見ているうちに恐ろしくなってくるシベリアの大自然
私は、日本で大自然に触れられる場所がないのを残念なことだと思っていた。日本では、どんなに自然が美しいと言われているところでも、写真をとると人工物が写ってしまう。北海道の宗谷岬でもそうで、がっかりしたことがある。
シベリアなら、人工物など1つも写っていない写真がいくらでもある。それらをここに示そう。
幹線道路からは外れて、グーグルストリートビューもカバーしていない地域だ。
例えばタイトルバックの写真。遠近感が狂ってしまう、何とも幻想的な景色。
滝も、下の写真のようになる。ナイアガラの滝より壮大。
それに、なんと涼しそうではないか。酷暑の日本から抜け出して、こんなところで夏を過ごせたら、どんなにいいだろう!
・・・と思いつつ、写真を見ていたのだが、見ているうちに、「大自然が怖い」と思うようになった。
例えば、下の写真のようなところに放り出されたら、どうなるだろう?
日本に住んでいると、シベリアが広大なことを羨ましく思う。しかしこんな所では生活できない。
みるからに痩せこけた土地で、農耕ができるのかどうかも分からない。
映画「シベリアの理髪師」で士官候補生のアンドレイ・トルストイは、シベリアに流刑になる。そして、そこで家庭を築く。
しかし、シベリアの流刑地で生活するとは、一体、どんなことなのか?
すべて自給自足。怪我をしても、病気になっても、自分で直さなければならない。
水のあるところに行けば、水には困らないだろうが、でも、流れが急なところもある。こんなところで足を踏み外したら、もう助かるまい。
これらの写真は夏の写真なのだろうが、冬になってしまえばどんな状態になってしまうのか?
零下19度などと言うところがどういうところなのか?日本の夏は暑くて嫌だが、シベリアの冬に比べれば天国というべきだろう。
飛行機でアメリカから日本に帰る時、こうした地域の上空を通過する。冬だと、一面の白だ。こんなところに放り出されたらどうなるだろうと考えたことがある。地上の写真を見ると、それが実感としてわかる。
人間は1人では生きられない。人間は社会的な動物であり、社会を作ってしか生きていくことができない。隣の人や会社の同僚がどんなに嫌でも、シベリアの大地に1人で放り出されるよりはずっと良い。