電車が止まるは仕方がないが、せめて知りたや運行情報(その1)
走っていた電車が途中で止まってしまった。
「遅れる」というアナウンスがある。そして、「線路に人が入ったため」とか、「非常停止ボタンが押されたため」とか、原因については詳しい説明がある。ところが、復旧の見込みは教えてくれない。
原因が何かは、乗客にはあまり重要でないことだ。それに対して、復旧にどの程度の時間がかかるのかは大変重要だ。
なぜなら、それによって、こちらの対応が異なるからだ。
もし時間がかかるなら、相手方に連絡をとって予定を変更してもらうなどの対応をする必要がある。
また、駅で止まっている時であれば、10分なら待つが、1時間かかるなら、降りてタクシーに乗るなど、別途の対策をとる。
それなのに、時間の見込みは普通は知らせてくれない。
なぜ知らせてくれないのだろうか?
仮に10分といって実際には1時間になってしまえば、責任を取らなければならないからだろうか?
明確な情報を出さなければ、責任を取る必要はない。しかし、「だから明確なことは言わない」というのでは、官僚的保身主義であって、サービス提供者の態度ではない。
ついでにいうと、遅れの原因が乗客側にある場合には、やけに詳しく知らせてくれるような気がする。「遅れたのは、当方の側に原因があるわけでなく、あなた方のほうにあります」と言っているような気がする(これは、多分、被害者意識による妄想だろうが・・・)。
◇かつて、日本の鉄道は時間に正確だった
日本の鉄道の時間の正確さは、かつて世界1だった。多くの日本人がそれを誇りに思っていた。
しかし、最近、電車の遅延は日常茶飯事になってしまったように思う。
統計を取っているわけではないのではっきりとはいえないが、暫く前までの日本に比べると、事態は大幅に悪化しているのではないだろうか?
かつて鉄道の時間は正確だったから、時間厳守の予定がある場合には、自動車を利用せず鉄道を利用した。しかし、最近では鉄道の時間が信頼できなくなってしまった。
なぜだろうか?ダイヤが密になったわけでもないと思う。
高架化や地下化は進んでいるのだから、むしろ時間遅れが少なくなって当然のはずなのだが・・・。
安全確認に気をつけるようになったためだろうか?
確かに、「安全確認を行っています」というアナウンスは、よく耳にする(ただし、具体的にどのような作業をやっているのかは分からないし、それにどの程度の時間がかかるのかも分からない)。
安全運行をしてくれるのは、大変ありがたいことだ。時間厳守のために安全面がおろそかにされるのでは、本末転倒だ。
しかし、これまでの日本の鉄道が安全確認を不十分にしか行わず、その結果事故が多発していたわけでもないように思う。
遅れの理由が納得できないこともある。しばらく前に、こんなことがあった。
札幌から千歳空港へのエアポート快速が、途中の駅で止まったまま発車しない。だいぶ経ってからアナウンスがあった。「気分を悪くしたお客様がいるため、乗務員が世話をしている」とのこと。
乗車中に気分が悪くなるのは、大変なことだ。世話をしている乗務員の人も大変だろう。
しかし、なぜ世話を駅員に頼んで列車を発車させないのだろう?ほとんどの乗客は千歳から飛行機に乗る人々であり、厳しい時間制約下にある。そうした人々の都合が考慮されないのはなぜなのか、いまに至るまで理解できない。
◇情報に対する「態度」の問題
考えて見れば、政府の情報提供態度は、第2次大戦のときから同じだった。
日本の国民は、空襲に会ったら、退避するのでなく、焼夷弾を消せと指導されていた。防空壕に退避した時、酸欠こそが恐ろしいということも教えられていなかった。そのために、多くの人が命を落とした。
いまどき、世間では、AI(人工知能)の話で持ち切りだ。
しかし、鉄道の利用者向け情報は、それより遥か以前の段階だ。これは、情報「技術」というの前の、情報に対する「態度」の問題である。