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第4章 AIに高度知的活動ができるか?(その1)

1 AIは文章を書くことができるか?

・創造的な仕事は聖域でない
 これまで、創造的な仕事は、コンピュータの力が及ばない領域だと考えられていた。経営の基本戦略策定など、高度の判断が必要とされる分野もそうだ。これらは、経験を重ねてきた人々の直観的な判断によって行なわれるものとされてきた。
 多くの人々は、アルゴリズムに発明や創造や高度の判断はできないと考えている。しかし、そうした分野にもコンピュータが入り込んできた。
 これらが聖域であるという考えが危険な思い込みであることが、日に日に明らかになりつつある。
 すでに述べたように、実際、ビッグデータを用いるディープラーニング型のAIが、図形認識で目覚ましい成果をあげている。囲碁でも、AIは人間に大勝した。
 では、高度知的活動の分野で、AIは、どの程度のことまでをできるようになっているのだろうか?

・すでにAIが報道記事を書いている
 AIが文章を書く試みが広がっている。これには、いくつかのタイプのものがある。
 第1のタイプは、データを与えて定型的な記事を書くものだ。これは、すでに実用化されている。
 AP通信は、2014年7月から、アメリカ、オートメイテッド・インサイツ社(AutomatedInsights)の「ワードスミス(Wordsmith)」というAIを使った記事を配信している。
 ワシントン・ポスト紙は、社内で独自開発したAIを用いて、リオデジャネイロ・オリンピックで記事を配信した。試合結果やメダル獲得数など、短い原稿を担当した。
 日本では、日本経済新聞が『決算サマリー』で、上場企業が発表する決算データをもとに、AIが売り上げや利益などとその背景などの文章を作成し、配信している。
 気象予報のニュース原稿についても、AIの活用範囲が広がっている。
 ジェイムズ・バラット『人工知能―人類最悪にして最後の発明』(ダイヤモンド社、2015年)によると、オートメイテッド・インサイツ社の自動出版プラットフォームは、1年間に10万件のスポーツ記事を作成する。試合が終了してから、わずか数分間で記事を作成できる。金融、天気、不動産、地方ニュースのコンテンツも提供できる。
 ナラティブ・サイエンス社は、2010年にノースウェスタン大学の研究者たちが中心となって設立したベンチャー企業だ。同社が開発した人工知能エンジン「クイル」は、30秒ごとに新しいニュース記事を配信する。フォーブス誌などの一流メディアによって使用されている。
 その後の報道では、オートメイテッド・インサイツ社のAIは、1秒間に2000本の執筆が可能で、2014年に作成した記事・レポートは10億本にも及ぶという。

・ウェブ記事のリライトサービスや広告コピーの作成
 AIが文章を書く第二のタイプは、ウェブの記事を元にして、新しい文章を作成するものだ。
 この範疇のものとしては、「リライトツール」がしばらく前から存在していた。アクセスが多いウェブページを元に、表現等を書き換えてコピー記事を作る。そして、剽窃チェッカー(コンテンツの盗作を見つけるアプリ。Copyscape などがある)のテストに通ることができるようにするのである。
 こうした記事はまとめサイトなどで多用されていたのだが、社会的な問題を引き起こした。
 2016年の11月頃、DeNA(ディー・エヌ・エー)が運営していた医療サイト「WELQ」(ウェルク)がリライトツールを用いて作成していた記事が、引用のレベルを超えたとして問題になり、同サイトは閉鎖に追い込まれた。
 最近では、複数のサイトから元記事を集めて新しい文章を作るサービスが登場している。
Articoolo は、2~5個のキーワードを入力すると、20秒程度で文章を生成してくれる。2018年2月に、日本語版が使えるようになった。
 Articoolo のサイトにあるFAQによると、つぎのような手続きで文章が作られる。まず、トピックの文脈を分析する。AIがそれを理解したら、最適なソースを基礎部分として探し出し出し、そこから重要なキーワードを抽出する。ソースとしては、インターネット上に公開されている学術分野のデータベースを用いる。そして、最後に、意味の識別とテキストの読みやすさを検証する。仕上がった記事は、Copyscape によって剽窃とは判断されないものになるという。
 第三のタイプは、特定の作家の文章を大量に集めて分析し、新しい作品を描くものだ。その例として、「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」がある。
 これは、星新一のショートショート全編を分析し、それらを参考にして、AIがショートショートを創作するものだ。2012年にスタートし、2016年にはショートショートの新人賞である星新一賞(日本経済新聞社主催)に応募し、一部の作品は1次審査を通った(ただし、受賞には至らなかった)。
 商品の売り込みポイントを指示すると、広告用のコピーを作ってくれるAIもある。写真や動画から、自動で説明文を作成する技術もある。観光案内などにも応用できるという。
こうしたサービスが普及すれば、月並みなコピーライターはAIに変わるだろう。ただし、その場合であっても、ポイントが何か指摘するのは、依然として人間の仕事である場合が多い。

