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『どうすれば日本人の賃金は上がるのか』:全文公開 目次
『どうすれば日本人の賃金は上がるのか』 (日経プレミアシリーズ)が9月13日に刊行されました。
これは、目次の全文公開です。
目 次
はじめに 毎日、勤勉に働いているのに賃金が上がらない
第1章 シリコンバレーの技術者は年収1億円
1 アメリカのトップ技術者の壮絶な年収
先端IT企業に存在する「年収1億円サラリーマン」
基本給のほかにストックオプションもある
平均エンジニアでも年収3000万円
シリコンバレーが全米の給与を牽引している
2 アメリカでは高度専門職の報酬が高い
日本社会は高度専門家に高い報酬を与えない
所得の偏りが著しいアメリカ、平等に貧しい日本
「アメリカのようにはなれない」 日本を覆う〝諦めムード〞の危険
3 アメリカの賃金を引き上げる「アマゾン効果」
アメリカで「コストプッシュ・インフレ」が起きているか?
アメリカでは物価上昇率よりも賃金総額の伸び率が高い
「アマゾン効果」は本当にあるのか?
日本では、情報通信業でも企業の付加価値が増加していない
4 「日本全体の約4分の3」の経済力を持つシリコンバレー
シリコンバレー企業の時価総額は「旧東証一部企業の4分の3」
アップル・スペースシップ:巨大な宇宙船の降臨
スタンフォード大学の敷地は、山手線内側の半分
第2章 これでいいのか日本 いまや韓国より低賃金
1 韓国の賃金は日本より高い
日本の賃金水準は「他の先進国の5〜8割程度」
平均賃金が20年間上昇していないという大問題
2 一人あたりGDPでも韓国や台湾が日本を抜きそう
豊かさの指標・一人あたりGDPが示す衝撃の事実
G7で日本が最も貧しい国に / アベノミクスの円安政策が日本を没落
させた
3 このまま購買力が低下すれば、日本人はどうなる?
円の実質実効レートは固定為替レート時代に逆戻り
為替レートの影響を除去しても、日本の賃金は下落
日本のビッグマックはついに中国よりも安くなった
iPhoneをなぜ「高い」と感じるようになったのか?
4 給与面から解剖する「ロシア軍の正体」
実は弱かったロシア軍 / 軍人の給料が高くないから、優秀な人材が集
まらない
月給わずか1780円の兵士もいる /殺されて1万2000円か、生き
延びて530万円か
ロシアの一人あたりGDPはマレーシアと同じくらい
クリミア編入後に、GDPが大きく下落 / ロシアの貧しさを他山の
石に
5 日本と韓国 本当はどちらが豊かなのか
日韓どちらが豊かかは、指標によって変わる / 賃金と一人あたり
GDPはどこが違うのか?
生産性と一人あたりGDPの違い / パートタイマーを考慮する必要
6パートタイム労働者の扱いが重要
就業形態で大きく違う賃金
日本ではパートタイム労働者の比率が高い / 日本の統計は不完全
第3章 賃金を決めるのは、企業の「稼ぐ力」
1 「稼ぐ力」がものすごい企業
ゴミ捨て場に生まれて、半導体を制覇したオランダ企業
ニコン、キヤノンの優位をASMLが覆す
日本メーカーの「自社主義」が、「分業主義」に負けた
「核になる技術」を持っていたので負けた
2001年に注力すべきだったのは、デジタルカメラか、半導体製造
装置か
2 アメリカ先端IT企業の給与が高くなるメカニズム
「従業員一人あたりの付加価値」が給与水準を決める
シリコンバレーのIT企業の賃金はなぜあれほど高いのか?
賃金が上がる製造業と、上がらない製造業の違い
3 あの会社の給料は、なぜ高いのか? その原因を解明する
従業員年収1000万円以上の会社に見る、2つのタイプ
従来型の製造業では、年収1000万円は無理
企業の規模が大きくなっても、賃金は上がらない / 一人あたり付加価
値と年収を比較する
第4章 あなたの給料は、日本人の平均より高いか?
1 統計で見る日本人の平均給与
日本人全体の平均年収は360万円だが……
45〜49歳で正規なら、「月収40万円」が目安
正規と非正規の賃金差は年齢とともに広がる
学歴を得る努力が経済的に正当化できるか?
2 「成功者」といえる年収はいくらか? そうなる人の比率は?
国家公務員の給与:本省課長なら年収1200万円を超える
民間企業では、年収1000万円超えが「成功」の目安
「成功者」と呼べる年収がもらえる人は、大卒者の5分の1
日本の「成功者」の年収は、アメリカ修士の初任給程度
3 大企業では、男性従業員の3割が年収1000万円超
会社内での自分の所得の位置づけを知るには? / 所得の分布は 「パレート分布」
製造業大企業や銀行では、男性の約3割が年収1000万円
超 /推計方法
4 50代世帯は所得で4グループに分けられる
世帯総所得1000万円超は、全体の12・1%
25〜34歳層でも年所得1000万円以上の世帯が3%
50代では、年所得1000万円以上の世帯の比率は、20%程度
50代の所得による4つのグループとその割合
第5章 賃金格差はなぜ生じるのか?
