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山雅分析班シーズン振り返り企画【名波監督の描いた理想と現実&来季の補強】

はじめに

20人以上を入れ替えるオフの大刷新、シーズン途中の監督交代、名波浩氏の新監督就任、J3降格...。
激動だった松本山雅の2021シーズンを振り返っていく企画。

今回は、”山雅分析班”としてシーズン中から活動していたメンバーの中から、おぐち(@ogucchan_)・haya_yamaga(@yamaga62)・いぬねこ山雅(@inuneko_yamaga)の3人がオンラインで参加。座談会形式でお送りします。(収録日は12月18日)

収録時間は驚異の5時間超。(おぐちが話しすぎました。お二方ごめんなさい笑)
途中で脱線を繰り返しながら、様々観点からシーズンを振り返った非常に濃密な内容を全4回に分けて書いていきます。

最終回となる第4回は、編成面の話や名波監督が描いた理想と現実について、そして来季の補強の話などなど...。引き続き盛り沢山ですが、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!


ではいきましょう!



二転三転したサッカーとフロント人事

haya:そんなこんなで攻撃と守備、リスクとリターンの収支のバランスが取れずに苦労しましたよね。

おぐち:今年って3回くらいサッカー変えてるんだなって話していて思いましたね。キャンプの時、柴田監督から名波監督に切り替わったタイミング、名波監督が現実的な戦い方にシフトしたタイミング。(シーズン中に)3回くらいサッカー変えていたら、そりゃ勝てないよな~と。ブレていたら。

haya:個人短評を書いていた時にも思いましたけど、そりゃメンバー固定できないですよね。主軸が定まらず、求めているものも変わっているんだから。

おぐち:しかもガラッと変えているじゃないですか。

haya:そう、真逆くらいに変わってますよね。例えば星キョーワァンと野々村鷹人の序列がコロコロ変わるような...。

おぐち:しかも(やっているサッカーが)ループしているってのが闇ですね。ボール持ちたい→やっぱ無理だね→やっぱりボール握ろう→降格近づいてきて危ういから止めよう、みたいな。

haya:完全にタラレバですけど、最初にやりたいことやっておくべきだったのかなと。4-4-2でやり切って、ダメだったからロングボール主体に切り替えます、現実路線に行きますだったら選手も納得感があったんじゃないかと。完全に結果論ですけど。

いぬねこ:これも結果論ですけど、シーズン前に昇格するぞ!勝点84を目指すぞ!と選手に言っていたことが足枷になったんじゃないかと。結果を出さないといけないから我慢できなくて。やっぱり気になるのは計画とのズレですね。

haya:ざっくり言うと...序盤にも言いましたけど”設定するゴールの無さ”と”目利き”の問題だと思います。気持ちとかやる気がないとかではなく...単純に目利きや予測の部分が外れまくっている。

おぐち:強化に関しては、ちょうと昨シーズンから加藤さんから鐵戸さんへ権限移譲してきたタイミングじゃないですか。もしかしたら、鐵戸さんにとって初めての強化責任者としてのオフで、色々頑張ったけどめちゃコケましたという単純な話なのかもしれないっすよね。かき集めたけどダメでしたって話だと、それはそれで問題なんですけど。

haya:昨オフは頑張っていたと思います笑。んー、何回言うんだって感じですけど、布さんの時からやり切ってれば降格はなかったと思うんだけどなあ...。それでもしも変えたかったなら後任監督を柴田さんと一緒に死ぬ気で探しておけばよかった。

いぬねこ:柴田さんが松本を去ってしまったのは痛かったですね。ユースでは西ヶ谷さんが居なくなってしまいましたし。人を切るってことの怖さをまざまざと感じてます。

おぐち:強化部長や強化担当を監督に据えてしまうとこういった事態になってしまうんですよね、うちの場合は。

いぬねこ:そうですね...。人材不足というか。

おぐち:改めて考えると、2020年のオフで柴田監督は補強に口出してなさそうですよね。加藤さんと鐵戸さんで集めたんだろうなと。

いぬねこ:柴田監督は自分が続投するかどうかもわからない中ですからね。

haya:強化部から内部昇格させた割に一枚岩じゃない感はありましたね。

おぐち:僕も、そこつながってないんだとは思っちゃいましたね。せっかく強化部から上げたのに。

いぬねこ:そうなんだよなあー。

おぐち:逆に今年のオフは、早い段階で強化部の体制を公にしたので誰が責任を持つか明確だとは思うんですよね。下條さんと鐵戸さんの体制で動きますよと。なので、目利きの部分では、二人の手腕に注目しています。


