外資が脱中国の動きを鮮明に
米中貿易戦争は、中国経済に大きな打撃を与えている。
とくに大きな影響を受けているのが製造業だ。
また、外資が脱中国の動きを鮮明にしている。
◇中国製造業成長率が1ポイント低下
中国国家統計局が16日発表したGDP統計によると、製造業の成長率は4~6月に5.5%となった。これは、1~3月に比べて1ポイントの縮小であり、15年の公表開始以降最低の値だ。
製造業だけで、GDPの成長率を0.3ポイント下押しした。
工業生産は、1~6月に前年同期比6%増と、1~3月より伸び率が0.5ポイント低下した。
生産低迷は設備投資の落ち込みも招いている。1~6月の製造業の設備投資は、3%増にとどまった。
製造業の不振は雇用に悪影響を与えている。1~6月の都市部の新規雇用は737万人で、前年同期比で2%の減となった。
民間企業の倒産も高水準で推移している。
◇外資が脱中国の動き
外資企業は中国経済で重要な地位を占める。
国家統計局によると、外資の輸出入額は17年に約1兆8千億ドルであり、全体の4割を超える。
17年末時点において、外資と香港や台湾系企業を合計した都市部の雇用者数は、約2600万人であり、全体の約15%を占める。
ところが、外資企業が生産拠点を中国外に移す動きが加速している。
アップルが生産を委託する中国企業は、ベトナムでイヤホン生産に乗り出す。
在中国のアメリカ企業でつくる中国米国商会が5月に実施した調査では、会員企業の4割が「生産拠点を移転したか、検討中」と答えた。
こうした動きがあるので、輸出に依存する外資系企業の不振が顕著だ。
民間企業の生産は8.7%増えたが、外資は1.4%増にとどまった。上半期ではリーマン・ショック直後の09年以来、10年ぶりの低水準だ。
上で述べた設備投資の減少は、外資中心に工場の海外移転が進んだためだ。
これに対して、インドやベトナムなど中国周辺への投資額は、1~3割伸びている。
ただし、企業は二重投資のコスト増など、新たな課題に直面する。
なお、米国はベトナム経由の迂回輸出に神経をとがらせている。米商務省は、ベトナムで最終加工した韓国や台湾の鋼材に高関税をかけた。