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「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す(第1章の3)

3.基本的な考えを変えれば大きな可能性が開ける

◇「捨てること」をやめて「検索する」
あまりに簡単に情報を生産したり入手したりすることができるようになったため、われわれは新しい情報洪水に呑み込まれそうになっていると、2で、述べました。
呑み込まれるのは、情報を扱う基本的な考えが、従来のままで変わっていないからです。
とくに問題なのは、「いらない情報は捨てなければならない」という考えです。情報が紙の書類であった時代には、これは正しい考えでした。いらない情報を抱えていては、新しい情報を収納する場所がなくなってしまうし、必要なものが見つけられなくなるからです。
しかし、この考えをAIの時代にも実行しようとすると、大きな困難に直面します。情報が増える度合いがあまりに速いため、捨てようとしても、とても追いつかないのです。「情報に呑み込まれてしまう」ことになるのは、このためです。
他方で、デジタル情報については、収納する場所の制約を考える必要がなくなっています。さらに、検索をすることが容易になっています。そこで、基本的な考えを大転換し、「捨てる努力をせずに、検索できる仕組みを作る」ことに努力を振り向けることにします。
すると、まったく新しい可能性が開けるのです。その1つの例が、第3章で提案する「超」メモ帳です。これは、音声入力を用いて検索することによって、大量の情報を管理しようというものです。これは、AI時代のメモ帳です。紙のメモ帳とは比較にならないほど強力です。スマートフォンに付属しているメモ帳と比べても、想像もできないほどの便利なメモ帳ができます。キーワードをうまく設定すれば、無限とも言える量の情報を保存しても、使いたいファイルをすぐに引き出せますし、重要なファイルを見失ったりすることがありません。
このメモ帳の具体的な作り方は第3章で詳しく説明しますが、「基本的な使い方を考えれば大きな可能性が開ける」ということを、あらかじめ強調しておきたいと思います。


◇画像認識をうまく使えば仕事と生活が変わる
画像認識の機能も、新しい可能性を開いてくれます。これについては、第5章以降で解説しますが、あらかじめ概略を述べれば、以下のとおりです。
まず、グーグルレンズの機能を、大きく2つに分けて考えると、分かりやすいでしょう。
第1は、カメラが撮った画像が何であるかを識別する機能です。第2は、書籍などに印刷されている文字を判読する機能です。これらの各々について、現在のグーグルレンズの能力は、およそつぎのようなものです。
写真画像の判別能力については、バラの花をバラと認識することはできます。しかし、バラの種類を教えてくれるまでにはなっていません(第5章の1)。人間の顔も識別します。とくに、欧米の俳優は、かなり正確に認識します。ところが、政治家はだめです。現代の政治家だと、トランプ大統領やオバマ前大統領であっても認識できません(第5章の1)。この機能については、まだ実用段階には達していないと考えざるをえません。商品の識別もできるのですが、それは文字情報に頼って行っている場合が多いようです(第5章の1)。
 グーグルレンズがすでに大きな実用価値を持つのは、文字の認識です。とりわけ、それほど長くない文字列や文章の認識です。これについては、すでに実用段階に達しています。この機能をうまく利用することによって、仕事の能率を大きく上げることが可能です。本書は、つぎのように、いくつかの具体的な使い方の提案を行っています。

(1)検索
これまで意味が分からずに放置していた言葉がたくさんあるはずです。それらの意味を、グーグルレンズで簡単に知ることができるようになりました。これまで毎日見ていたもの、何気なく見ていたものが、新しい意味を持つようになります。
ある言葉が分かると、つぎつぎに他の言葉の意味が知りたくなってきます。好奇心はつぎつぎに広がっていくものです。あらゆることに好奇心を持つようになります。調べた新しい言葉から、新しい世界が広がるのです。独学の第一歩は、このようにして、簡単に踏み出せます。

(2)印刷物の情報をテキスト化
翻訳したい文章があれば、グーグル翻訳にシームレスにかけて和訳できるので、外国語の書籍を読むのがきわめて楽になりました。中国語、韓国語、ロシア語などの新聞記事や文献も簡単に読めます。
また、音声で読み上げてくれます。この機能は、勉強に使えます。とくに、独学の強力なアシスタントとなります。外国語の独学は、いまやきわめて簡単になりました。これらの機能について、第6章で述べます。

