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近未来を舞台に描く過去

A24の新作「CIVIL WAR」


日本での公開は10月のようです。いまノリに乗ってるA24で観客動員の記録を作ったそうだから超話題作。

テーマはメジャーだけれど視点はマイナーというか、すごくパーソナルで小さな声を丁寧に拾って、映像と音楽によってそれを際立てていく、というのがA24のスタイルに思えます。あなたのための映画ですよと語りかけてくる感じ。
本作もまさにそういった作りになっています。

ネタバレにならない程度に書くと、近未来のアメリカでは州が対立して内戦状態になっていて、二人の女性報道写真家(伝説的なベテランと、情熱だけの若者)の姿をドキュメンタリー的に追いかけていく。そこで体験していくことから見えてくるのは・・・

近未来の設定だけれどベテランのほうはソニーのαを使っていて、報道写真家に愛用されている印象がないので逆にリアル。近未来はニコンやキヤノンじゃないんだな。若手のほうはニコンFE2。
「ニコンFE2? 珍しいわね」というセリフもあって、携帯できる現像タンクでフィルム現像する場面もあります。

報道やスポーツのプロ写真家たちに「使う楽しさ」とか「懐古主義」を持ち込んでる人を見たことがないし、最もドライに利便性を優先させていくはず。ライカを使っていたサルガドあたりがギリギリのところ。シャッター音がでかいし、36枚ごとにフィルム交換して、それを戦地のそばで自分で現像するなんて。
そんなわけでリアリティはないけれどA24らしいというのか、世界観に膨らみと広がりを与えていて素敵。こういうのがなかったら「クローバーフィールド」と変わらなくなっちゃう。

A24の最高傑作だと思うか?
と聞かれたら全然だけれど一見の価値はあります。とにかくいろんなこと考えるので。問いを投げかけて答えを言わないってのもA24の基本スタイルですね。写真を趣味にしていたらさらに楽しめるはずです。



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