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病院のかかり方 2.後医は名医の真実
みなさんは「後医は名医」という言葉を聞いたことはありますか?
これは「患者さんを最初に診た医師(前医)よりも、後から診た医師(後医)の方がより正確な診断・治療ができるため名医に見えてしまう」ということわざです。
これはごく当然のことなんですよね。
医療従事者と患者さん側からでは違って見えているということも表現しているかなと思います。
【医療従事者側からの視点】
診断・治療は、患者さんからの症状の訴え、医師から見た身体所見、血液検査や画像による客観的な指標を総合して
医師が診断や治療を判断していきます。
一度で「間違いなくこの診断でこの治療で確実に良くなる!」となれば、
ことわざが生まれることもなかったでしょうが、
人の身体は皆それぞれ違いますし、とても複雑なものです。
AさんとBさんで似たような症状の訴えをしているからと言って同じ診断になるわけではありません。
同じ訴えをしていても、身体所見(喉を見たり、脈を取ったり、聴診器を当てたり、お腹を触ったりして状態を確認します)や血液検査、レントゲンなどの画像で診断・治療を絞っていくわけです。
もちろんひとつだけに絞れるわけではなく、症状の経過を見ながら診断される疾患もありますし、
同じ診断になっても、症状(急性期や慢性期、症状の程度)によって、必要な治療が変わってくるんです。
ですので、投薬等の治療をして
その反応・変化を見ながら次の治療について検討していく、というふうに治療が進んでいきます。
これは医療従事者にとってはごく当たり前と考えるのが共通認識ではないかと思います。
ですが、患者さんにとってはどうでしょう?
【患者さん側からの視点】
今まで特に大きな病気にかかったことはなく
病院に行った記憶が殆どなかった場合。
急にお腹が痛くなり、近くの病院に行ったとしましょう。
初めてかかるお医者さんです。
体調が悪いためいつもよりも頭が回らず、どんなことを言えばいいかもわかりません。
ここのところあまり体調が良くなかったような気がします。
お腹が痛くなるような暴飲暴食をした記憶はありません。
病院の問診で
「ここ数日体調が良くなかった、今日になってお腹が痛くなった」
と簡単に記載するでしょう。
診察では
どこがどんなふうに痛むのか、最後にご飯を食べたのはいつか、どんなものを食べたか、アレルギーはないか、吐き気はないか下痢はしていないか、と色々質問されるでしょう。
お腹の触診も行われますね。
場合によっては(医師が判断します)血液検査をするかもしれません。
そして医師から
「血液検査の結果はそう悪いものはなかった。体調もよくなかったみたいなので、お腹の風邪かもしれない。薬を飲んで経過を見てみましょう」
と言われてお薬を処方されます。
患者さんはこんなにお腹が痛いのにな、お腹の風邪か…
とちょっと不服に思いながらも処方箋を受け取り、自宅に帰って薬を飲んで様子を見ることにします。
ここまでで医師がどんな事を想定して診ているか想像がつきますか?
「腹痛」というのはいろいろな場合にでる症状です。
まず1つには直ぐに手術が必要だったり、命に関わるようなものでないかを確認します。
全身の変化がないか確認していきます。
次に食べ物による症状、例えばアレルギーや食中毒、特定の食品の影響を受けたものでないか、感染症など他人に移してしまうものでないか、特定の原因になっているものがな探索します。
このどれにも当てはまらない場合、
辛い症状を緩和するための必要な薬を処方して「経過を見ましょう」となるわけです。
【症状が悪化したら??】
お薬を処方されて体調が改善したなら話は終わりです。
もし症状が悪化したらみなさんはどうしますか?
最初に受診した先が良い印象ならまたその病院に受診して症状の変化を伝えて診てもらうだろうと思います。
ただ、あまり印象が良くなかったらどうでしょうか?
・とても混んでいて待ち時間が長かった
・症状が辛かったのによく話を聞いてもらった気がしない
・診療時間が短かった
・お腹の風邪って軽い扱いをされた
・何より余計に辛くなっている
こんな様々な理由で
もう一度同じ病院、同じお医者さんに受診するのが嫌だなと思うこともあるかもしれません。
実際に違う病院に受診するかもしれません。
次の受診先ではとても対応が良かった、体調も良くなった、と思うかもしれませんね。
【違う病院にかかった場合はどう診ているか】
同じ症状で受診した場合、
他の病院にかかっていたのならば、その診断や処方された薬、症状の変化について聞かれるでしょう。
そして多くが重なっている検査をもう一度受けることになります。
はじめに【医療従事者側からの視点】でも述べましたが、
医師はその後の経過についても評価して次の手を考えます。
これは最初にかかった医師でも次にかかった別の病院の医師でも同じことなのです。
後にかかった医師が「名医」と患者さんが感じてしまうのは、前医よりも後医の方が判断材料も多く、前医が診たことでフォーカスが絞られているからですね。
こうして「後医は名医」という言葉が生まれるわけです。
結果的には良くなったのだからそれでいいとなるかもしれません。
ただ、こうして医療機関を巡って同じ検査をして、同じように経過を話して手続きをして……病気のときにはとても負担になりますよね。
多くの場合、血液検査などは他の病院で同じ検査をしても同じ項目をとることが多いでしょう。
また、前の受診先から紹介をされて受診したわけでない場合には、画像検査を含め、検査結果持っていっていないわけですから、重複して労力も検査代もかさむわけです。
また、今は「紹介状を持っていないと受診できません」という病院も多くあります。
体調が悪い中の病院探しはとても大変ですね。
・「○○病院の何科にかかればいいのかな?」
・「遠いけど△△病院のほうがちゃんとみてもらえる?」
・「□□病院に電話したら紹介状と予約が必要で受診できないと言われた」
こういう事ってよくありませんか?
体調が悪くなったときに安心して病院にかかれる、というのはとても大切なことですよね。
次回は安心して病院にかかる方法を考えていきましょう。