人はなぜ対立するのか=分割統治
少数民族はなぜ少数なのだろうか?当たり前の問いのようだが、問いたいのは、なぜ少数民族にはさらに少数に細分化する力が働き、多数民族には多数派に加わろうとする力が働くのだろうか、ということである。
これは政治の世界を見ても明らかである。自民党には様々な人たちが入ろうとする。かつて野党で活躍していた人も今では与党にいたりする。一方、野党は分裂を続ける。一旦まとまったと思った野党は、すぐに分裂していく。ここには上に述べた力が働いている。
植民地時代には分割統治が行なわれていた。かつて植民地自体に宗主国が植民地を統治するために使った手法である。例えば、イギリスはインドでの統治を容易にするためにカースト制を導入した(※イギリスの研究者が明確な定義で「分類」するまではカーストはそれほど明確なものではなかったらしい)。また、現在のミャンマーを支配するためにインド人を使った。それが今日のロヒンギャ問題の背景にある。
ところで、Wikipediaで”Divide and Rule"を調べてみると、現代のアメリカにおける「分割統治」が書かれていた。要するに、ドナルド・トランプ前大統領は「彼の目標を達成するために、国内だけでなく、国際的にも分割統治の手法を使い成功した」。重要だと思われるのがその結末である。「その結果、 アメリカと世界に最も経済的利益にもたらすような強靭なチェック・アンド・バランスのシステムを欠いてしまった」ということである。以下、原文からの引用である。
United States
Harry G. Broadman opined in Forbes regarding President Donald Trump: "[a]s in his campaign, the President has been successfully—at least to date—pursuing a divide and conquer strategy domestically and internationally to try to achieve his goals. The result is an absence of a robust set of checks and balances to ensure that the best economic interests of the U.S. and the world will be served." https://en.wikipedia.org/wiki/Divide_and_rule
国内で対立を煽り、自分の政策を通そうとした政治家としてすぐに思い浮かぶのが小泉郵政改革である。結果として、日本でもチェック・アンド・バランスを欠くことになってしまった。(続く)
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