(3)URLの読み取り
URLを読み取るために、現在ではQRコードが広く使われています。最近では特別のアプリがなくてもスマートフォンがQRコードを読み取ってくれるので、便利になりました。
グーグルレンズは、URLを元の文字のままでも読み取ります。このため、「URLを提示して、それを読み取ってもらい、サイトに誘導する」ということを、誰でも簡単に実行できるようになります。これは、広告のビジネスモデルを大きく変える可能性を持ちます。また、リアルな空間や、印刷物(紙の新聞や書籍、雑誌など)の価値を高めるでしょう。これをうまく使える企業が業績を伸ばします。さらに、ハイパーリンクと同じような機能を、紙の新聞や書籍が果たせるようになります。これらについて、第7章で述べます。

(4)資料やデータの整理
グーグルレンズは、名刺を撮影して、そこから名前、電話番号、メールアドレス等を自動的に識別して抽出し、アドレス帳にシームレスに登録します。また、「メール」というボタンを選択すると、メール作成画面が開き、読み取った相手のアドレスが入力された状態になっています。したがって、本文を入力するだけで、ただちに発信することができます。
また、グーグルレンズを活用すると、新聞記事の切り抜き作業から解放されます。
グーグルレンズは領収書の情報をテキストに変換することはできます。ただし、ここから支払先や金額のデータを自動的に抜き出す機能は、現在はありません。したがって、領収書の整理のためには工夫が必要です。これについて、第8章で述べています。

以上をまとめると、図表1-2のようになります。


◇個人情報を知られる問題をどう考えるか?
情報爆発に関しては、管理が難しくなったこと以外の問題もあります。とくに、「無料、無制限の保存」に警戒心を持つ人がいます。これによって、詳細な個人情報がグーグルなどのサービス提供者に集まってしまうからです。
これが重要な問題であることは事実です。それに対する社会的な規制について、現在、さまざまな議論が行われています。
個人の立場から、この問題をどう考えるべきでしょうか?
個人情報がサービス提供者に知られるのは怖いので、こうしたサービスを使わないという人もいます。しかし、「では、どうしたらよいのか?」となると、適切な解がありません。自分で管理しようとしても、攻撃などに対しては、そのほうが危険です。現代の世界で、Gメールやグーグルフォトのようなサービスに依存せずに生活したり個人が仕事を進めるのは、きわめて難しくなっているのです。
これは、いまになって初めて生じた問題ではありません。検索エンジンを用いるようになったときに、すでに発生していました。どんな事項を検索しているかは、細大漏らさず検索エンジンの提供企業に知られてしまうからです。さらに、Gメールが登場したときも、連絡している内容がすべてグーグルに筒抜けになってしまうため、ITに詳しい人が拒否反応を示しました。「だから、私はGメールを使わない」と言っていた人が、ずいぶんいました。
これに対して私は、つぎのように考えました。
「グーグルは確かにわれわれのプライバシーを握っている。しかし、それを悪用することで得られる利益はごくわずかだ。その半面で、悪用が明るみに出たときにグーグルが被る損害は甚大だ。このため、グーグルが合理的な企業であるとすれば、決して悪用しないはずだ。他方で、グーグルのサービスに依存しないと、もやは効率的な情報管理ができない。だから、それを利用すべきだ」
この考えは、いまでも正しいと思っています。

第1章のまとめ

AI時代になって、音声入力や画像認識ができるようになりました。これは、コンピュータが耳や眼を持ったのと同じことです。これによって、コンピュータと人間の距離が縮まり、コンピュータを使いやすくなりました。

▼その半面で、個人が持つ情報の爆発的増大という事態が生じています。このため、大量の情報を持ちながら、それを有効利用できなくなりつつあります。

▼こうした状況に対処するには、「情報を捨てずに、検索する」と、基本的な考えを転換することが必要です。



・「超」AI整理法(note版)目次




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動画説明は書籍版と別のものです。写真は、書籍版にないものも掲載しています。書籍版への追加は、随時、更新する予定です。

『「超」AI整理法』(KADOKAWA、2019年6月)のnote版です。本文は基本的に書籍版と同一ですが、「超」メモ帳とアイディア製造工…

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