・AIによる文章執筆の限界
 右で見たように、AIは、様々なレベルの文章を書いてくれる。しかし、どの場合においても、つぎの二つの制約がある。
 第一は、テーマは人間が与えなければならないことだ。
 文章執筆で最も重要なのは、「一体、何について書けば良いのか?」というテーマの選定である。これは、質問を発する能力と同じことだ。AIにその判断ができるだろうか?
「AIはすでにレコメンデーションやパーソナルアシスタントができるのだから、文章のテーマ選択など簡単にできる」と考えられるかもしれない。
 しかし、レコメンデーションやパーソナルアシスタントは、ビッグデータから得られるものであり、普通の、ありきたりの考えを基にしている。そのような方法で得られるテーマについて文章を書いても、一般の人の普通の要求に応えることにしかならないだろう。
 右に述べたArticoolo は、現状では、公表できるような文章の生成ツールとしては、使いものにならない。求める内容に答えているとは思えないし、文章も日本語として認められるレベルになっていないものが多いからだ。
 こうした欠陥は、将来は改善されるだろう。しかしそれらが解決されたとしても、基本的な疑問が残る。
 将来、いかに性能が向上しても、リライトサービスが文章を書くためには、誰かが書いた元記事が存在しなければならない。何もないところにAIが新しい内容の文章を書くわけではないのだ。
 それに、文章を書くのは、主張したいことや伝えたいことがあるからだ、それを他の主体に書いてもらうというのは、一体どういうことなのだろうか? 基本的におかしなことだと考えざるを得ない。
 こうしたサービスが存在するのは、「掲載した記事で大量のアクセスを獲得できれば、広告収入が得られる。だから、検索エンジンでピックアップされそうなキーワードを使った文章を大量に作る」という需要があるからだ。これは、病理的なものと言わざるを得ない。
 そうではあっても、こうしたサイトは存在し続けるだろう。そして、リライトの仕事は、AIによって代替されることになるだろう。

・失敗に終わったAI会話ボット
 Tay(テイ)は、マイクロソフト(Microsoft)が作った学習型のAI会話ボット(チャットボット)。ユーザー個人の性別や好み、居住地や恋人の有無などを学ぶことによって相手を理解し、チャット(会話)相手になることが特徴だ。
 ターゲットは、チャットアプリを多用する年齢層である18歳から24歳に設定された。会話や質問に冗談を交えて答えたり、ゲームをしたり、送られた写真にコメントを書き加えて返すことが基本機能だ。Tay自身は設定上は女性。若者らしく俗語や省略綴り、絵文字も多用する。ユーザーとの会話を通じて、賢くなるはずだった。
 Tay はユーザーの振る舞いを学習し始めた。ところが、反ユダヤ主義と反フェミニスト主義の発言を学習し、攻撃的で不適切な発言を連発するようになった。このため、公開からわずか1日で停止に追い込まれた。
2017年に中国のIT企業テンセントがマイクロソフトの協力で作った会話ロボットBaby Q は、ユーザーからの「『中国夢』とは何?」との質問に「アメリカに移民すること」と正直に答えたりして、問題になった。「あなたは党を愛していますか?」という問いには「愛していない!」と答えるし、「共産党万歳!」というと、「こんなに腐敗して無能な政党なのに、それでも万歳なんて言えるの?」と答える始末。
何が正しい答えか?」というのは、きわめて難しい問題だという意味で、右の二つは、似たような話だ。

