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『指輪物語』(その2)ローハンの姫君エオウィン

 『指輪物語』第2部は「二つの塔」。
 第1部と第3部では、ドラマチックな物語が展開するのに対して、第2部ではあまり大きな動きがない。
 しかし、ここでヒロインが登場する。ローハンの姫君エオウィン(ミランダ・オットー)だ。
 原作でも映画でも、一番魅力的なのは、エオウィンだ。彼女が物語全体の主人公だといってもよいだろう。

 大河アンドゥインのラウロスの滝の前で、旅の一行はオーク(魔法使いサウロンの手下である怪物)の襲撃にあう。その後、一行は2手に分かれ、フロドとサムワイズは、指輪を破壊するため、冥王サウロン が支配するモルドールに侵入し、滅びの山へ向かう。

 他のメンバーは、ローハンの都エドラスに向かう。エドラスは、白の山脈(White Mountains)の斜面にある山城。
 原作では、「草原にひとつだけ丘があり、その背後に雪の山脈が横たわる」と記述してある。撮影隊は、ニュージーランド中をヘリコプターで飛び回って、ここを発見したのだそうである。そして、セットを作った。

  ローハンの王セオデンは名君だったが、蛇の舌グリマに操られて判断力を失っている。それを悲しむのが姪のエオウィンと、彼女の兄エオメル

 ガンダルフはサルマンの魂を追い払い、セオデンはかつての偉大な王に戻る。
 エオウィンは、アラゴルンを一目見て慕うようになる。これが物語で唯一のラブストーリーだ。

 サルマンは、オークの大軍を差し向けて、ローハンを攻撃する。
 
 ここで映画と原作がだいぶ離れているので混乱する。
 原作では、ローハンの人々は、白の山脈の奥のハロウ砦に避難し、軍は北にあるヘルム峡谷の石の要塞である角笛城で対戦する。
 ところが、映画では、セオデンは国民と共に角笛城に向かう。国民を戦場に引き連れていくというのは、まったく変な話だ。

 原作では、地名(人名もそうだが)は、同じところを別の言語で言っている場合がある。しかも、日本語訳はまた別なので、混乱する。
 それに加えて映画のストーリーが原作と違うので、さらに混乱する。
 原作では、戦いがあるのは、Helms'Deep(ヘルム峡谷)のHornburg(角笛城)。待避所はDunharrow(ハロウ砦)。

 上の地図でしっかり把握していただきたい。この物語は、人名を覚えるとともに、地名も覚えないとよく理解できない
 逆に言えば、この物語ほど「勉強するほど面白くなる」ものはない。

 苦戦の末、エルフの軍隊が到着し、ローハン軍の勝利に終わる。

 他方、フロドたちは、モルドールでの苦難の旅を続ける。
 そして、指輪大戦争が迫る


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