監督人事の話

haya:17年か18年オフでしたっけ、反町さんも補強に関わるようになったのって。

いぬねこ:そうですね。前年は反町さんが続投するか定まらなくて動き出しがやや遅れた感がありました。

おぐち:サポミで明かされた内容と照らし合わせると、ちょうど17年-18年オフは反町監督とフロントが話し合いながら、サッカーの内容を変えようと模索していた時期と重なりますね。そして、松本を離れる前には強化部門のポストを打診していたけど、契約直前でJFAから話が来た笑

haya:JFAかあ~。

いぬねこ:元々、反町さんはGM職を希望していたとも聞きますよね。破談したという話もあったけど、実際は違ったんですね。

おぐち:サポミに関して少し言うと、序盤の鐵戸さんパートで重要なことを明かしていたと思いますよ。

haya:たしかに。あんまり話題になっていなかった気もしますが。

おぐち:監督交代時点でマネジメントが効いてなかった話とかは衝撃的でした。まあ柴田監督が試合後インタビューで(うまくいっていない理由を質問されて)、『選手に伝えたんだけど...』って言葉を多用していたのを見て薄々感じてはいましたが....。

haya:結構ぶっちゃけていたので、来年以降少し心配はありますけども。

おぐち:そういう意味では、内部崩壊しかけたチームをまとめあげる役として、名波監督は適任ですよねぇ。

haya&いぬねこ:うん。

おぐち:フットボールの質に関してとやかく言ってきましたけど、そもそも次元が違うならば話は変わってきます。

haya:フロントも戦術的な部分は名波監督にそこまで求めてないんじゃないかなと思ってます。優先順位の高さとして。選んだ理由に全然出てこないですもん。

いぬねこ:続投の理由で人間性って言ってましたからね笑

おぐち:それはそれで名波監督にも失礼な気もするけど…。まあ、名波監督がそういった”人たらし”路線を極めるってのはアリだと思ってます。

haya:どちらかというと戦術的な部分は、参謀役の三浦さんですよね。3バックの固いサッカーもやってて、監督・コーチ経験も豊富。今年のJ2のことも名波監督より把握してる。まあ、ポゼッションを目指すならば少し違う気もしますが...。

いぬねこ:そう考えると石丸さんを逃したのは痛かった気がする。

おぐち:山形でコーチをやっている川井さんとか来てくれたら嬉しいですけど、ぶっちゃけJ2のレベルじゃない気がする。J1に引き抜かれてもおかしくない人材だと思いますね。
(※編集注:12月24日にサガン鳥栖の監督就任が決定)

おぐち:三浦さんが残るのであれば、2021シーズンのラスト5試合の戦い方がベースになってくると思います。一度名波監督の理想は夢破れてしまったわけですし。

いぬねこ:反町監督時代の守備を踏襲して、そこに上積みをする感じで良いと思いますけどね。攻撃の開始地点が低くても、きちんと繋げれば問題ないので。攻撃に切り替わった時にシュートまで持ち込めたらOKだし、攻めきれなければポゼッションしてやり直せばいい。

haya:そう考えると甲府が近いですよね。甲府も守備は5レーンを埋めて開始地点は低くなるけど、奪ったら可変しながら前進していくので、ロジック的には似ていると思います。

おぐち:甲府も根っこは近い気がします。責任企業がバックに付いているわけではないし、堅い守備をベースに強くなってきたチームという部分も被ります。あとは、違う部分で言うと、大宮アルディージャの要素を取り入れたっていうのは興味深いです。

haya:吉田達磨さんのベースがあった上で、今の甲府があるってのも見逃せない部分です。言い方は悪いですけど少し犠牲になる期間が出てきても作り上げる工程はいる。


名波監督の描いた理想と現実

おぐち:名波監督の理想とするサッカーを実現するには、正直スカッドが追いついてなかったと思います。名波浩の頭の中をトレースしてピッチ上で体現できる選手がもっと欲しかったんじゃないかと。

haya&いぬねこ:うんうん。

おぐち:極端な例えだと、日本代表みたいな個人戦術の優れた選手が揃っていれば実現できると思うんですよね。名波監督の理想とするサッカーは。

いぬねこ:たしかに、それだったらできそうな気がする笑

おぐち:今季の内容を検証して現実的なところに落とすと、守備固めてロングボールって方向になるんじゃないかな~。自分たちで休む時間を作るためにボールも少し握れるようにしつつ。

