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『ChatGPT「超」勉強法』 全文公開: 第4章の3
『ChatGPT「超」勉強法』(プレジデント社)が3月15日に刊行されました。
これは、第4章の3の全文公開です。
3 文章を読む訓練を、ChatGPTで行なう:丸暗記法の(2)
単語の意味を、辞書で調べるのでなく、文脈の中で理解する
ChatGPTを使えるようになっても、英語の勉強において丸暗記法が正しいことは変わらない。むしろ、丸暗記法の有効性が高まった。
具体的にはつぎのとおりだ。丸暗記の対象として選んだ英語の文章の中には、意味が分からない単語も入っているだろう。一般的な意味が分かっても、その文章の中での意味が理解できない場合もある。
そうした場合、これまでは、つぎのようにしていた。まず、辞書を引いてその意味を知り、それを文章に当てはめて、文法の知識と組み合わせて解釈し、理解する。そして、全体を理解していく。つまり単語から始めて個々の部分の理解を積み上げ、全体を理解していた。これが、「分解法」だ。
ところが、ChatGPTを利用できるようになったので、これをつぎのように変更することができる。
辞書を引かずに、文章全体をChatGPTに翻訳してもらうのだ。全体が長ければ、全文の翻訳でなく、要約でもよい。それを読んで、全体の意味を摑む。
このようにして全体を把握してから、英文を読むのである。つまり、意味が分かっている英文を読むのだ。
部分から全体への理解ではなく、全体から部分への理解
一度全体の意味を知れば、英語の文章を読んだとき、その中にある分からない単語の意味も、全体の意味や文脈から推測することができるだろう。そうしてから、全体の文章を何度も繰り返し読んで、暗記するのである。こうすれば、この文章の中にある様々な言葉の意味は、文脈から理解して覚えることになる。
つまり、分解法のように個別の単語ごとに意味を辞書で調べて全体の意味を摑むのではなく、まず全体の意味をChatGPTの翻訳で知り、それを手がかりにして文章中の単語の意味を知るのだ。
さらに、つぎのような読み方をする。
初めに、全体の核になるような主張を探す。それがどこにあるかは、日本語訳ですでに知っているから、英文でも、どこにあるかおおよその見当がつく。そして、その周辺を詳しく読む。また、全体を流し読みしてから、重要と思われる箇所を見出して、そこから理解を広げていく。
このような読み方はすぐには身に着かないかもしれないが、ChatGPTで日本語訳を読んでから英語を読むというやり方を続けていくと、自然に身に着くはずだ。
少なくとも、「最初の文章が完全に分かってから、つぎの文章に進む」というような読み方はしなくなるだろう。どこかの文章の意味が分からなくても、分からないままつぎに進み、文章全体の構造を摑むという読み方に変わっていくはずだ。
そのうち、どこが主要な部分かを早く摑めるようになる。われわれは、日本語の文章を読むときには、無意識のうちにそうした読み方をしている場合が多いのだ。同じようなやり方を、外国語の文章を読むときにもするようになるだろう。
分解法が個別の単語から文章の全体の意味を知ろうとするのに対して、この方法では、まずChatGPTで全体の意味を捉え、それによって個別の単語の意味を知ろうとする。つまり、部分→全体ではなく、全体→部分の理解になる。これは、第1章の1で述べた「超」勉強法の基本原則だ。
ChatGPTを用いることによって、このような理解の方法が可能になる。従来とは違う方法で、英語の文章を読めるようになるのだ。
幼児が文章を理解するのと同じプロセス
言葉の意味を文脈の中で捉えるのは、たいへん重要なことだ。人間の幼児も、そのような方法で文章を理解しているはずだ。個々の単語の意味をバラバラに覚え、それらを文法によって組み立てて文章を理解しているのではないだろう。つまり、「分解法」で理解しているのではないはずだ。
そうではなく、まず文章全体の意味を捉え、それまで意味を知らなかった単語は、全体の意味と前後の文脈から理解しているはずである。
実は、大規模言語モデル(LLM)も、言葉の意味を他の言葉との間の相対的な関係で理解している(*注)。幼児もLLMも、「辞書に書いてある意味を当てはめる」という機械的な操作をしているのではないのだ。
ところが、外国語の勉強については、多くの人が分解法、つまり機械的な当てはめを行なっている。『超「超」勉強法』の第3章の3で、「分解法だから英語が上達しない」と指摘したように、単語の意味を単語帳で覚え、それを組み立てていくという方法では、言葉は上達しないのである。
ChatGPTによって、外国語についても、分解法からの脱却が可能になった。全体の意味を知ってから英語の文章を読めば、文脈の中でその単語の意味を推測する読み方ができるようになる。これは、英語の勉強においてたいへん重要な意味を持っている。
*注 『生成AI革命』第6章の5。
試験の長文読解問題が難しい理由
ChatGPTに翻訳させてその意味を知ってから英文を読むと、理解しやすくなる。「意味を知っているのだから、英文を読んで意味が分かるのは当然だ」と思われるかもしれない。
確かにそうなのだが、われわれは日常、文章を読むとき、そのおおよその意味をあらかじめ知ってから(あるいは、推測してから)読んでいる場合が多いのである。何が書いてあるかまるで分からない文章を読むということは、滅多にない。
例えば、本や新聞を読む場合、われわれは、そのような読み方をしている。本であれば章や節のタイトルによっておおよそ何が書いてあるか分かるので、その理解のもとに読む。新聞の場合も、見出しを見ておおよその内容を知ってから、中身を読む。
ところが、試験の長文読解問題では、内容が何かということは示されていない。見出しも要約もなく、突然文章が出てくる。だから、最初の文から一文一文読んでいくということになって、理解が難しくなる。
しかし、「ChatGPTに翻訳させて、全体の意味を知ってから英文を読む」という勉強法を続けていると、試験の場合にも、「まず全体をざっと眺めて、どのあたりに主要な部分があるか見当をつける」という読み方ができるようになるだろう。