デジタル課税は理論的裏付けを欠いている
経済協力開発機構(OECD)がデジタル課税の国際ルールの新枠組み案を示した。2020年の最終合意をめざす。
それによれば、「売上高」基準として税収の国別配分を決めるという。
この場合の売上高とは何のことだろうか?
例えばGoogleをとってみよう。Googleは、検索サービスやメールサービス、地図サービスなどを日本の利用者にも提供している。しかし、これらを対価をとって販売しているのではない。サービスの価格はゼロである。
グーグルが有料で提供しているものは、ピクセルなどのスマートフォンやそのアクセサリ、あるいは、Googleアカウントでの拡張容量へ課金などしかない。これらは、あまりたいした額にはならないだろう。
もちろん、Googleは日本で収益を上げている。その大部分は広告料収入だ。
これを「売上高」とし、それを基準に課税しようというのだろうか?
しかし、Googleの広告の大部分は、小規模な企業のものが多く、しかも、その大部分はインターネット上で契約がなされていると思われる。
これを調査するのは、かなり大変なことだろう。
デジタル課税のルールで「売上高」とされているものは、こうしたものではなく、検索サービスやメールサービス、地図サービスなどの利用状況から一定の算式にしたがって推定された値なのではないだろうか?つまり、その国での「活動量」といったようなものである。
しかし、こうしたものを課税標準として課税するということは、これまではなかったことだ。
そうした課税を正当化する理論とはいかなるものだろうか?
デジタル課税論は、その最も基礎的なところで、理論的裏付けを欠いていると考えざるをえない。
なお、ディジタル課税の対象とされるのは、GAFAなどアメリカの企業が中心だ。
BATと呼ばれる中国のプラットフォーム企業は、海外での活動はあまりないので、課税されることはない。
すると、ディジタル課税は、BAT(あるいは中国)に対して有利に働くことにはならないだろうか?
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