いぬねこ:能動的に休める時間を作れるようになろうと。

おぐち:名波浩という人物の監督キャリアという視点で考えても、来季はめちゃくちゃ大事な一年になると思います。今後を左右するはず。ここで結果を出せないと...。

いぬねこ:解説が本業になってしまう。

haya:それはそれで客観的に見れば幸せな人生だとは思いますけども笑

おぐち:本人は相当監督にこだわりを持っているみたいですからね。どれだけ早くタッグを組む優秀なブレーンを見つけられるかが勝負だろうなと。ぶっちゃけ元日本代表の10番ですし、看板としての役割は名波監督で足りてるんですよね。どちらかというと、日々のトレーニングをメインで仕切れるようなコーチが必要。まあ、三浦さんは贅沢ですけどね。

haya:シーズン途中に呼んでくるにはかなり贅沢だったと思いますね。

おぐち:三浦さんの色が崖っぷちに追い込まれるまで生かされなかったのは残念だったなあ。町田戦以降って考えると実質5試合だけなんですよね。

haya:山口が先発から外れたのが町田戦の次からなんで、そうかもしれないですね。

おぐち:そう、山口や平川を外したあたりで名波監督が理想を捨てたって感じがしました。

いぬねこ:ラスト5試合で3分2敗って、残留争いした他チームと見比べるとまあまあな成績なような。良いとは言えないですけど。

haya:内容やスタッツ的には1つくらい勝ってもおかしくなかった。

おぐち:完全にタラレバですけど、もう少し早く現実路線に切り替えていたらどうなったかなとは思っちゃいますね。

haya:名波監督としても何回かシーズン中に妥協してますよね。細かく見ていくと。

いぬねこ:前線のタレントの変遷があって、最終ラインの構成にもマイナーチェンジがあって。

haya:アウェイの千葉戦とか一例ですよね。ガッツリ現実路線に寄せた戦い方してましたし。

いぬねこ:たしかにそうですね。守ってカウンターって色が濃かった。

おぐち:そうかあ~。名波監督も妥協というか、2回くらい折れているということですね。

いぬねこ:しかも割と大きめの妥協。

おぐち:可変してボランチを最終ラインに落とすってのも止めたし。

haya:セルジーニョの起用法もですね。

おぐち:国友も我慢して起用していたけど、最終的に榎本という高さで殴れるハンマーが出てきて...。

haya:まあ現実的なサッカーをしたからと言っても勝てるとは限らないんですけど。

いぬねこ:事実としてラスト5試合は勝ててないですし。

haya:しかも、理想を追い求めているって言われてたのも平川と佐藤和がダブルボランチを組んでいたときで、手元のスカッドで考えると妥当なサッカーをしていましたしね。現実路線をやろうにも前線行ってこいしても勝てないし、後ろに重いと...ってのはずっと思ってました。

おぐち・いぬねこ:それは確かにある。

おぐち:あとセルジーニョが入るとトリプルボランチみたいに後ろに重たくはなってましたね。

haya:河合はいましたけど...。固い試合をするならキッカー問題が余計に。セルジーニョはセットプレーキッカーとして重要だったので外せなかったんでしょうね。

おぐち:浜崎を何で放出した問題...。

いぬねこ:捌けて、動けて、セットプレー蹴れて、ロングスロー投げられた岩上ってすごかったんだな...。

おぐち:個人的に浜崎が放出されてしまったのは、田中パウロがセットプレー蹴っていた時期があった影響もありそうだなと。ドリブルできてセットプレー蹴れるっていう、ジョーカーとして貴重なカードでした。

いぬねこ:山口ではスタートからSBやってましたよね...。

haya:ただうちのWBはある程度狙い撃ちされても守れる耐性みたいなのがいりますからね。山口はわりとオープンだったんで、ブロック守備ではなかった。

おぐち:村越もいなくなりましたよね。

いぬねこ:彼は怪我がちっぽいのがもしかするとあるかもですね。

haya:ここの1枠(ジョーカー枠)争いはけっこう大変なことになってた笑

おぐち:あと選手総括の最後のとこには書いたんですけど、(名波監督は自分自身を)リアリストって言うわりには理想を見たなって。

いぬねこ:平川使わなくなって榎本使いだしたあたりですかね...。

おぐち:わりとギリギリまでやりたいことをやってたというか、こうしたいんだろうなっていうのはありつつ、それが選手に浸透しない。右肩上がりの可変とかしてましたけど。ボールを握りながら主導権を握る的な。得点が取れないって憂いてましたし。

haya:そうでしたね。中断~秋田戦での手応えはあったんでしょうけど現実はそう甘くもなかった...。データ面は向上して、メンタル面もリセットしたけど結果がついてこない。