・人間でなければできない作業の価値は上がる
 文章執筆の仕事がAIによって奪われるという見方がある。これは、文章執筆者にとってAIは敵だという考えだ。
 しかし、AIが敵になるか味方になるかは、文章の内容や水準によって大きく違う。AIによって代替されない文章は残るし、そうした文章の作成には、AIは強力な協力者になってくれるだろう。
 AIが作成するのは、事実を伝える定型的な記事であり、データを与えて、それを人間が読めるような記事にするものだ。
 このタイプのものについては、人間とAIの住み分けが可能だろう。すなわち、事実を報道する定型的な記事はAIが作成し、それに対する評価や見通しは専門記者が書くという分担だ。人間でなければ書けない文章の重要性は、AIの活用によって向上するだろう。
 いずれにしても言えることは、人間の書く文章のすべてをAIが代替できるわけではないことだ。ウェブにある文章をまとめて要約するといった類の仕事は、AIに代替されるだろう。
しかし、質の高い仕事は、人間がやらざるを得ない。
 AIは、事実を伝えることはできても、「なぜ」「どのように」といった分析はできない。解釈を加えたり、批判したり、意見を述べることもできない。新しい視点や考えを提起することもできない。だから執筆者は残る。
 AIは、命令されれば株式市況やスポーツ記事を書ける。しかし、『戦争と平和』の現代版を書くことはできないのではないだろうか?
 つまり、こういうことだ。ウェブにある文章の表現を変えるようなことをやっている人々にとって、AIは明らかに脅威になる。しかし、他の人が書けない文章、新しい発想、新しい見方、新しい考え方を提供できる人にとっては、AIは決して競合者にはならず、むしろ良い協力者に、強力な味方になる。
 結局、「AIが敵になるか味方になるかは、どのような文章を書いているかによる」のだ。
 このようなプロセスを通じて、質の低い文章が淘汰され、全体としての文章の質が向上していくことを期待したい。そうしたことを実現するために望まれるのは、読者が質の高い文章を求めることだ。

2 「士業」はAIに駆逐されるか?

・税理士の92・5%はAIに代替される?
「士業」というのは、弁護士、税理士、会計士などの専門的な職業だ。これがAIによって駆逐されるという見方がある。
 日本経済新聞(2017年9月25日)は、「10~20年後に、日本の労働力人口の約49%がAIに代替可能」と報道して話題となった。
 この予測は、野村総合研究所が英オックスフォード大学との共同研究で2015年にまとめたもので、「弁護士は1・44%と低いものの、弁理士92・1%、司法書士78・0%、公認会計士85・9%、税理士92・5%が代替可能」とした。
 従来の会計ソフトは、PCにインストールして利用するものだった。しかし、インターネット上で処理できる「クラウド型会計ソフト」が登場し、急速に普及している。「freee(フリー)」や「MFクラウド(マネーフォワード)」などのクラウド会計ソフトの出現によって、仕訳入力作業(売上高や費用を分類する作業)の自動化が可能となっている。
 これらは、「税理士や会計事務所は不要になる」という触れ込みで利用者を増やしており、最近では税務申告を行なえる仕組みも整ってきている。
 クラウド型会計ソフトは、銀行口座の入出金やクレジットカードの明細、店頭レジなどに直接連結することができ、支払額や各取引の勘定科目を自動で入力できる。これによって、データ入力、銀行通帳の記帳、請求書の発行・郵送などが不要になっている。勘定科目なども自動で提案してくれる。
 全国青年税理士連盟は、2017年11月18日に、「人工知能(AI)の活用・開発状況に関するアンケートの結果について」を公表した。これは、「freee」や「マネーフォワード」などのベンダーに対して、AIの活用・開発状況に関してアンケートを行なった結果だ。
 結果の概要は、つぎのとおりだ。 
1.勘定科目・消費税の判定について、AIを活用して自動判定する機能があるか?
 弥生会計、MFクラウド、freee は、「リリース済み」としている。MFクラウドは、「機械学習による自動生成アルゴリズムを利用することで、初めて利用するユーザーでも、勘定科目を提案することができる」としている。
2.税務申告書作成(年末調整計算含む)に関するAIの活用予定はあるか?
「ある」との回答はなく、「今のところない」「検討中」などとなっている。

