「超」整理日記(第799号):特別宣言に望むこと
◇ 経済的なコストは、感染防止のための行動制限で生じる
コロナウィルスの感染が予断を許さない状況になっています。
歴史を見る限り、感染は必ず収束します。問題は、それがいつ収束するかが分からないこと。そして、その過程で様々な犠牲が生じることです。
最大の犠牲はいうまでもなく人命ですが、経済的なコストの面からいうと、どうでしょうか?
コストは、供給面ではなく、需要面において発生すると考えられます。
病欠等による生産活動の停滞はもちろんあるのですが、それは全体のコストの中では比率が低いと考えられています。これからすると、マスクやティッシュペーパーの不足は一時的なものであり、いずれ解消すると考えられます。また工場の生産停止によるサプライチェーンの機能低下の問題も、早期に回復すると考えてよいでしょう。
それより大きな問題は、感染防止のために人々の移動や行動、集まりなどが制限されることによって生じます。
◇ 所得喪失への対策をどのように行なうか?
この問題は、すでに発生しています。
そして、多くの人々の生活の基本を脅かすようなところまでいっています。
感染拡大防止のための行動制限は、今後さらに拡大される可能性がありますが、つぎの二つを望みたいと思います。
第1は、集会などの制限の要件を明確化すること。現在では制限する必要がない集会までを制限している可能性もあります。
第2は、損失の補填です。
これに対して政府の対応が必要であることは言うまでもないのですが、補填が不公平になるのは、絶対に避けなければなりません。ある特定の人々だけを救うことになれば、国民は離反するでしょう。
◇ 感染防止のためにどこまでの私権制限が認められるか?
中国での感染者の増加がピークを越えたのではないかと、報道されています。それはもちろんグッドニュースですが、気になることもあります。
それは中国が強い国家権力を用いて感染を抑え込んだ可能性です。プライバシーを侵してまで感染状況を調べられるスマートフォン用のアプリが開発され・使われたりしていました。
中国の成功を見て、「感染症の予防のためには、国家権力による私権の制限はやむなし」とする意見が増えることが懸念されます。
日本では、3月13日に改正特別措置法が成立し、緊急事態の宣言が可能になりました。
この問題については、「みんなの意見はおおむね正しい」でアンケートを行ない、多数の回答をいただいています。
全体の約3分の2が、改正にも宣言にも反対でした。そして、現政権に対する不信感が強い言葉で述べられています。
運用にあたっては、慎重の上にも慎重であることを望みたいと思います。
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井の頭公園の池には、人間社会の騒ぎなど何も知らない白鷺が訪れています。