ふらっと旅に出て1 箱根
水曜日の朝に、「あら?今日晴れてるわね。」なんて思い立って箱根に行ってきた。
ふらりと旅に出るのが好き。その辺の美術館に行こうかな?くらいの気軽さで。
今回はロマンスカーで箱根湯本まで。宿は向かっている電車でネット予約というところなので、いい時代になったと思う。
何年か前に箱根は親友と行った場所。1人で歩くとまだ自由だった私たちがいて、少しだけしんみりした。その分、前よりも自由になった私がいて面白かった。
前の旅では使わなかった箱根登山鉄道にも乗った。箱根の山道を強羅までつなぐケーブルカーだ。途中でスイッチバックしたりと面白い。
今回の度は、富士屋ホテルで食事をすることだけを目的にした。いつか泊まってみたいと学生時代から雑誌を眺めて、切り抜きまで暫く持っていた老舗のホテルである。
流石に泊まるのはまだ難しかったけれど、食事は堂々と出来るようになっていた。いや、多分本当はまだまだお呼びではないけれど。
一見さんお断りという雰囲気もなく、大きな荷物を持った私をホテルマンは暖かく迎えてくれた。食事をしている人々は、ご年輩が多く中には着物の方もいる。ホテルにあわせて、シックにまとめてきて良かったと思った瞬間であった。
朝に聞いていたコンソメスープが飲めるというのでランチはセットにした。ロマンスカーが思いの外安上がりだったので食費に回せたのである。
ちなみに、私のロマンスカーの想定は片道1万円だったが、実際は2000円だった。案外近いし安いものだ。
安いものだ、と書いたがそのように私は思えるようになったのかもしれない。きっと前なら自分にお金をかけなかった。
ふらりと旅に出ても、どこかで後ろめたかった。若い私はお金に支配されていたと思う。それはある意味では仕方ない事情による戦いですらあったが、今の方が気楽である。
私は私の身の丈に合う贅沢をしたのだ。帳尻もギリギリ合うようにできている。なによりも、自分のごきげんがとれた。
過去の哀愁をみつめる時間をとれた。森林を眺め、温泉に入りゆるやかな時を過ごすことが出来た。よい旅といえよう。
また旅に出たい。今度はどこへいこうかな。
ふらりと。
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