日本経済の現状
景気は悪化を続けているのに株価が上がる。不思議な現象だ。
◇ 景気動向指数
内閣府が1月10日発表した2019年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)は、一致指数が前月比0.2ポイント低下の95.1だった。
2カ月続けて前月を下回り、13年2月以来の低水準に落ち込んだ。基調判断は4カ月連続で「悪化」。
それなのになぜ株価が上昇しているのか、不思議なことだ。
◇ 輸出
財務省が10日発表した12月上中旬(1~20日)の貿易統計速報によると、輸出額は前年同期に比べ4.6%減少。
輸入額は2.5%減。
◇ 住宅建設、鉱工業生産
国土交通省が12月26日発表した建築着工統計調査によると、11月の新設住宅着工戸数は前年同月比12.7%減。
経済産業省が発表した11月の鉱工業生産指数は、2015年を100とした指数で97.7と前月を0.9%下回って2か月連続の低下。
◇ 物価
総務省が12月20日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が102.2と前年同月比0.5%上昇。
消費税率引き上げによる押し上げ効果を除くと、マイナスになる。
(総務省の試算だと、消費税率の引き上げによって、物価上昇率は0.77ポイント程度押し上げられる)。
◇ 労働市場
厚生労働省が12月27日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同水準の1・57倍だった。
総務省が同日発表した11月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0・2ポイント低い2・2%だった。
◇ 賃金
厚生労働省が1月8日発表した2019年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、1人あたりの現金給与総額(名目賃金)は、前年同月比0.2%減だった。所定内給与が同0.2%増だった一方、残業代など所定外給与は1.9%減、ボーナスは3.9%減だった。
働き方改革による「同一労働同一賃金」は、「正規就業者の非正規化」をもたらす可能性が高い。
実質賃金は前年同月比0.9%減。
パートタイム労働者の時間あたり給与は、前年同月比3.0%増。パートタイム労働者比率は0.31ポイント上昇し31.53%。