ビッグデータとプロファイリングは、計画経済を可能にするか?
経済活動は、極めて多数の人や企業によって行われている。
仮に政府がそのような情報を全て集めることができれば、政府が全体の経済活動の方向付けと具体的な内容を指示すればよい。これが計画経済の考えだ。
1930年代に社会主義経済が登場した時、そのような経済運営が可能になるのではないかという考えが生まれた。
それに対して、そうしたことを行うには膨大な情報の交換が必要であり、とても現実には行えないという議論がなされた。
現実の世界では、他の人が企業がどのように行動しているかは、正確には分からない。
古典的な経済学はそうしたことが全て知られているという前提のもとに議論をしたが、現実は大きく違う。現実には、人々や企業は、他の人々や企業が何をしているかについてのごく不確かな推測のもとで活動している活動している。
フリードリッヒ・フォン・ハイエクは、「価格」という単純な情報に、局所的な事態に関する情報が集約されて伝達され、経済全体としての調整が行なわれるとと考えた。
ソ連においても、中国においても、あるいは東欧諸国においても、社会主義経済が失敗したことは、ハイエクの考えが正しいことを証明したと言える。 しかし、市場経済においても、ハイエクやアダム・スミスが想定したように価格が完全な調整機能を果たしているわけではない。
ところが、ビックデータによってプロファイリングが行われるようになると、市場における情報の不確実性が克服されるような気がする。
これは、計画経済的な運営を可能にするものなるのか?それとも、市場経済を補完するだけのものなのだろうか?