日本経済最前線

財政収支と社会保障の将来推計

◇ 財政収支試算
  内閣府は、7月31日の経済財政諮問会議に、中長期の経済財政に関する試算を提出した。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0130/shiryo_05-1.pdf

 2020年代前半の実質GDP成長率が2%程度、名目成長率が3%程度になる「成長実現ケース」でも、25年度は2・3兆円の赤字、26年度も0・3兆円の赤字になる。黒字達成は2027年になる。

 もともとは20年度の黒字化を目指していたが、消費税の増税延期等から、昨年、達成目標を25年度に先送りした。今年1月の時点では26年を見込んでいたが、さらに延期されたことになる。

 「成長実現ケース」が実現できるかどうかも問題だ。第2次安倍政権発足後に実質2%を超える成長率を記録したのは、消費税増税前の駆け込み需要があった13年度だけだ。「成長実現ケース」が実現できなければ、目標の達成はさらに遅れる。

 安倍首相は、参議院選挙前に、今後10年間程度は消費税率を10%から上げる必要はないと発言している。


◇2040年の社会保障費
  内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省は、2018年5月21日に、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」を公表している。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf

 それによれば、 社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%(名目額121.3兆円)から、2025年度に21.7∼21.8%(同140.2∼140.6兆円)となる。
 その後15年間で2.1~2.2%ポイント上昇し、2040年度には23.8~24.0%(同188.2~190.0兆円)となる。


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