おぐち:そんで終盤の形は三浦さんだと思ってます。

haya:それは間違いない。ちょっと相模原みがあった。

おぐち:完全にアプローチが守備からでしたもん。

haya:まあ、そもそも名波さん連れてきて守備からっていうのがクラブとして違う。あとはやっぱり選手ですよね......。けっこう衝撃的だったのが3連勝した時の浜崎→横山で前半からバンバンロングボール蹴ってたやつがけっこう選手から不満が出たっていう話があった。

おぐち:前半戦の3連勝した時ですかね。

haya:それはなかなか厳しいなあって。選手的にもすでに厳しさを感じていたんでしょうし、柴田監督的にも「じゃあもう打てる手はない」状態というか......。

おぐち&いぬねこ:そうっすねえ.....。

haya:がっつり守備から入る(当初とは違った)方向性に選手は納得したのか。そこらへんの関係性というか、誰が主導して、どういう経緯でああいうサッカーになったのかも分からないままですね......。犯人探しとかではなく。

おぐち:結局後半戦最後に勝った北九州戦も、あれも結局ロングボールですからね。ロジックがあって勝ったというよりは殴りに行って勝った、事故に近い形。そう考えると柴田さんの時に(あのサッカーで)3連勝したのもある意味妥当だったというか。

haya:うん。

おぐち:そこで名波さんに代えたのは選手のウケが良かったんじゃないですか?もしかしたら。

いぬねこ:ウケが良かったんじゃないですか、最初は。

haya:うん、だから(シーズンの)最初にやりたかったことに忠実にやった結果、ああいうサッカーになった感じはしましたよね。

おぐち:だから...キャンプに戻したんですよね。4-4-2ではないですけど、ベースはキャンプ時にやりたかった自分達で主導権を持ってボールを握ろうぜ的なスタンスに戻してみたら「あれれ.....」って。

haya:そっちでもうまくいかねえじゃんってなった。

おぐち:そうっすね、戻したら守備が壊滅的になった。それはそうっすよね、キャンプで一回やったやんみたいな。

haya:うまくドッキングできなかったのもありますよね、柴田体制から。それで結局ロングボール主体の戦術にするのに説得力を持たせる、確認作業みたいに結果的にはなっていた名波体制の初期。

いぬねこ・おぐち:そうっすね...。

haya:ボールを握って主体的にやるスタイルもうまくいかないっていうことの確認。名波さんだけじゃなくて、選手や自分達自身が建てたビジョンに対しても。それがあったからか、最後の方は選手もロングボール主体のサッカーに対しての抵抗はあまり見られなかった。

おぐち:受け入れてましたね。そうしないとしゃーないっていう....。そう考えるとボール握りたいって獲ってきた選手達が多かったっていうのが反発が生まれた要因の1つかもしれないですね。思ってたんと違う!っていう。

haya:シャドーで出てた河合と国友は琉球と北九州、平川もFC東京ですけど典型的なボール握ってなんぼ系。あと水戸系統の選手もそうですし。そういう能動的に動かして、攻撃に比重を置いたサッカーをしているチームから多く集めてきてる。

おぐち:そうですね。前(横浜FM)・佐藤(大分)もそうですし。前は山口でもそうでした。そうなると今度はスカッドと違うって話になってくるんだろうな.....。

haya:うん、どこかしら歪んだところは出てくる。どっちもある意味正しい。

おぐち:そうなるとタラレバですけど....名波さんに代えてもう一回ボールを持とうぜ的なところにチャレンジしたはいいものの、キーマンとなる存在がすぐにいなくなったのは名波さんにとっては不運だったと思うんですよね。前とか。

