戦前のドレスデンを訪れる(その1)
ドレスデンは、旧東ドイツ地区のチェコ国境に近いところにある、かつてのザクセン王国の都。「エルベのフィレンツェ」と言われた美しい街だった。
しかし、第2次大戦の爆撃で徹底的に破壊され、瓦礫の山になった。
その後再建されたが、再建期に社会主義国家だったこともあり、戦前の栄華とはほど遠い街になってしまった。ケーニッヒスベルクほどではないが、「いまはもう訪れることが出来ない街」だ。
しかし、「バーチャルツア」という強力な武器を持っているわれわれにとっては、最適探訪地の一つだ。時空を飛び越えて、戦前のドレスデンを訪れることにしよう!
まず、街の概要を掴んでおこう。
下の写真は、グーグルアースで現在のドレスデンの中心地を見たところ。画面の上が北になる。
画面上方にエルベ川が見える。架かっている橋は、アウグスタス橋。
画面の左に見える広い庭園に面した宮殿がツヴィンガー(Zwinger)。
タイトルバックにある写真は、戦前のツヴィンガーだ。この宮殿にあるアルテ・マイスター絵画館には、ラファエロの「システィーナのマドンナ」がある(疎開していて戦災を免れた)。
ツヴィンガーの北、エルベに面したところにある空色の屋根の建物は、ゼンパー・オーパー(Semperoper)というオペラハウス。リヒャルト・ワーグナーが指揮者を務めた期間があり、「タンホイザー」などの初演劇場として知られている。
下の写真は、戦前の写真。ほぼ同じあたりを、ほぼ同じアングルで見ている。
戦前に立ち並んでいた壮麗な建築物が、戦後はなくなってしまっている。
タイトルバックの写真に見える教会の2つの尖塔は、上の写真のほぼ中央にある教会のものだ。ところが、グーグルアースの写真では、この教会はない。
アウグスタス橋からツヴィンガーに向かう道はゾフィーン通りというのだが、ここに面して建っていた華麗な建物も、戦後の写真ではさま変わりしてしまった。
戦前の写真では、そこから右(東)に向かって魅力的な趣の建物が並んでいるのだが、戦後のグーグルアースの写真では、無愛想な四角形のビルになっている。
下の写真も戦前のもので、ほぼ同じあたりを、違うアングルで見ている。
画面右に見える巨大なドームが、聖母教会(Frauenkirche)。
以上で見た、ツヴィンガー、ゼンパー・オーパー、聖母教会が、ドレスデンのランドマークだ。
下の地図を見て、場所をよく確認しておこう。
Image Credits
1
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dresden_Zwinger_1900.jpg
4
http://www.bildindex.de/bilder/fm932540a.jpg
12
https://www.stadtrundfahrt.de/img/karten/zwinger.jpg
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