『日本の税は不公平』全文公開:目次
『日本の税は不公平』(PHP新書)が3月27日に刊行されました。
これは、目次の全文公開です。
目次
はじめに
税の不公平に国民の怒りが爆発している 3
高齢化による負担増は避けられない。不公平こそが問題 4
税制への信頼こそ国の基礎 6
年金、医療、介護はどうなる? 7
公平な税制を目指せ 8
第1章 税を誤れば国は滅びる
1 パーティー券収入のキックバック裏金問題 30
政治家に対する国民の不信が爆発 30
これは、脱税事件ではないのか? 31
2 政治資金非課税扱いの根拠は薄弱 33
政治家個人への政治資金は雑所得 33
パーティー券収入は、事実上、非課税扱い 34
政治家個人への寄付は、禁止の場合が多い 36
政治資金規正法は、課税については何も規定していない 37
なぜ政治家の活動だけが特別扱いなのか? 37
パーティーは、本当はビジネスではないのか? 39
国会議員には非課税の所得が多すぎる 40
3 裏金問題は、脱税問題ではないのか? 42
キックバック収入:個人が受け取ったのなら雑所得 42
資金管理団体が受け取った場合:「確実に公益目的」と言えるか?
政治活動に対するあまりに寛大な扱い 44
すべてが政治資金に使われたら、課税対象にならないのか? 45
「政策活動費」という巨大な魔物 47
税制に対する国民の信頼が崩壊するおそれ 48
4 税負担の不公平が、裏金事件の本質 50
市民団体が自民党裏金問題を脱税と告発 50
政治家と一般国民が、納税義務で別扱い 51
キックバックは議員個人の所得であり、申告が必要 51
なぜ政治家だけが税負担を免除されるのか? 52
負担の公平がなければ、高齢化社会を乗り切れない 54
5 税への不満が革命を引き起こす。ただし、日本は例外 55
税への不満が、マグナ=カルタと名誉革命の原因 55
フランス革命:税をめぐる利害対立が革命に 58
課税への反対が、アメリカの独立につながる 61
6 税制の改革に成功したローマ帝国のアウグストゥス 64
必要な増税をしない日本の首相 64
パックス・ロマーナの基礎:ローマ税制を作った人 65
徴税請負制度を廃止 67
アウグストゥスはローマ市民にはじめて負担を求めた 70
改革は既得権との闘い 71
300年間続いた平和国家の基礎を構築した 72
アグリッパ、マエケナスとの友情 74
第1章のまとめ 75
第2章 気がつけば、いつの間にやら負担増
1 「税」が「今年の漢字」になった理由 78
税について奇妙な政策が横行し始めた 78
われわれの生活は、税と社会保険料でがんじがらめ 80
日本の国民負担率は50%に近づいている 81
原則が平気で無視される 82
ステルス負担増:いつの間にか負担が増加 83
2 おかしな政策がまかり通る末期的状況 85
防衛費増額は、実際には赤字国債で賄われる 85
法人税の増税を検討すべきだ 86
社会保険料と税の混同 87
3 どんな観点からも正当化できない所得税減税 90
何のためか分からない所得税減税 90
物価対策ならまず円安是正を 93
人気取りにもならない 94
非課税世帯への給付は、大変な事務負担 95
やるべきことは山ほどある 96
所得税制度の改革が急務 97
効果のない賃上げ税制 98
国民は、安心して老後が過ごせる社会の設計図を求めている 99
第2章のまとめ 100
第3章 税と社会保障の制度を概観する
1 日本の税制はどうなっているか 104
所得税などの国税 104
住民税などの地方税 105
医療保険料などの社会保険料 106
2 所得税、法人税、消費税が基幹税 107
所得税のあらまし 107
法人税のあらまし 108
消費税のあらまし 109
3 社会保障制度はどうなっているか 112
一般会計予算の約3分の1を占める社会保障費 112
厚生年金、国民年金などの公的年金の概要 112
被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度 113
老人医療無料化で受診率が急上昇した 114
要介護と認定されれば、保険給付を受ける 116
4 国民負担率、社会保障給付費で国際比較 118
社会保障支出の比率が圧倒的に高い 118
社会保障給付費とは 119
国民負担率と租税負担率 120
家計の負担率はどの程度か? 123
「知らしむべからず」の税統計 125
第3章のまとめ 127
第4章 本当の問題は、高齢化による負担の増加
1 高齢化の進展で、消費税率は12%以上に 130
社会保障がどうなるかは、すべての人にとって切実な問題 130
今後20年間が胸突き八丁 131
社会保障給付の対GDP比が1割上昇 133
2040年には国民負担率が50%近く 134
消費税率を12%以上にする必要 135
保険料と自己負担増:世代間のバランスは? 136
2 政府は、現実性のある社会保障長期計画を示せ 138
安心して老後生活を送れるか? 138
2024年は、公的年金財政検証の年 139
公的年金の財政検証では、実質賃金の伸び率が最大のポイント 140
自己負担のあり方を考え直す必要 141
経済全体の問題として捉える必要 143
3 MMTとは何か? どこが問題か? 145
コロナ禍で、国債による財政支出急拡大 145
インフレが起きた 146
内国債は、負担を将来に移転しない 147
別の意味での「国債の負担」は発生する 149
コロナ後の日本では、インフレという形の負担 150
4 逃げ水のような財政再建目標 152
「プライマリーバランスを黒字化する」という目標 152
成長ケースでも、2025年度にPBの赤字が残る 153
国債残高の対GDP比はベースラインケースでは上昇 154
消費者物価上昇率と長期金利 154
日銀の金融政策との整合性 155
財政再建が忘れられている 158
第4章のまとめ 159
第5章 年金が破綻する日
