ニューロダイバーシティ:企業はアダプティブワークを取り入れるべき
先日、宮口先生の境界知能とグレーゾーンの子どもたちを読みました。はじめにの中で、困っている子の問題が、「社会面の問題」「学習面の問題」「身体面の問題」の3つに分類できるとの記載がありました。この詳細は書籍の内容になるので、触れませんが、この3つを見て、定型発達の方々と、発達特性を持つ方々の違いを説明できそうだと思いました。
上記の3つの分類を問題という側面からではなく、それらを一般化し、誰もがもつ特性や生活環境に置き換えて、ベン図にしてみます。
社会や環境:学校や職場、もう少し広く社会全般的な考え方など
先天的な特性:生まれつき持ったもので、身体の特性や脳の特性など
後天的に得た認知・スキル:生きていく中で培われた考え方や技能など
このベン図の3つが重なるところが、各個人が発揮できるところです。つまり、定型発達の方々がマジョリティーの世界ではこの重なるところが大きくなります。それはそもそも社会や環境というものは、マジョリティーの人々が中心に作り出しているのですから、重なりが大きくなることは当然と言えると思います。
ただし、定型発達の方々でも自分の選択を間違えると発揮できる領域は小さくなります。極端な例を挙げれば、身長170㎝も満たない一般的な日本人がアメリカのNBAに挑んだ場合、このベンズの重なる領域が小さくなることは容易に想像できると思います。
そして、社会的マイノリティーの発達特性を持つ方々は、どのような選択をしても、この重なる部分が小さくなる傾向がある、これが現状ではないでしょうか。
では、どのようにするのが良いのでしょうか?基本的に先天的な特性は変えらえません。では残った「社会や環境」と「後天的な認知やスキル」どちらを変えていくべきでしょうか?
私は「社会や環境」を変えていくべきと思います。特にそれは企業に求められることだと思います。昨今、教育の世界では以前に比べれば、発達障害についての理解が進み、彼らを救うすべが様々導入されてきています。もちろん、十分とは言えないかもしれませんが、職場における理解に比べたら、教育現場の方が進んでいるというのが私の印象です。
では、企業はどうすればよいのでしょうか?ヒントはアダプティブスポーツです。これは障害者や高齢者なども参加できるように既存のスポーツを修正したもの、あるいは、新たに創ったものです。ルールを修正した例で最も分かり易いのは、車椅子テニスでしょうか。特性に合わせてツーバウンドまでOK、これで人々を感動させられるスポーツになったのですから、参加した人にとっても、観客にとっても素晴らしいことです。
この考え方を企業側も取り入れるのです。発達特性を持つ方々の専用ルールや、彼らが発揮できる環境を作るのです。多少のコストはかかりますが、オンライン環境が整備された現在、職種によってはそれほど多くのコストをかけずとも、実現できる可能性があります。その結果、発達特性を持つ方々が本来の能力を発揮し、その会社にも貢献できれば、皆ハッピーになるはずです。私はこれをアダプティブワークと呼び、推進する活動をしていきたいと思います。
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