンジニアの技術的なことはよくわからないけどRCCやしとりあえず釣ろうと思って声をかけました。
(ちなみにtaken以外のRCCメンバーは数年前に一度部室に遊びに行ってお話ししてSNS交換した程度なので、急に話しかけたようなもんです。)
なんでもできるらしい、すごい。私は彼の本名を一生覚えられない。川越シェフみたいな名前やった気がする。あと後輩に見えない。赤い。
そしていけもと君がおかきょー君を誘ってくれました!関わりがなかったんですが、同志社の田辺という共通項があったのとおかきょーくんがとても優しい(ボードゲームは全然優しくない)のでチームメンバーめっちゃいい感じ!と思っていました。リファラルが成功率高いわけですわ。
チームメンバーがほとんど皆、友達のツイートをみて誘おうって感じだったので小さなことでも声に出すのは大事だと思いました。
結果として8人のチームになり、こんにゃく君から「太田さん人脈すごい!」と言ってもらえましたが、私は声をかけただけで、誘った人たちが参加を決めた理由はチームになるエンジニア達がしっかりしていたから、日頃の連綿たる努力と成してきたことが信頼の担保になっただろうから、すごいのはこんにゃくくんといけもとくんとくめくんだろうと思っています。
このチームでデザイナーPMみたいなムーヴをかましていたのですが、おかげさまでデザイナー達が超絶優秀だったので、私自身ものすごく暇になりました。まじで今まで関わったプロジェクトで一番仕事少なかった。最高。暇だからプロジェクトの隙間がよく見えるということは本当にあって、じゃあ今ヒアリング対象者探すかとか資料探すかとか、雑務ができました。
複数のデザイナー達をどうマネジメントするかの取り組みについて
イトーくんとtakenを誘う前からデザイナーが複数いる条件下において発生しやすい問題については懸念していましたが、解決可能な範囲であると判断しました。問題としては例えば、
①「強みが似ることと力量差から片方が萎縮しフェードアウトする☠️」
②「どちらかのデザイナーがメインプロダクトを持ち逃げしバックれる💨」③「世界観の統一がなされない🌈」
④「レイヤールールなど統一規格がないからサブデザイナー修正時に工数が増える🔥」
とかです。(なぜすぐ出るかというと経験があるからですねお疲れ様です。)
解決可能だと判断したのは、世界観統一とデータバックれに関してはクラウドサービスでの保存とfigmaの活用で解決できる、力量差萎縮問題に関してはデザイナーたちの強みが異なることが前提としてあるし、チームの心理的安全性が確保されるか否かによって発生確率が上下するが誰かが誰かの友人という関係性のチームのため心理的安全性が高いと判断しました。④に関してはレイヤールールまで指定すると指揮が下がる懸念があったので、担当領域を完全に分けることにして修正工数が少なくなるようにしました。事前にtakenのイラレのバージョンが異なることを知っていたので、データ欠如に気をつけてチェックすることができました。
得意な領域がわかれすぎてて草
デザインスタイルガイドでは、様々な手法を使って共通認識を取るようにしました。「暖かい色」だけで終わらせず、「無駄がある」=「APPLEのデザインとは違う」などアンチパターンを記載することでより解像度を高められたと思っています。
おしゃべじたぶるのデザイントーンイメージにちかい作品列挙。
アンチパターン
カラーについても複数きめましたが、実際のUIデザインとは異なっています。あくまでイメージの仮ぎめというだけで、イトー君がデザインするときに好きに修正してくれと伝えていました。最終でもいい色を選んでてすんごいなと思いました。
ユーザー導線も参考にしています。
実は、一番コストのかかるUIUX分野を就活で忙しい三年のイトー君が担当して完走できるのか若干不安でしたが、無事最後までやり切っていて普通にすげぇなと思いました。エンジニアやユーザーと一番話す部分を他者が担当しているのをみて、いい仕事してるなと思ったし、UIデザイナーが花形と呼ばれる理由がわかるような気がしました🌸
また狙った取り組みではないのですが、Discordの画面共有をみながらイラレをいじるモブデザインができたのが最高でした。こういう制作の仕方もあるのかと知ることができたし、楽しかった。またやりたい。
技術力が強いイトー君とアイデア力のあるtakenは、2人とも強みが異なるデザイナーなので、うまく協業ができれば面白いものができるんじゃないかと思ってたことについて、彼ら2人の強みがうまく噛み合って協業できていたものといえばおしゃべじたぶるのロゴです。
おしゃべりを葉っぱの形にするというアイデア自体とラフ案をtakenが考え、ブラッシュアップをイトー君がしていました。ロゴを共作するってよっぽどお互いの理解がないと無理だと思うんですが、すごいなと思ってました。あれ…?私何もしてなくね…?
改善点としては、figmaのデータ整備です。時間が少なかったことと分業制を強めたのでさほど困りはしませんでしたが、ボタンのデータだけをダウンロードするときにどのデータが最新か一眼でわからないことがありました。イトーくんに聞けばいいんですが、長期的に見るとコミュニケーションコストかなと思うので、余裕があればここにも着手をしたかったです。またfigmaの良さを生かしやすいatomic designを導入してもよかったのかな?と思います。(エンジニアの工数がわからないのですがiOSなら変わらないみたいなことを言われた気がするのでなくてもよかったかも)
想定外でよかったなと思ったことは、🍣です。蒟蒻畑チームでは不穏な時に寿司が投げられるのですが、技術的に知識がない領域(IoTやサーバなど)で何が起こっているのか、ヤバくないのかを図で判断することができました。(🍣あるけど大丈夫…?)みたいな。共通ルールが根付いているのもチームの状況が良いことに他なりませんが、便利でした。
余談
プロモーション動画でタネを撒くシーンを取るためににんじんのタネを巻いたんですが、回収できずいちごの苗鉢ににんじんが芽吹いてきて困ってます。発芽率よすぎ。
これはgithubを使わなさすぎてエンジニアと圧倒的な差を見せつけられた様子。でも今回のハッカソンで使うことが増えたので使っていきたいなと思います。
最後に
いや〜、楽しかったから長文になってしまった。卒業する前に面白い人たちと面白いことができたのでとてもとても楽しかったです。また面白そうなことがある人は是非是非呼んでください。お酒には気をつけます!