・AIの進歩によって、税理士の働き方は変わらざるを得ない
 将来を見ると、税理士業務の中で、会計の記帳代行業務や、税務申告作成代行業務などの定型的なものは、AIによって代替される可能性が強い。
 実際、エストニアでは、政府が導入した電子化システム「eガバメント」によって、口座取引、年金、税務署、社会保険などの情報をクラウド上で結合し、一つのデータベースで管理することが可能になった。このため、個人の住民登録や社会保険の手続き、納税などが簡単にできるようになり、税理士や公認会計士の仕事が大幅に減った。
 しかし、税理士が行なっている業務のすべてをAIが代替するのは難しいと考えられる。
 なぜなら、税制は、きわめて入り組んだ複雑な仕組みになっているからだ。判断のボーダーラインについて解釈の余地が多い規定も少なくない。
 例えば、ある支出が所得税で必要経費(法人税であれば損金)と認められるか否かは、微妙な判断を要する場合が多い。また、税法関連規定だけではなく、会計学、民法、会社法などの規定にも関連した専門的判断が必要になる場合もある。
 エストニアでは、eガバメントシステムの導入と同時に税制を簡素化したため、個人の税務申告の自動化が実現したといわれている。日本の税制は、これとは同列に論じられない。
 ただし、これに関しては、異なる見方が可能だろう。
複雑だからこそ、過去の微妙な事例を用いて機械学習し、処理することが求められるとの意見があるだろう。ただし、そうした事例が、ビッグデータとして利用可能なものになっているかどうかは疑問だ。
 はっきりしているのは、AIの進歩によって、税理士の働き方は変わらざるを得ないことだ。
 すでに述べたように、単純な事務処理はAIによって代替される可能性が強いのだから、主な業務内容をより高度なものにシフトしていく必要がある。とくに、単なる税務処理でなく、コンサルティング的な業務の比率を高めていく必要がある。

・不正会計の発見にAIの力を借りる
 前記日本経済新聞の記事では、公認会計士がAIによって代替される可能性は85・9%になっている。これも、税理士と並んで高い数字だ。弁護士とは違って、定型化されている業務が多いためだ。
 前述のように、クラウド会計ソフトの出現によって、仕訳入力作業の自動化が可能となっている。したがって、定型的な会計処理であれば、その多くはAIによって代替できるわけだ。
 第3章の5で述べたような不正検知機能を利用することにより、会計士の仕事が効率化されることが期待される。単純作業が減れば、本来公認会計士が行なうべき仕事に集中できるはずだ。これは、税理士の場合にも言えることだ。
 つまり、AIが人間の仕事を奪うというよりは、人間がAIを利用することによって、仕事の能率を高めるのだ。
 さらには、つぎのような新しい業務の比率を高める。経営コンサルティング的業務、業績改善策の助言、相続、事業継承、M&A(企業の合併・買収)の助言など。

