米ギャラップ社「グローバルワークプレイスの現状2023年版」によりますと…
「従業員エンゲージメント」の強い社員の割合は、2022年に世界全体では過去最高の23%に達した。一方で、日本は2年連続で5%にとどまり、順位は125か国中124位、イタリアと並んで最下位(涙)。
主要国の従業員エンゲージメントの割合は、 ・米国 34% ・インド 33% ・フィリピン 31% ・ブラジル 28% ・南アフリカ 26% ・タイ 25% ・インドネシア 24% ・ウクライナ 22% ・豪州 20% ・中国 18% ・ドイツ 16% ・韓国 12% ・英国とスペイン 10% ・フランス 7% ・日本とイタリア 5%
日本では「やる気のない」社員が7割を超えるというのだけれど、本当なのでしょうか?
米国、欧州で働いたこともあり、その当時の肌感覚からすると、「いやいや、日本人がんばって仕事している」と感じることもあり、また、国際文化比較Hofstedの6次元モデルにおける「Motivation towards Achievement and Success」(つまり、達成動機)は、日本のスコアは95で突出して高いことを考え合わせると、
「なんで?」
という疑問が解けません。
そこで、実際にギャラップ社のエンゲージメント調査に関する設問を見てみました。
ギャラップ エンゲージメント12問 Q01.私は仕事の上で、自分が何を期待されているかがわかっている。 Q02.私は自分がきちんと仕事をするために必要なリソースや設備を持っている。 Q03.私は仕事をする上で、自分の最も得意なことをする機会が毎日ある。 Q04.この1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした。 Q05.上司あるいは職場の誰かが、自分を一人の人間として気遣ってくれていると感じる。 Q06.仕事上で、自分の成長を後押ししてくれる人がいる。 Q07.仕事上で、自分の意見が取り入れられているように思われる。 Q08.会社が掲げているミッションや目的は、自分の仕事が重要なものであると感じさせてくれる。 Q09.私の同僚は、質の高い仕事をするよう真剣に取り組んでいる。 Q10.仕事上で最高の友人と呼べる人がいる。 Q11.この半年の間に、職場の誰かが私の仕事の成長度合について話してくれたことがある。 Q12.私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った。 (5段階評価 「強く同意」〜「強く反対」の5段階 平均3.6)
ギャラップ社HP これらすべての問いは、直接的に個人のエンゲージメント度合いを聞いているのではなく、もっぱらエンゲージメントに影響を与える要因 のように見えます。
就業経験の浅い若年層に対しては確かに、こういった環境を整え、かかわり方や働きかけに配慮をする必要はあるだろうけれど、「そもそも仕事は他社との競争にさらされ、顧客要望に応えるのは簡単ではない」ととらまえると、「一人前」の仕事人としては、自分で律していくことが当たり前に求められるのではなかろうか?
という思いがフツフツと沸いてきて、エンゲージメントを測る設問としては違和感を覚えます。
同じように感じている人もいるのか?これらの設問に対して批判する声も少なからずあるらしく、むしろ「ワークエンゲージメント」の方がエンゲージメントを測るには良いとも聞きました。
ユトレヒト.・ワーク・エンゲイジメント尺度 1.仕事をしていると,活力がみなぎるように感じる 2.自分の仕事に,意義や価値を大いに感じる 3.仕事をしていると,時間がたつのが速い 4.職場では,元気が出て精力的になるように感じる 5.仕事に熱心である 6.仕事をしていると,他のことはすべて忘れてしまう 7.仕事は,私に活力を与えてくれる 8.朝に目がさめると,さあ仕事へ行こう,という気持ちになる 9.仕事に没頭しているとき,幸せだと感じる 10.自分の仕事に誇りを感じる 11.私は仕事にのめり込んでいる 12.長時間休まずに,働き続けることができる 13.私にとって仕事は,意欲をかきたてるものである 14. 仕事をしていると,つい夢中になってしまう 15. 職場では,気持ちがはつらつとしている 16. 仕事から頭を切り離すのが難しい 17. ことがうまく運んでいないときでも,辛抱強く仕事をする 0.(全くない ) 1.ほとんど感じない(1年に数回以下) 2.めったに感じない(1ヶ月に1回以下) 3.時々感じる(1ヶ月に数回 ) 4.よく感じる(1週間に1回 ) 5.とてもよく感じる(1週間に数回 ) 6.いつも感じる (毎日)
仕事に関する調査 (UWES) © これらは、エンゲージメント”要因”を聞いているのではなく、エンゲージメントを「活力」×「熱意」×「没頭」 に分けて聞いています。なので、エンゲージメントの度合いを測るには、こちらの設問の方が妥当ですね。
ちなみに、こちらの尺度で測っても、日本のエンゲージメントは低いのだとか(残念)