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スクリーンの向こうに巨大ウィル・スミス!?――驚異的現実感を与える『ジェミニマン』のハイフレームレート

"究極の映像体験"、"『アバター』以来の衝撃"、”映像関係者は絶対見に行け"、"内容よりも映画自体がSF世界に近い"、"ヌルヌルウィルスミス!"。そんな、内容はともかく技術面では絶賛一色の感想が躍るのは現在公開中の映画『ジェミニマン』3D+ IN HFR(3Dプラスインハイフレームレート)版だ。
3Dはもちろん、4DXもIMAXレーザーもドルビーシネマもいち早く体験してきた映画オタク、いや映像体験オタクとしては義務感に駆られたので公開3日目の日曜日、劇場へ足を運んでみた。

実際に見てみると本当にヌルヌル! いやそんな生易しいものではなく、スクリーンの向こう側で主演のウィル・スミスが巨大化して演技しているのでは、と疑ってしまうぐらい今までにない現実感を伴う映像に衝撃を受けた。
「迫ってくる機関車の映像に観客が驚いて逃げ出した」というのは映画黎明期の有名な話だが、『ジェミニマン』のバイクチェイスシーンの迫力には思わず目をつむってしまった。

この現実感を演出しているのが『ジェミニマン』の謳うHFR(ハイフレームレート)だ。

フレームレートとは1秒間に表示する画像枚数のこと。私は監視カメラ業界で仕事していたせいで、人一倍気にしてしまうワードだ。監視カメラの設定は大抵、5fps(5フレームパーセカンド=1秒間に5枚)~15fps。これぐらいだと動きがカクついて見えてしまうが、監視業務には差し支えないとされていた。
一般的な映画は24fps。これなら十分なめらかに見える。
それ以上のフレームレートを求めるのがゲームの世界だ。一般的なTVゲームでは最低でも30fpsは求められるし、更にVRゲームでは60〜90fpsは必要とされる。これはVRがゲームの世界に入り込んだかのような体験を求められるからこそ。フレーム数が少ないと現実世界との違和感から没入感が落ち、VR酔いの原因にもなってしまう。

『ジェミニマン』に話を戻す。この映画がどれだけ高いフレームレートなのかというと、なんと120fps。一般的な映画と比べると5倍、VRゲーム比でも1.5~2倍である。

このブログではこれまでVRをテーマにして書いてきた。様々なVR体験をしてフレームレートの重要性はわかったつもりでいたけれど、今回の体験はより高いフレームレートが現実感を生み出すのに如何に重要かということを改めて実感させてくれるものだった。
ハイフレームレートを実現すれば、現実さながら映像体験――本物のウィル・スミスを前にしているかのような錯覚だって与えることができるのだ。

※なお120fpsで上映しているのは埼玉県のMOVIXさいたま、大阪府の梅田ブルク7、福岡県のT・ジョイ博多のみ。それ以外の劇場ではHFRを謳っていても60fpsとなっているので要注意。

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