いぬねこ:痛かったですね....。

おぐち:右肩上がりの可変やるんだったら必須の選手がいないのはとにかく....。名波さんも思ってたんと違うって感じだったんじゃないかなと。

haya:仮にそれで残ってればベストはベストですもんね。名波さんがやりたいサッカー、キャンプから目指していたサッカー、今のスカッドもそのままいける。

おぐち:そうそう。

いぬねこ:この時期的にもキャンプからしっかりできるので戦術的に慣れていくことが出来ますからね。

おぐち:サポーター的にも移行期間としてはありな1年になってたかも。もし残ってたらですけど。名波さんが来年どうするかっすよね、まじで。

haya:この結果を受けてどうするかはほんとに読めない。

いぬねこ:キャンプからどういうアプローチで入るかですよね。どういう選手が集まるかも含めて。

おぐち:ええ、めちゃくちゃ楽しみにはしてるんですけど。

haya:例えば今の選手が多く残ることになったらどうするんだろう。ロングボールで最適解っぽいのは一応見せたわけですけど。でも本来はそういうことじゃない。

おぐち:そうなんですよ…。『1年でJ2戻るぜ!』っていうなら、たぶん理想を追っている場合ではない気がしていて、ロングボール放り込んで物理で殴るっていうのがJ3での立ち位置的には一番ラクっちゃラク。うちが一番得意なやつ...。

いぬねこ:選手が変わらないのであれば質はまだ高いし、みたいな。

おぐち:だったら小手川とかは放出されるのは分からなくもない。そういう(ボールを握る)ために取ってきた選手は全員切る。というか、向こうから願い下げみたいなことになる。

いぬねこ:それやるなら自分はいらないでしょってなる。

おぐち:榎本・伊藤翔・小松蓮・阪野に放り込むみたいな。いくぜ!って徹底的に放り込む。

haya:それに手を出したらしばらく能動的にって方には戻ってはこれないでしょうね笑

おぐち:そうですね、それで昇格しても頑張って岩上戻します、発射台立てますみたいな方向に...。

haya:でも、パウリーニョ今戻そうとしてますもんね。

いぬねこ:戻すなら宮阪だと思うんだよなあ....。

haya:うーん、名波さん的な、能動的なことをするなら、タイプ的にはパウリーニョより宮阪ってことですよね。

いぬねこ:そうか、やるサッカーによってだよなあ...。

おぐち:ロングボールを放るなら確かにパウリーニョは欲しい。

haya:パウリーニョだったら最後の方にやってたサッカーの強化版は狙えそう。

おぐち:そうそう、パウリーニョと安東の中盤でボールを刈りまくる。J3では一番コスパがいいかもしれないです。

haya:そうですねー笑

おぐち:勝ち点を稼ぐのであれば...。ただクラブの文脈でいうと、そこに未来がないよねっていうことで変えだしたのに『いや、戻るんかい』っていうのは色々とおかしくなるんですけど...。まあ、でもなーっていう笑

haya:まあ、(一度手放した)パウリーニョ呼び戻す時点で...。

おぐち:金はまじでないんだなって思いました。

いぬねこ:繋がりある方が安く済むかなってのはありますよね。

haya:まあ、ここから続報もどんどん出てきそうなので引き続き見ていきましょう。


来季の編成の話

おぐち:来季も終盤戦の3-5-2をベースにするんだとしたら、両サイドの人員が多すぎるので、何人か放出せざるを得ないでしょうね。

haya:レンタル組を含めるとWBは10人くらいいた気がする。まじかと思って。

いぬねこ:逆にボランチは補強が必要ですよね。平川は借りてますし。

haya:稲福も絡んできそうですけど、フルシーズン計算するのはまだ早そうですしね。そこは起用するにしても(編成上は)慎重にいったほうがいい。

おぐち:(東京学芸大から入ってくる)住田を即戦力としてカウントしているかによるきもします。彼、センターバックでしたっけ?もしもそこで使うならモダンなほうに行くのかなって感じがする。

haya:いや、ボランチが主戦場です。学芸大ではボランチの相方(※編集注:FC琉球内定の武沢一翔)が、運動量があって色んなとこに顔出してく選手なので、アンカーみたいな振る舞いをしてますね。うちなら安東とは合いそう。

