1-3月期の営業利益が33.9%減
人件費が弾力的に動かないので、売上高の減少で営業利益が大きく減少している。
◇売上高 が3.5%減で、営業利益が33.9%減少した
法人企業統計によると、1-3月期の全産業の売上高 は、前年同期比で、372.5兆円から359.6兆円へと13.0兆円減少(率では3.5%減少)した。
これに対し、売上原価を286兆円から280兆円へと5.8兆円削減し(率では2.0%減)、 販売費及び一般管理費を67兆円から66兆円へと5965億円削減した(率では0.9%減)にもかかわらず、営業利益が19.5兆円から12.9兆円へと6.6兆円減少(率では33.9%減)した。
売上高営業利益率は、5.2%から3.6%に低下した。
なお、売上原価+販売費及び一般管理費+営業利益=売上高の関係がある。また、人件費は44.4兆円から44.2兆円へと、2261億円の減少(率では0.5%減)。
◇ 人件費計があまり圧縮されないため、営業利益が減った
仮に、売上原価と販売費及び一般管理費が売上高の減少率と同じに3.5%減少すれば、全体が比例的に減少するのだから、営業利益の減少率も3.5%となり、売上高営業利益率も5.2%のままだったろう。
しかし、実際には、売上げ原価はかなり圧縮したが、販売費及び一般管理費や人件費計があまり圧縮されないため、営業利益が減ったのだ(注)。
このように、人件費が弾力的に動かないので、営業利益の変動率は売上げ高の変動率より大きくなる。ここ数年は、売上高のわずかの増加で、営業利益が大幅に伸びた。いまは、それが逆回転し、売上高の減少で営業利益が大きく減少する。
◇ 4-6月期は、売上げ高が1割減少し、赤字となるか?
売上高や利益は、4-6月期はもっと悪化するだろう。
仮に13x3=39兆円減少すれば、売上げ高減少率は10%となる。一割減経済は、4月の鉱工業生産指数や小売売上高から、あり得る数字だ。
これに対して人件費を削減できなければ、営業利益はマイナスとなる可能性が強い。
(注)人件費は、売り上げ原価にも販売費にも含まれる。人件費は、従業員給与より広い概念。