超整理日記(第795号):何かおかしいマイナンバーとキャッシュレス
◇ 面倒なだけのマイナンバー
情報に関連する日本政府の政策は、どうしてこう見当違いのばかりなのだろうか?といつも不思議になります。
第1は、「マイナンバー」です。
このところ、私はマイナンバーに振り回されています。私は、出版社などいくつかの会社から収入を得ているのですが、そこからマイナンバーの提示を求められているのです。
もっとも、私は面倒だと思うだけで、大した被害を受けているわけではありません。
大変なのは、出版社のほうでしょう。返信用の立派な封筒を送ってきます。これに要する費用も馬鹿にならないはずです。
さらに、これを受け取ってから処理するのも大変な作業でしょう。紙に手書きしてある情報を読み取って処理しなければならないので、かなりの人力が割かれているのではないかと想像されます。
では、マイナンバー制度から私がどのような利益を受けているかと考えてみると、思い当たることがありません。身分証明書に使えると言うのですが、持ち歩くのも危険ではないかと思うので、しまいこんだままになっています。
ナンバー制度が導入された時に期待したのは、これが徴税の公平確保に使われることでした。日本では金融資産の把握が不十分であるため、この把握に用いられることを期待しました。
もし金融資産が完全に把握できれば、現在は分離課税である資産所得を総合課税化できます。そうすれば、税の公平性は大いに向上するでしょう。
しかし、そのような利用はまったくなされていません。
利益がなくて面倒なだけというのであれば、国民にそっぽ向かれてしまうのも当然です。
◇ 何のためのキャッシュレス化?
第2は、キャッシュレス化です。
マネーの本質は情報です。つまり支払いと決済に関する情報処理をいかなる手段で行なうかということです。
これまでの日本では、少額取引に関しては、「日銀券」という物理的な手段用いてこれを行っていました。
しかしこれは大変効率が悪いものです。支払い決済を電子的に行なう手段が発達したため、キャッシュレス化を実現して経済活動の効率化を図る、ということが目的なのです。
したがって、いかにして効率的な情報システムを作るかが問題なのですが、そうした視点がありません。
日本政府は、消費税の増税とともに、ポイント還元によってキャッシュレス化の促進を図りました。確かにキャッシュレス化は促進されたのですが、これで一体どのような効果が得られたのかは不明です。
何のためにキャッシュレス化を促進したのかがはっきりしないからです。
世の中で「キャッシュレス化が必要」と言われているので、とにかくキャッシュレス率を高めれば良いだろうという姿勢で行なわれたことが明白です。
最も重要なことは、支払い者の側からみれば現金を持ち歩いて必要がなくなること、店舗の側から言えば会計処理が簡単になることです。
しかしそのどちらも達成されたとは言えません。大きな理由は、あまりに多数の電子マネーが生まれたため、店舗型も利用者もいちいちそれに対応せざるをえないことです。こんなにたくさん電子マネーが生まれたのではとても使い物になりません。
店舗の効率化という観点からすると、現在の電子マネーには問題があります。クレジットカードやスイカは手数料が高いので、店舗にとってはかえって負担になる場合も多いのです。したがって、本来であれば、末端段階における価格の安定した仮想通貨の導入が考えられるべきだったのです。