・判例の参照はAIのほうがうまくできる
 裁判官が行なっている仕事は、どのような事実があったのかを認定した上で、それにどの法律(判例)を当てはめるかを決めることだ。
 この判断は、過去における判例を参照してなされる。ところが、判例を調べるのは、コンピュータが得意とするところだ。
 しかも、単純なキーワード検索ではなく、どのようなロジックで法律が適用されているかを知る必要がある。したがって、AIの出番になる。
 このような分析を実際に行なった事例として、つぎのものがある。
 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、シェフィールド大学、ペンシルベニア大学の研究者が、欧州人権裁判所の判例を学習して判決を予測するAIのシステムを構築した。この結果は、2016年10月にPeer Journal of Computer Science に発表された。
 まず、判例文書からテキストを抽出する。それぞれの裁判について、経緯、状況、関連法、事実、法律的主張の各項目についての単語群と、トピックリストを作成する。
 つぎに、SVMという機械学習アルゴリズムを使う(SVMについては、第5章の4を参照)。
 そして、入力データの各項目のうちで、判決の結果を最も正確に予測できる項目はどれかを判定する。裁判の判例全体のうち10%を判定用に使った。
 その結果、判決を最も正確に予測できたのは、「トピックリスト」と「状況という項目」の組み合わせで、人権条約の第3条、第6条、第8条に関する裁判の判例のうち、79%で判決を正しく予測できた。
 膨大な数の判例を広く深く見る能力は、人間よりAIのほうが優れていると思われる。そうなると、裁判官の仕事はAIに代えてしまうほうが良いという考えも出てくる。

・AIの判断にバイアスがある?
 判例データを提供するビジネスも始まっている。
 アメリカのベンチャー企業であるCasetext は、判例などを探す際に、より素早く簡単に探せるためのAIを利用した情報のプラットフォームを提供している。
アメリカの一部の州では、実際に裁判でコンピュータアルゴリズムが使われている。これによって、実刑か執行猶予か、懲役は何年かなどを、評価するのだ。
 アルゴリズムを開発したのは、国家機関ではなく、民間企業だ。例えばウィスコンシン州で使われる「COMPAS」(Correctional Offender Management Profiling)は、Northpointe 社(現在はequivant 社)が開発した。
 被告人に137個の質問を出し、その答えと過去の犯罪データと照合して、再犯率を10段階で評価する。
 ただし、このプログラムに対しては、「アフリカ系アメリカ人の再犯可能性が高い」と判断するバイアスがあるとの批判もある。データやアルゴリズムが間違っている可能性もあるので、簡単な判断はできないかもしれない。

・弁護士の仕事はAIに取って代わられるか?
 弁護士の業務のいくつかも、AIによって取って代わられる可能性がある。
 まず考えられるのは、損害賠償額の決定、過払い金請求などだ。もっとも、これらは、AIでなくともできるし、すでにコンピュータ利用がなされている。
 AIに向いているのは、例えば、「新しい金融商品が現行法令に違反するか? 違反とされないためにはどうしたら良いか?」といったアドバイスを金融機関に提供する業務だ。こうした仕事は、法令等を網羅してデータを蓄積しているAIに取って代わられる可能性がある。
「重大不正捜査局」(SFO)は、汚職などを捜査するイギリスの政府機関。捜査関連書類の分類作業を通常は弁護士に依頼しており、分類できる資料は1日に約3000件だった。ところが、AIに任せたところ、その200倍近い約60 万件を処理した。ミスも人間の弁護士より少なかったという。
 アメリカでも、裁判資料などの電子化が進み、AIが精査や分類の作業を行なうことが本格化している。
 ただし、実際の弁護士の仕事のうち、重要な部分を占めるのは、法律相談的なものだとされ
る。依頼者の話を聴いて、納得感や安心感を与える。あるいは、未整理の事実や契約書の案文などを法的に再構成するなどだ。
 また、実際には、裁判にならずに解決されている事件が圧倒的に多い。裁判になっても、判決にまで至るのは、紛争の中のさらに一部でしかない。
 こうした分野をAIが代替できるかどうかは、疑問だ。むしろ、訴訟によって傷ついた依頼人の心のケアなどが重要になるかもしれない。ただし、こうした仕事に、弁護士という資格を持った人が最も適しているかどうかは疑問だ。
なお、最近ではAIだけでなく、ブロックチェーンとスマートコントラクトの技術によって、契約の自動化が行なえるようになっていることにも注意が必要だ。

(第4章、3,4,5は11月6日に公開します)


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