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製造業景況感悪化は、原材料高を転嫁できないことでなく、外需の減少による
日銀が発表した6月の短観で、大企業製造業の景況感が、2期連続で悪化した。5年半ぶりだというので注目を集めている。
製造業景況感悪化の理由として言われているのは、原油価格上昇などに伴う原材料価格の上昇を転嫁できないということだ。新聞報道は、このような日銀の説明をそのまま伝えている。
これは、「物価が上昇すればすべて良くなる」という日銀の論理に基づく解釈だ。
しかし、消費者物価の動向を見ると、図2のとおりであり、これまでと同じように、輸入価格の上昇が転嫁されて、上昇している。
図2 消費者物価指数の対前年上昇率(%)
また、輸入価格の上昇は、主として原油価格上昇によってもたらされており、それによるエネルギー価格の上昇は、非製造業でもある。しかし、非製造業の景況感は、図1で見るように悪化しているわけではない。
景況感が目立って悪化しているのは、製造業なのだ。つまり、景況感の悪化は、製造業に限られた現象なのである。
実際、製造業の景況感は、図3に見る鉱工業生産指数の伸びとかなりの程度一致している。
1月の鉱工業生産指数は、前月比6.6%低下という大幅な減になった。
これは、東日本大震災が起きた2011年3月の16.5%減以来の大きさだった。その原因となったのは輸送機械で、前月比14.1%減だった。
これは、北米自動車市場の不振により、完成車・部品ともに輸出が落ち込んだことが主因だ。
鉱工業生産指数は、その後回復したが、2016年央から続いた上昇過程は終わり、伸び悩みとなった。
日銀短観に見られる製造業の景況感悪化は、こうした原因によってもたらされたと考えることができる。
つまり、それは、外需の変化によってもたらされたものなのだ。