見出し画像

データ資本主義

1.データキャピタリズム?資金力でも権力でもなく、データ
<利益構造の変化>
 ・ハードウェアの生産によって得られる利益の比率が低下し、ソフトウェアによる利益が増大する(こうなったのは、新興国工業化のためでもある)。
 ・アップルは水平分業とスマイルカーブの利用で利益を増大させた。
 ・これから生じる顕著な例は自動車の自動運転による変化。

<資本が必要ない>
 ・これまでの経済活動の基本的要素は、生産設備、独占力、技術力だった。いずれも資本力を必要とする。
・いまデータ。これは、資本を必要としない。

<データキャピタリズム>
 ・資金力でも権力でもなく、データ。
・新しいフロンティアが開ける。長期停滞論は、この可能性を見ていない。

<日本は新しいタイプの経済構造に立ち後れ> 

2.ビッグデータとAIの時代
<情報からビッグデータへ>
 ・情報は、これまでも重要だった。しかし、個々の情報が価値を持っているものが重視された。
 ・ビッグデータは、個々は価値が低い。大量にまとまることで価値を生む。

<ビッグデータの収集>
・検索のデータ
・メールのデータ
・Facebookのデータ
・電子マネーのデータ
・コンビニのポイントカード
・YouTubeのデーター

<その利用>
 ・検索連動広告、ターゲット広告、レコメンデーション
 ・プロファイリング、信用度スコアリング、セグメンテーション
 ・パターン認識、顔認識、音声認識

<積極的に収集される場合もある> 
・ウエイもは走行してデータを集めている。
・Netflixはデータを集めている。
・Googleはセマンテック検索のために知識のデータを集めている。また、世界中の図書館のデータを集めようとした。
・Google マップストリートビュー。
 これらのデータがどう使われるのか、いまのところよくわからない場合もある。

3.GAFA、BATによる独占
<無料で集めたデータを価値ある資本に転換>

<一人勝ち>
・インターネットの世界がフラットになっていない。
・技術のジャイアント。開発力を独占し、スタートアップを買収する。

<この構図は変わらないのか?>

4.データを制する者が世界を制するのか?
<第1命題:「データを制するものがAI(人工知能)を制する」>
 機械学習のためにビッグデータが必要。個別の情報はそれほど価値がないから、サービス提供の見返りに自動的に得られるものでないと、採算に合わない。
 ここから、GAFAやBATの一人勝ち現象が生じた。
 検索やメールやSNSはトロイの木馬だった。

<第2命題:「AIを制するものが世界を制する」>
 AIを利用する企業は、そうでない企業を駆逐する。例:プロファイリング

<AIの開発主体とAIの利用主体は、必ずしも一致しない>

5.中国の特殊性
・アメリカでプライバシー保護のためできないことを、中国ではできる 。
 個人情報保護に対する意識が低い。政府の援助もある。
・多様性を確保できるか?

6.いくつかの問題
・ビッグデータは、もともとは個人データ。
 しかし個人情報保護法では保護ができない。
EUデータ保護規則(GDPR)「プロファイリングされない権利」
・フェイスブック問題
・独占禁止法の問題

7. AIで.計画経済を実現できるか?
・ハイエクの議論。AIがマーケットシステムにかなわない。
・金融市場は極めて効率的。
・AIが発展しても、計画経済を実現できない。

ホーム

メタ・ナビゲーション(野口悠紀雄のnoteの総目次)

AI関連note記事 目次

いいなと思ったら応援しよう!