「超」整理日記(第798号):コロナをオンラインワークへの転機にできるか?
◇災いを転じて福となす:オンライン・ブレインストーミングへ
私はいま本を執筆中です。そのためのブレインストーミングをあるグループで行なっていたのですが、コロナ騒動のため、3月始めに予定していた集まりは中止せざるをえなくなりました。
その代わりに、オンラインのブレインストーミングを行なうこととしました。
本の原稿はGoogleドキュメントに書いており、それをすでにグループで共有していたので、オンラインブレインストーミングへの移行は簡単に行なえました。
Googleドキュメントのコメント機能を活用すればよいわけです。
これによって極めて効率的にブレインストーミングを行なえることが分かりました。
この発見は、まさに「災いを転じて福となす」です。
◇オンラインのほうが、実際に集まるより便利
実際に集まるより、オンラインのほうが便利な面がいくつもあります。
第1に、集まるために予定を調整する必要がない。
第2に、会合場所までの移動時間を節約できる。
第3に、時間を合わせなくとも、意見のやりとりを行うことができる。シンクロナイゼイションの必要がない。
つまり、空間的にも時間的にも、コーディネーションする必要がほとんどないということです。いわば、時空の制約を超えて意見交換ができるのです。
それだけではありません。
実際のブレインストーミングでは、メモを完全に取ることができず、重要なポイントを記録できないことがあります。しかし、オンラインの場合には、記録は自動的に残るので、その問題もありません。
また、後から見返して、自分1人で対話を行ないながらアイデアを膨らませていくことも可能です。
◇ 「会議文化」を転換する契機とできるか?
コロナウィルス事件で、日本の企業も在宅勤務に切り替えたところが多いようですが、どのような仕組みで行なっているのでしょうか?
会社によって差があると思いますが、Googleドキュメントの活用は、在宅勤務のためには極めて有効な手段になると思います。
こうした方法は、一部の人の間では、暫く前から行なわれていたようです。
ナサニエル・ポッパー『デジタル・ゴールド』(日本経済新聞出版社、2016年)には、ビットコインが2014年2月に危機に陥ったとき、Googleドキュメントを用いて共同声明の作成をする場面がでてきます(p404)。
共同声明を作るために集まって草案を書こうとしても、忙しい人ばかりで時間の調整が難しく、しかも地理的にも離れたところにいる。他方で、共同声明の発表は大至急行なわなければならない。このために、実際に会合を待つのではなく、Googleドキュメントが使われたのでしょう。
日本の会社であれば、こうした場合には、万難を排して緊急会議ということになるでしょう。
こうした「会議万能文化」を見直し、オンラインで仕事を進めるような習慣が定着すれば、まさに「災いを転じて福となす」ことになるでしょう。
◇ 日本の会社はクラウドに対応できるか?
ただし、ここで問題となるのは、日本企業のデジタル情報処理の仕組みが、こうした移行に対応できるかどうかです。
日本の大企業の多くは独自のデジタル情報システムを構築しており、すべての社内情報を社内サーバで処理するようになっているところが多いようです。
私は昨年刊行した『AI「超」整理法』で、「超」メモ帳という仕組みを提案しました。
ところが、ある人が言うには、この仕組みは大変便利だが、会社の仕組みでは使うことができない。なぜなら、会社から支給されているスマートフォンは、ダウンロードできるアプリが決まっており、自分勝手にアプリをダウンロードするわけにはいかないと言うのです。
Googleドキュメントはダウンロードできないので、「超」メモ帳は使えないと言うわけです。これを聞いて、私は仰天しました。
noteの「小言幸兵衛の日記」で、「メールへの添付文書にパスワードを付けるのはやめてほしい」と書いたことがあります。
その後、「会社の仕組みでそのような設定になっているので、どうしようもない」ということを聞きました。
◇ 閉鎖システムでは、オープンイノベーションは望むべくもない
日本では、多くの企業が自分自身のネットワークに閉じこもっていて、それを外部のネットワークに繋げていません。
したがって、自社の人との間ではデジタル情報交換ができても、他の会社の人との間で行なうのは不可能、ということになるのです。
会社だけではありません。日本政府もそうです。政府は2020年にクラウドを導入することを決めました。「今頃クラウドか!」と驚いたのですが、それが実態なのです。
「オープンイノベーション」ということが叫ばれますが、デジタル情報管理システムが自社中心で固まってしまっていては、望むべくもないでしょう。
◇アンケートにご協力ください
日本で在宅勤務の状況がどうなっているかを、知りたいと思います。
このためのアンケートにご協力ください。
下記のボックスに記入の上、Submitボタンを押してください。
なお、結果は、note等で公開することがあります。