おぐち:そうすると佐藤和弘みたいな。

haya:ですね。なので、加入のリリースが出た時に頭に浮かんだのは米原...。

おぐち:タイプ被りますからね。

haya:住田くんも左利きですし。あとは彼、セットプレーのキックもいいもの持ってるんですよ。すごかった。印象的には、そこが一番だったかもしれない。

おぐち:そうなると、ボールを狩れるボランチがほしいですけど、移籍市場にも数は多くないんですよねぇ。

いぬねこ:だからパウリーニョに声をかけている、と。

おぐち:カテゴリーを落としてますし、贅沢は言えないので、現実的に獲得できそうな選手を考えるとパウリーニョだったんでしょうね。うちが手を出せるならこういう選手。

haya:でも、パウリーニョ獲れるのかな。結構人気銘柄だと思いますけど。

おぐち:引く手は多そう。

haya:失点の少なかった岡山でも堅守の一役を担ってますし....。
(※編集注:12/24にパウリーニョの来季加入が決定)

おぐち:いずれにせよ、陣容をスリム化しようとしたらお別れは必須なんですけども。2020オフに獲得した選手が複数年契約を結んでいたりすると編成が難しいですね。違約金が掛かってしまうので。

haya:残したい/残りたくても編成上残せない、逆に残る気はなかったけど残らざるを得ないってのが多発しそう。そこはサポも冷静に見て行かないといけない。

いぬねこ:ルカオとかもコメント的には残りそうでしたけどね。

おぐち:彼も負傷離脱期間が長かったので、他クラブは評価が難しいんじゃないかと。山口一真も同様ですね。
(※編集注:12/29に町田へのレンタル移籍が決定)

haya:年棒も安くないので客観的に見ると違約金払って取るのはややリスキーなところ。ただうちも残せるかは分かりませんが笑

いぬねこ:あとは降格救済金があるんですよね。1億2000万(+J3分配金3000万円)とか。

おぐち:1年だったらスポンサー周りも含めて耐えれるかも。

いぬねこ:それがでかいんですよねー。

おぐち:だからあとは…そこですよね。来季、予算的にまずいからJ3は抜け出しとくかって金を突っこむのか、焦らずにじっくりやろうぜなのか。それによっても救済金の使い方は変わってきそう。

haya:これはけっこう難しい判断になってきそうですね。

いぬねこ:あと、ポジティブな要素を挙げるとすれば、監督が早い段階で決まっていることですよね。昨オフに動き出しが遅れたのも監督が決まらなかったことが大きかった。

おぐち:よく降格したのに監督が先に決まったなと。名波監督は元から続けるつもりで居てくれたみたいですけど。

haya:J3にはもったいないくらいの人を揃えられましたからね。

いぬねこ:J2へ1年で戻れるかどうかもカギになりそう。

おぐち:予算的な観点で見ても、1年が限界な気がしますよね。

いぬねこ:来季は降格救済金があるので、まだ予算を大幅に縮小しなくても大丈夫なんですけど、2年目以降は....。

おぐち:重要なのはフロントのスタンスですよね。予算の兼ね合いもあるからJ2に戻るのはマストにしよう!なのか、じっくり作り直そうなのか。それによって、降格救済金の使いみちも変わってきそう。

いぬねこ:そうですね。

おぐち:クラブハウス建てる話も出てますしね。

haya:クラブハウスに全額突っ込むとか...笑


目指すサッカーの軸

いぬねこ:他クラブの補強を見ていると、どういった選手を獲得するか明確なのは羨ましいなと思いますね。

haya:山雅もサポミで言ってましたよね。根幹となる部分というか、崩さないところというか。

いぬねこ:姿勢にこだわる・あきらめない・切らさない・サボらない・たたかう・貪欲。

haya:ハードワークとかトランジションの部分を重視しているってことですよね。

いぬねこ:得点機会の創出って観点で、ラスト30メートル侵入回数やペナルティエリア侵入回数を増やすって言っているんですけど、手段が目的化していないかな。

おぐち:結局ボール保持もペナルティエリア侵入も手段でしかないんですよね。その点、フロントも明確に定義できていないのかも。『どういうサッカーを目指しますか?』と問われた時に、答えを返せないというか。

haya:布監督にしても、柴田監督・名波監督にしても同じなんですけど、なぜこの監督に任せたのか?どういったミッションを与えたのか?は言語化できてほしいですよね。

おぐち:僕も同感で、顕著に現れてしまっているのが、放出した選手に明確な理由付けが見られないところかと。色々な事情があったとは思うんですけど、出ていった選手が他で活躍しているのを見た時にモヤモヤが強いんですよ。

