日本経済最前線

日本経済は、賃金下落と消費停滞から脱却できるか?

◇ 2020年度の実質成長率見通し1.4%は、実現できるか?
 政府は18日、「令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」 を閣議了解した。

 それによると、2020年度の実質国内総生産(GDP)成長率は1.4%で、19年度の0.9%の見込みよりも高まる。
 名目成長率は2.1%と、19年の1.8%より高まるとしている。

 消費者物価の上昇率は、0.8%を見込む(19年度見通しは0.6%)

 実質輸出は、19年度の前年比は1.2%減だったが、20年度には前年度比2.4%増になるとしている。
 2019年度においては、米中貿易摩擦の影響で輸出が大きく落ち込んだのだが、ここから回復するという見通しだ。
 確かに、12月に第1次合意がなされたことは事実だ。しかし、2500億ドル分には依然として25%の関税がかかっている。アメリカの中国からの輸入額は年間約4300億ドルだから、その半分以上に追加関税がかかっているわけだ。

 アメリカ大統領選挙が11月にあるので、これからさまざまな交渉が行なわれるだろうが、基底に米中間の経済覇権を巡る争いがあることを考えると、早期に解決されるとは思えない。

◇ 賃金が下落し、消費が低迷す
 上記見通しは、2020年度においては「経済の好循環が進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。」としている。しかし、実際に日本経済で生じていることは、その逆ではないだろうか。

 毎月勤労統計によると、賃金は上昇していない
 実質賃金は、2019年1月から8月まで、対前年同月比がマイナスだった。
 中期的にも実質賃金は低下している。
 2019年9月の実質賃金指数84.2は、12年9月の88.2に比べると、4.5%ほど低くなっている。
 名目賃金の対前年比は、これまではプラス場合が多かったのだが、2019年1月から8月までは(6月を除いて)マイナスが続いた
 最近では企業実績が悪化しているので、企業は人件費を圧縮し始めている。

 このため、消費が伸び悩んでいる。
 2012年から2018年における実質GDPの年平均増加率は1.16%だったのだが、家計最終消費支出の増加率は0.59%、除く持ち家の帰属家賃の増加率は0.43%と、低い値にとどまっている。

 このような状態から脱却できるかどうかが、日本経済にとっての重要な問題だ。




 



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