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新時代の配管移動ロボット:メンテナンスが劇的に効率化【大学×開放特許】
これから、ときどき大学の開放特許(大学がライセンスや譲渡を希望する特許)を紹介していこうと思います。
今回ご紹介するのは、配管内の検査や保守に貢献する管内移動ロボットです。
複雑に張り巡られた配管は、老朽化の進行などにより現場に多くの課題をもたらします。特に、奥深い場所のメンテナンスには、多大な手間とコストが必要です。
ご紹介する管内移動ロボットは、配管内に加えられた圧力によって配管内をピストンのように前進するのが特徴です。配管の奥へ奥へと到達できる工夫が盛り込まれています。
今回のポイント
従来の配管検査ではどんな問題があったの?
どうやって配管を移動できるの?
複数連携させると、なぜ長距離の配管でも奥まで行ける?
どのような分野で活用が期待されるの?
従来の課題は?
ゆう:ねえ、りょう、今日はどんな技術を紹介してくれるの?
りょう:今日は、中央大学の研究成果でね、長い配管を楽に移動できる「管内移動装置」(特開2023-183444)って技術を紹介するよ。
ゆう:管内?配管の中で使うの?
りょう:そうそう。配管の中をどうやって点検するかって問題が昔からあったんだけど、従来の押し込み式カメラじゃ奥まで届かないことも多くてさ。長い配管だと摩擦が大きくなるし。
どうやってこの課題を解決する?
ゆう:たしかに細い配管だと入りづらそう。どうやって解決するの?
りょう:ポイントは「ふくらむ移動体」なんだ。ゴムとかでできた外筒があって、そこに空気を入れると配管の内壁にピタッと密着する。その後ろにできた空間に空気圧を送ると、ピストンみたいに押されて前に進むんだ。
ゆう:へえ、シンプルだけど面白い。
りょう:しかも、空気を抜けばしぼんで配管径より小さくなるから、手で動かしたり回収したりもしやすいんだ。
複数の移動体を組み合わせると?
ゆう:工場とかだと、すごく長い配管もありそう。
りょう:そうそう。これ単体で使っても便利なんだけど、長い配管なら複数の移動体を組み合わせることで、もっと奥まで進める。
ゆう:え、どういうこと?
りょう:簡単にいうと、移動体が引っ張っているホースの張力を分散できるからなんだ。
ゆう:難しいな、、もう少し詳しく教えて。
りょう:長い配管を進むときって、先頭の移動体がホースを引っ張って奥に入っていくんだけど、ホースと配管の壁との摩擦がどんどん大きくなるから、いずれ進めなくなる。
ゆう:先頭が頑張っても、引きずるホースで進めなくなるってこと?
りょう:そうそう、そこで後続の移動体がカギになる。
ゆう:後続の移動体は何をしてくれるの?
りょう:後ろの移動体も前進するんだ。そのとき、先頭につながってるホースをいっしょに「前方へ少し押し込む」。すると先頭のホースが弛んで、先頭の移動体にかかっていた張力が緩まるんだよ。
ゆう:そっか、後続がホースを前にぐいっと押してあげるってことね。
りょう:うん、そうすると先頭はまた進めるわけ。
どの分野での活躍が期待できる?
ゆう:配管に悩む現場多そうだから、需要はありそう!
りょう:うん。上下水道とか化学プラントとか、長距離・大規模な配管を抱えているところはたくさんあるし。検査請負サービスとか、ロボットのレンタルビジネスとかにも展開できるんじゃないかな。
ゆう:たしかに、活躍する場面多そうだね。
りょう:空気圧を利用するから比較的コストを抑えられる。
ゆう:コスト面でもメリットありだね。
今回のまとめ
ゴム製などの膨縮部を配管壁に密着させ、空気圧でピストンのように移動する管内移動ロボット。
複数の移動体を組み合わせると、摩擦抵抗を段階的にクリアできるため、長い配管でも奥まで進める。
上下水道、化学プラント、検査請負サービス、ロボットのレンタルビジネスにも展開可。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
弁理士 中村幸雄
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