セミパラチンスク核実験場を見学する
シベリア横断道路に戻って、再び、延々と走る。この道路はシベリアの南の端近くを走っているのだが、国境の向こうは、いつしか、モンゴルからカザフスタンになる。ハバロフスクからだと、この辺りでやっとモスクワまでの半分くらいだろうか。
そこにあるのが、セミパラチンスク。
ここは、ソ連の核兵器実験場だ(現在は閉鎖されている)。われわれの世代だと、名前を聞くだけで、恐ろしさに震えあがった。
バーチャルツアーでなければ、まず訪れることができない。
実験場の北に建設された秘密都市セミパラチンスク-21は、秘密警察の指揮により、囚人労働者を使って建設された。
核物理学者や技術者が集められた。ソ連には、「閉鎖都市」と呼ばれた都市がいくつかあったが、セミパラチンスク-21は、そのうちの一つだ。核兵器の開発を行なっていたので、最も機密とされ、出入りが厳しく制限された都市の一つだった。
ソ連のエリート達を集めただけあって、美しい町だ。いまでは、クルチャトフ市と呼ばれている。
グーグルアースの衛星写真で見ても、整然とした町並みであることが分かる。
下の写真は360度のパノラマになっているので、周りを見渡せる。
その南にある砂漠(草原)地帯に、核実験場が広がる。面積は、ほぼ四国と同じ。人類の核兵器のほぼ4分の1がここで爆発した。
この場所を核実験場に選んだのは、秘密警察長官のべリアだ。彼はここを無人地帯だとしたのだが、実際には人々が住んでいた。そして、深刻な放射能被害が生じた。さらに、人体実験的なことが行われたとも言われる。
グーグルアースで空中から砂漠を探索することができる。いたるところに、奇妙な形をした穴や湖が見える。川と繋がっていない孤立した湖なので、これは自然の湖でなく、核爆発でできたものだ。
タイトルバックの写真は、こうした穴を地上から見たところ。
地上で見ると、こうした風景になる。
実に神秘的な湖だが、あまりに汚染されているので、1時間も湖畔にいれば間違いなく死亡するという。つまり、ここは、バーチャルツアでなければ訪れることのできない場所である。
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