本__2_

新聞切り抜きからついに解放された(Google Pixelを使う:その7)

切り抜きの山に悩まされ続けた
新聞記事は、情報を取り入れる入り口として、大変重要だ。
しかし、それを情報源として活用するのは、簡単ではない

これまで、私は必要な記事を破いていた。切り抜く時間的な余裕はないからだ。ナイフやハサミを探しにいくより、このほうがずっと早い。
そして、それをただ積んでおく。
しかし、たちまちのうちに切り抜き(正確には、「破った紙片」)の山ができてしまう。また、読んでない新聞も積み上がる。机の上が古新聞の山になってしまって、精神衛生上、非常に良くない。

しかも、保存した記事のストックを利用できるかというと、難しい。
1、2週間であればその切り抜きがおよそどこにあるかの見当がつくが、それを過ぎると、とても無理だ。
折角残して置いたのに、それを見つけ出すことができないということが頻繁に生じる。活用できるのは、せいぜい2,3日だ。

情報を取得し、ストックしたのに、 それを引き出せないのである
こうした状況が続いていた。

記事そのものはウエブにあるのだが、引き出せない
ところで、新聞記事そのものは、いまやウェブでほとんど手に入る。一昔前までは署名記事などはウエブになかったが、今はそれも入手可能だ。

「だから、切り抜きを残すというような面倒なことをせず、最初から検索すればよいではないか」と言われるだろう。
しかし、そうはいかないのである。
目的の記事を検索で一発で探し出すのは、それほど容易ではない。「AI」というような一般的な検索語では、とても無理だ。「プロファイリング」程度に絞っても見つけられない。 新聞名などを入れてand検索にすればだいぶ対象は縮まるが、それでも難しい。要するに、見いだしたい新聞記事は、情報の大海にのみ込まれてしまったのである。

 それに、最大の問題は、「何を検索したらよいのか?」ということを思い出せない場合が多いのである。何か重要なテーマに関する記事を見た記憶はあるのが、キーワードが何だったかを思い出せないのだ。思いつくキーワードは一般的なものばかりなので、検索しても関係のない記事が多数ヒットして、目的の記事にはたどり着けない。
ウェブにある情報は、もちろん質の高いものもあるが、全体の数が膨大なので、質の低い情報も含まれている。検索で上位に来るものが質が高いとは限らないのだ。新聞記事で印象に残ったのは、間違いなく重要な記事だったのである。それを逃さずに押さえておけることは、大変重要だ。

グーグルレンズで見出しをテキスト化して残す
Pixel3で文字映像のテキスト化ができるようになったので、長年の難問を解決できるメドがついた。
グーグルレンズで、新聞記事の見出しをテキスト化し、それをコピーしてGoogleドキュメントに貼り付けておけばよいのである。この間の手間は数秒しかかからない。

見出しのテキスト化は、 音声入力でもできる。もっと正確に行なうには、スマートフォンの仮想キーボードに入力すればよい。
しかし、上の方法で行なうのがもっとも簡単だ。

後になって記事そのものが必要になったら、記録しておいた見出しをコピーして検索する。
これまでの経験だと、ほぼ確実に目的の記事が検索結果のトップにでる。

一つのページに記録しておく記事があまり多くなると、分からなくなくなってしまう。1つのドキュメントにせいぜい100記事くらいにしておくのがよいだろう。1日5記事とすれば、1月弱ということになる。
なお、記事を時間順に並べておけば、「ほぼいつ頃のもの」ということで、見当がつく。これは、「超」整理法の基本的考えだ。

雑誌についてはどうか?記事そのものがウェブでは簡単に手に入らない場合が多いから、どうしても残したい記事があれば、写真を撮っておくのが良いだろう(スキャナでPDFにするより、写真を撮る方が簡単だ)。

簡単にできないと続かない
「やればできる」ということと、「そのほうが便利だ」ということは違う。
整理をすること自体が目的ではない。情報をストックすることが目的ではない。
いくらストックしても、必要なときに引き出せなければ、宝のもちぐされだ。というよりは、単にゴミの山でしかない。
 新聞記事についていえば、朝食をとりながらしながら、2紙を処理できる程度の簡単さでなければ、実用にならない。

いま、「99.99%の確率でうまくいくが、準備に5分間かかる」仕組みと、「10秒でできるが、うまくいく確率は8割でしかない」仕組みがあったとしよう。どちらがよいか?
その判断はもちろん対象によるのだが、新聞記事の検索であれば後者がよいことは明らかだ。
整理」というのは、ほとんど役に立たない仕事なのである。しかし、やらないでいると仕事に支障がでる。だから、やむを得ず整理する。
だから重要なのは、「ほぼ目的が達成でき、しかも簡単に実行できる仕組み」を考え出すことだ。「完璧に機能するが、実行するのが面倒な仕組み」では意味がない

問題発掘リストにもなっている
やってみると、「新聞見出しリスト」は、私にとっての問題発掘リストにもなっていることが分かった。これを出発点にして、考えを進めることができる。
「原稿の締め切りが迫っている。でも何について書けばよいのか、テーマが見つからない」という経験は、文章執筆者であれば、誰でも持っている。
これに対する一つの答えが「アイディア農場プロジェクト」なのだが、「新聞見出しリスト」もその機能を果たすことが分かった。
これらを組み合わせて「アイディア生産工場」を作ろうというのが、私のプランだ。

精神衛生的に楽になった
見出しのテキストを取得した記事は、すぐに捨ててしまう。重複取得を防ぐためだ。
「捨ててしまえる」というのは、快感だ。しかも、「必要になるかもしれないのに、捨ててしまえる」というのは、かなりの優越感(?!)を味あわせてくれる。

これまで、「ひょっとすると必要になるかもしれない」と思って切り抜きの山を作り、それが精神的重圧になっていた。そこから、やっとのことで解放された。
私の精神状態は、このところ大幅に改善されたと思う。

しかし、まだ完全でない
しかし、これまで述べてきた方法は、完全なものではない。
それは、グーグルレンズが、必ずしも即座に見出しを認識してくれるとは限らないからである。
したがって、上記の方法は改善の余地がある。それについては、別の機会に論じることにしたい。

AIの眼を駆使する「超」仕事法(目次)

ホーム

メタ・ナビゲーション(野口悠紀雄のnoteの総目次)

AI関連note記事 目次

Google Pixelを使う 目次


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?