年金崩壊後を生き抜く「超」現役論 目次
『年金崩壊後を生き抜く「超」現役論』(NHK出版新書)が12月10日に刊行されます。
これは、その目次です。
はじめに
第1章老後資金2000万円問題の波紋
1 老後生活に2000万円必要?
波紋を呼んだ金融庁の試算
年金だけで老後は送れない?
所得代替率を引き上げるか、賃金を引き上げるか
緊急に必要なのは、財政検証での経済想定の見直し
2 必要額は世帯によって大きく違う
伝統的社会ではあまり深刻でなかった問題
生活費をコントロールする
家計保有資産分布に関する統計を見る
定年退職金で大きな差
3 「老後のための資産運用法」はあるか?
世の中にうまい話はない
収益率の高い資産は、値下がりの危険も大きい
株価を予測できれば、それを用いて利益を上げられるか?
専門家による分析なら?
必勝ファンドが売りに出されることなどありえない
4 老後資金の評価をアンケートで探る
人々は金融庁報告書を冷静に受け取っている
老後資金は十分でないが、金融庁の報告は適切
その他の意見
人々の考えを踏まえ、本当に議論すべきこと
5 時限爆弾を抱えるのは、就職氷河期世代だけではない
就職氷河期世代は、不況の犠牲になった
日本が抱える時限爆弾?
就職氷河期世代の非正規比率が格別高いわけではない
就職氷河期世代の所得や出生率が格別低いわけではない
あらゆる世代が時限爆弾を抱える
第2章 年金70歳支給開始だと3000万円必要
1 人口高齢化で負担は増えるはず
負担を1・33倍に、あるいは給付を0・75倍に圧縮する必要がある
「大幅な負担増は必要ない」という不思議な結論
なぜ「負担の大幅な引き上げは必要なし」との結論になるのか?
2 財政検証は何を検証しているのか?
2019年の財政検証は遅れて公表された
財政検証は何を検証しているのか? その1:所得代替率
財政検証は何を検証しているのか? その2:財政の長期的健全性
年金財政は100年間維持できるか?
3 65歳支給が継続できるとするトリック
トリック1 マクロ経済スライド
トリック2 実質賃金効果:実質賃金が上昇すると、既裁定年金の実質価値は下落する
最も重要なトリック:非現実的な経済前提
高い物価上昇率と実質賃金の伸び:現実離れした経済前提
積立金の想定運用利回り:高すぎるが影響は少ない
4 年金財政は破綻する可能性が高い
政策の重要度を定量的に把握する
何もしなければ、年金財政は破綻する
支給開始年齢の引き上げやマクロ経済スライドの効果
実質賃金効果は期待できない
収支は悪化する
2040年代に積立金が枯渇する
5 年金支給70歳開始になれば、9割の世帯が対応できない
マクロ経済スライドの強化や負担増は、政治的に困難
支給開始年齢引き上げは、政治的にもっとも容易
支給開始年齢を70歳に引き上げる給付削減効果は大きい
70歳支給開始になれば9割の人々が老後生活資金を賄えない
補論1 負担者、受益者の変化と負担、給付の変化
補論2 項目の伸び率で年金財政をチェックする
補論3 被保険者数、受給者数の見通しのデータ
第3章 労働力減少を救うのは高齢者
1 人口高齢化で労働力が激減する
日本の労働力人口は、2040年までに1300万人減少する
「2040年までに約2割減」は、ほぼ共通の見通し
医療・介護従事者が全体の4分の1になる
2 労働力不足を解消するための方策
女性の労働力率をスウェーデン並みに高められれば、労働力が約1000万人増加
外国人労働者に依存できるか?
3 高齢者がもっと働く必要がある
高齢者の労働力率を高める必要
日本の労働力率が低下するのは高齢化のため
4 高齢者の就業条件を改善する
高齢者の就業状況
「人生100年時代」になった
高齢者の就業がなぜ顕著に増えないのか?
「働くことが損にならない制度」を作る必要
制度が「元気な老人」に対応する必要がある
第4章 高齢者が働ける社会制度を
1 高齢者が働くと、税率50%の税がかかるのと同じ
高齢者の就業を抑制する在職老齢年金制度
在職老齢年金制度による年金削減額のしくみ
報酬が増えた場合に、報酬+年金はどうなるか?
働かないほうがトク
高齢者の低賃金化を招く
在職老齢年金制度で、1兆円程度の支給額が減額されている
ネガティブな印象操作で、在職老齢年金の見直しを阻止
2 高齢者が働くと、医療費の自己負担で破滅する
高齢者自己負担率は1割だが、働くと3割になる
働くと、自己負担限度額が21倍に増える
高齢者が働くのは、「損する」だけでなく「危険」なこと
医療保険制度は、高齢者がフリーランサーとして働くことを阻害する
3 高齢者が働くことへの罰則的措置は、介護保険にもある
所得が多いと自己負担率が3割になる
所得がないと自己負担の限度が低くなる
なぜ、所得がある者の介護サービス利用を抑制するのか?
所得ではなく、資産を勘案して自己負担率を決めるべきだ
福祉社会は資産格差を拡大する
第5章 高齢者はどう働けばよいか
1 定年延長や政府の就職支援に頼ればよいのか?
政府は定年延長を目指す
定年延長にはいくつかの問題がある
政府は就職支援に動き出したが……
研修が必要な対象は、就職氷河期世代だけではない
正規雇用を増やすのは大変なこと
どれだけの非正規雇用者を正規化できるか?
組織にとらわれずに働ける方向を目指せ
2 高齢者が働ける分野
高齢者が就業しうる分野は何か?
高齢者の失業率は低い
3 企業のアウトソーシングによって可能性が広がる
会社の外でできる労働はアウトソーシングを活用
日本でなかなか進まない金融関連サービスのアウトソーシング
高度専門サービスで進むアウトソーシング
4 ITで広がる高齢者の働く分野
広がるシェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーが規制で阻害される
仮想通貨で少額の送金が容易になれば、働き方が変わる
少額の送金が可能になれば専門知識をマネタイズできる
多くの人が老後生活情報を求めている
情報サービスはあるが十分でない
AIを活用した相談システムを構築できないか?
第6章 高まるフリーランサーの可能性
1 フリーランサーの時代が来た
アメリカのフリーランサーは全就業者の3分の1を超える
フリーランシングは「先祖返り」
ギグワーカーやゴーストワーカー
2 人々はフリーランサーについてどう考えているか?
「会社がすべて」は大きく変わった
収入の不安定や社会保険に不安
日本ではまだ広がっていないフリーランシング
3 フリーランサーになるには、早くからの準備が必要
AIの導入で学び直しが必要になる
早くからフリーランサーの準備を
4 フリーランサーで働ける税制改革を急げ
フリーランサーになれば、税務申告する必要がある
経費の積算は精神的負担も伴う
経費実額控除に見る積算の難しさ
青色申告や法人化をすればどうか
「フリーランサー控除」の新設が考えられる
消費税の処理と納税も必要になる
第7章 私自身の経験を振り返って思うこと
1 100年時代用に人生時計を作り替える
人生時計とは
生きれば生きるほど、長く生きられる
延びた余命をどう使う?
2 私が歩んできた道
いつまでも仕事を続けたい
縦社会を横に動く
3 「食い詰めた者」が未来を拓く
日本の就業システムは破壊されつつある
ポルトガルは食い詰めて新しい世界を開いた
アリババのジャック・マーは食い詰めて新しい世界を開いた
いまがチャンス:必要なのは、国に頼らないこと
索引