1 「100年安心」のために辻褄合わせをする財政検証 162
「100年安心」年金と財政検証 162
架空の数字で辻褄合わせ 163
これまでの財政検証の問題点 164
2 厚生年金は破綻する可能性がある 166
年金の収支計算の難しさ 166
保険料が減り、給付額が増える 167
国庫補助金を含めても経常収入は減少する 168
厚生年金の経常収支の推移 170
マクロ経済スライドだけでは解決できない 172
ゼロ成長経済では、2040年に赤字が年間約10兆円 174
厚生年金の積立金がなくなる 174
支給開始年齢引き上げの検討が必要 176
積立金運用収益をあてにできない 177
非現実的に高い賃金上昇率を仮定し、問題を隠している 178
どうすれば年金制度を維持できるか? 180
3 老後に必要な資金は、2000万円ではなく、3700万円 強 181
うやむやのままの老後必要資金2000万円問題 181
持ち家であり健康であることを前提にした支出想定 182
高齢者世帯は持ち家が多いが、そうでない世帯もある 183
要介護になると、自己負担分は月平均8・3万円 184
80歳台後半には、多くの世帯が施設に入らざるをえない 185
豊かな老後生活のために最も重要なのは、健康 187
第5章のまとめ 188
第6章 医療保険の負担増
1 医療費の負担増はどの程度か? 190
人口高齢化で医療費が増加する 190
医療費や保険料についての政府の見通し 191
高齢者が増えるから、医療費が増える 192
若年者の負担と高齢者の負担 194
高齢化の影響 195
医療保険の自己負担を引き上げる動き 196
2 医療費自己負担の増加は、負担の増加ではないのか? 198
子育て支援金の何が問題か? 198
負担ゼロは「見せかけ」か? 199
「国民負担」の定義は妥当か? 200
自己負担問題の重要性は増す 202
適切な自己負担が必要 203
第6章のまとめ 204
第7章 介護保険の崩壊を何とか食い止めなければ
1 待ち構えるのは介護地獄 206
介護問題はますます深刻化する 206
85歳以上で要支援・介護にならないのは、稀なこと 208
2 要介護人口が増える 210
2040年には要介護・支援者が1000万人に迫るとの予測も 210
3 介護従事者を確保できるか? 212
極めて高い有効求人倍率 212
介護職員が減少している 213
深刻な労働力不足 215
外国人労働力に頼れるか? 216
訪問介護は破綻寸前 217
4 介護保険料引き上げはやむをえない 218
保険料が引き上げられ、さらに自己負担も増加 218
保険料引き上げだけでなく、労働力移動促進も必要 219
第7章のまとめ 220
第8章 公平な税制こそ何より重要(その1)
1 政府は、リスク投資を煽るのでなく、公平な税制を目指せ 224
新しいNISAが始まった 224
NISAはリスク投資を増やす効果を持たないだろう 225
NISAによる節税効果はどの程度の大きさか? 226
「貯蓄から投資」はナンセンス 227
リスク資産が望ましいわけではない 228
2 金融所得課税の改革が必要──「1億円の壁」 231
所得税は総合課税が原則だが「1億円の壁」があった 231
課税強化は、「岸田ショック」で見送りに 232
最低22・5%の税負担としたが、解決にはほど遠い 232
資産の海外逃避? 233
3 マイナンバーで資産を把握できる 235
マイナンバーで資産を把握できる 235
マイナンバー法を改正 236
マイナンバーカードとは別の問題 236
マイナンバーの利用範囲を拡大 237
口座の名寄せには、すべての銀行預金をマイナンバーに紐付ける必要 238 名寄せができれば、税務調査は容易に 240
住基ネットは無残な失敗に終わった 240
国民コントロールの手段に用いられる危険 242
4 政府への信頼の上に立つ北欧の国民背番号 244
スウェーデンの国民背番号PIN 244
デンマークやエストニアにも似た仕組み 245
第8章のまとめ 245
第9章 公平な税制こそ何より重要(その2)
1 日本の税制はフリーランサーを抑圧している 248
フリーランサーは、税務申告しなければならない 248
収入から課税所得を算出 249
消費税の転嫁が難しい 250
「特定支出控除」での積算の難しさ 251
青色申告や法人化をすればどうか 252
「フリーランサー控除」の新設が考えられる 254
アメリカでは、フリーランサーでも概算控除 255
納税するための負担 257
2 高齢者が働くと、これほど重い負担 259
You might think, but tax is a heavy fish. 259
自己負担は必要だが、いかなる仕組みにするかが問題 260
現役並み所得は、3割負担 261
「現役並み」との理由付けは正当化できるか? 262
働くと、高額療養費の上限も高くなる 263
所得が多いと介護保険自己負担率が3割に 264
なぜ所得があると介護サービスの利用を制限されるのか? 265
3 消費税とインボイス 267
間接税には欠陥があると考えられていた 267
付加価値税は、「前段階税額控除方式」で間接税の問題を解決した 269
インボイスによって前段階の税額を控除する 270
免税、簡易課税、非課税 271
これまでの消費税での前段階控除は、帳簿および請求書方式 272
インボイスの魔術(その1)……次段階への転嫁が容易になる 273
インボイスの魔術(その2)……ごまかしができず、免税業者の利益 がない 274
零細事業者にとって転嫁は依然として難しい 275
フランス3大発明の一つ 277
日本もインボイスに移行 277
4 「ふるさと納税」は地方自治を破壊する 279
過熱した返礼品競争、金券を配る自治体まで 279
大都市の税収減が無視できない額に 280
日本人の崇高な精神を堕落させる 283