1 賃金格差を是正しなければ所得格差を是正できない
所得格差を生む大きな要因は賃金格差
バラマキでは格差を解消できない
2 業種別・企業規模別に大きな賃金格差がある
業種別・企業規模別で5倍以上もの賃金格差
高度成長期から変わらない大企業と中小企業の「二重構造」
業種による賃金格差が生じるメカニズム
3 賃金格差を決めるのは「資本装備率」
なぜ大企業と中小企業で賃金格差が生じるのか?
賃金格差を生むのは、従業員一人あたりの固定資産の差
4 一人あたり付加価値が高くなるメカニズム
なぜ資本装備率が賃金に影響するのか?
小企業は、大企業より効率的に付加価値を生産できる
大企業と小企業の賃金格差を政策の力で改善できるか?
企業規模による賃金格差が、製造業で大きく、小売業で小さい理由
売上高・付加価値の比率は、なぜ小企業のほうが高くなるのか?
「日本の生産性が低いのは零細企業が多いから」は本当か?
ファブレス製造業の生産性は高い / デジタル化への投資で生産性
を高める
5 飲食業は本当に極貧産業なのか?
飲食サービス業の年収は141万円でしかない
パートの影響を調整するため、「フルタイム当量」を計算する
パートが多いのは、ファミレスとコンビニ
適切な統計データがなければ適切な政策は生まれない
第6章 物価は上がるが賃金は上がらない
1 物価も賃金も上がるアメリカ 物価は上がるが賃金は上がらない日本
日本の「実質賃金」は危機的な状況に / アメリカでは賃金と物価
が上昇している
春闘で賃上げしても、経済全体の賃金は上がらず / 日米の賃金決
定メカニズムの違い
日本で、物価が上がっても賃金が上がらない2つの理由
日本人は「賃金が上がらない」より「解雇される」を恐れる
物価とともに賃金が上がったオイルショック時との決定的な違い
2 円安がインフレを増幅する
なぜ今回は深刻なのか? これまでの原油高、円安局面との違い
アメリカの利上げで、超円安が進んだ理由
急激な円安は、日米金融政策の差による
3 円安が国益であるはずはない
「円安が望ましい」という誤解 / 企業の利益が増えても、国全体
の利益にはならない
民主党政権も円安を求めた / 日本の失敗は、円安という麻薬に頼
ったこと
今回の円安が従来と違う理由 / 通貨安の恐ろしさが、日本でもよ
うやく理解される
4 日銀は金融緩和から脱却し、円の価値を守れ
物価対策という対症療法の前にまずすべきこと
円安スパイラルをぜひとも阻止せよ / 日銀は中央銀行本来の使命
に戻れ
消費者と労働者の利益を守る政治勢力が存在しない
第7章 どうすれば日本人の賃金を上げられるか?
1 なぜ政策で賃金が上がらなかったのか?
賃金を上げるための、たったひとつの道
安倍内閣の春闘への介入や、賃上げ税制が奏功しなかったのは、な
ぜか?
最低賃金引き上げや同一労働同一賃金は、見かけ上の効果しかない
2 賃金を上げるためにまず行うべきこと
「分配なくして成長なし」でなく「成長なくして分配なし」
年功序列的な給与体系や退職金はいまのままでいいのか?
個人の能力を高めるために、高等教育を改革 / 労働力の減少にど
う対処するか?
3 税制は働き方を変える
「主要国中で日本だけが平均賃金下落」の背景
社員もパートも賃金は下がっていないのに、なぜ平均賃金が下がる
のか?
パートが増えるので平均賃金が下がる / 日本ではパートタイム労
働者の比率が増加している
税制の見直しで女性の社会参加を促せ
4 通常の「労働力率」は、実態を表していない
日本人の45%しか働いていない / 日本は女性の潜在力を活用してい ない
「日本人の6割近くは働いていない」という衝撃の事実
5 日本型報酬体系が、企業の変革を阻害している
欧米諸国では、30歳以降は年功で賃金は上がらない
年功序列の報酬体系があるから、デジタル化が遅れる
転職者が少ないと、産業の新陳代謝が起こらない / 60歳からの 生活をどう支えるか?
6 ジョブ型雇用は日本経済再生の突破口になるか?
ジョブ型雇用の導入企業が広がる / ジョブ型が本当に必要なの
は「経営」
日本の雇用体制は、戦時中に確立された「1940年体制」のまま
「もらいすぎ中高年」対策から、人生100年時代の雇用へ
7 「新しい付加価値を生み出す企業」を作れ
日本にとって最も重要な長期的経済課題 / 「停滞」でなく「衰
退」に陥る危険
国際的分業とファブレス製造業を目指せ / ビックデータの活用を
目指せ
政府の役割は補助ではなく「変化を阻害する条件の撤廃」
雇用調整助成金に見る雇用優先政策の行きすぎ / 大学を補助する
のでなく、学生を補助せよ
あとがき 人の生くるは、パンのみによるにあらず
「高い給与を追い求めるのではなく、足るを知るべし」との考えに ついて
そして、大審問官の物語