いぬねこ:冒頭の話に戻ってしまうんですけど、軸がふわっとしたままシーズンインしてしまったということですよね。

おぐち:だから、選手も自分が何で評価されているのか、どういったプレーを見せたら評価されるのか分からないんじゃないかなと。今後の選手補強で悪影響が出るんじゃないかと危惧してます。最近の移籍って、お金の有る無しだけじゃない気がしていて。

haya:お金がなくても、魅力的なサッカーしていたら選手集まってきますしね。

おぐち:もしかしたらサッカー選手に限らず、最近の若者のトレンドも有るのかもしれないですけど笑。お金稼ぐだけが全てじゃない。自己実現が優先度として高いみたいな。

haya:たしかに。

おぐち:でも実は2021年2月のサポーターミーティングで、選手からも魅力的に思われるサッカーを目指すって宣言しているんですよね。皆さんお忘れかもしれないですけど。

haya:そこからの大刷新...本当にあった怖い話だ...笑

おぐち:魅力あるサッカーの展開って項で、3番目に自己実現って書いてるんですけど、これって選手目線もあるんですよね。やりがい・いきがいってところ。

haya&いぬねこ:ほんとだ...。

おぐち:山雅らしさって部分もふわってしてますけど、概念としてはこれくらい抽象度が高くてもいいと思ってます。ただ、現場に落とす時にこの粒度だと選手には伝わってない気がするなー。

haya:とはいえ要所要所の会見では結構言っていた気もする。

おぐち:やりがいって観点だと、ロングボールを放り込むスタイルで柴田監督のもとで3連勝した時に、選手に納得感がなかったのは難しいなと。

haya:勝つだけだとやりがいは感じられない。

おぐち:やりがいって勝つことだと思ってたんですけど、”どうやって勝つか”みたいなプロセスも大事だったってことですよね。今季の山雅にとっては。

haya:たしかに前線へのロングボール一辺倒で昇格したとして、その先に未来は見えてなかったかもしれないですよね。

おぐち:セットプレーで点が取れていたわけでもないので、反町監督体制と比べて前進している感は少なかったかもしれない。

haya:うん、セットプレーもキャンプであんまり?ほぼ?練習してなかったって話ですし、3連勝したのもシーズン3分の1が終わったくらいだったので、現実路線に走るには早かったという見方もできますかね。

おぐち:まあキャンプの時点で3バックにして現実を見始めていたからなぁ。柴田監督のマネジメントが効かなくなっていた背景に急な方針転換に伴う不信感があったとしたら、選手側の気持ちも理解できます。加入時に聞いてた話とちゃうやん!と。

いぬねこ:まあそうですね。

haya:その方針転換で外されてしまった選手の心情を考えるとね...。

おぐち:そもそも掲げていたハードルも高かったので、割と早めに現実を見た柴田監督の判断もそれもまた理解できる。なので、結局のところ誰かが悪いとかではないんですよね。

~時計の針が午前2時を過ぎていることに気づく一同~

おぐち:時間も時間なので、そろそろお開きとしますか!

いぬねこ:そうですね。長い時間お疲れさまでした!

haya:お疲れ様でした!

おぐち:お疲れ様でした!


おわりに

全4回にわたってお送りしてきた山雅分析班のシーズン振り返り企画、いかがでしたでしょうか。総文字数が40,000字というボリューミーな内容でしたが、楽しんで読んでいただけたら幸いです。

2021シーズンの松本山雅は非常に厳しい時間を過ごすことになりました。クラブ史上で経験したことないような辛い日々が続き、サポーターの方々の中にも少なからず心を痛めた人も多かったはずです。

しかし、時間は止まってくれません。僕がこの文章を書いているのは1月3日ですが、1週間もすれば新体制発表会がやってきます。そして3ヶ月後にはリーグ戦が開幕し、ノンストップで走り抜けることになります。

今回の記事が改めて昨季を客観的に振り返り、新シーズンに向けて気持ちを切り替える材料になりましたら、頑張って執筆した甲斐があったなと心から思います。

最後に、この場を借りていぬねこさんとhayaさんに御礼の言葉を送らせて下さい。僕が主催したわけでも、仕切っているわけでもないんですけど。
年末年始の忙しい時期にも拘らず、5時間超の収録・文字起こし&カット編集・校閲作業...本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした!
大変でしたけど、それ以上にめっちゃ楽しかったです!好きなことについてトコトン語れる仲間がいるって幸せだなぁと感じてます。
2022年も何卒よろしくお願いします!


常に挑戦者であり続け、再び頂を目指しましょう!!!



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いぬねこ山雅

山雅分析班


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