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【歯並び日記①】

【2022年2月中旬】
歯列矯正用の写真どり。
朝イチ、娘のアレルギー血液検査のための総合病院の受診をこなしたのち、無事に学校に送り届け、いざ歯科医。予約時間ジャストタイムに滑り込む。

白と茶を基調とした待合室。大きな水槽には小さな熱帯魚的なお魚が優雅に泳いでいて癒しを与えてくれる。
壁に貼ってあるB5判サイズの「NO MORE 無断キャンセル!」のポスター。添えられた院長先生のイラストは怒りの形相、無断キャンセルと遅刻を心の底から憎んでいることが伝わる。
紙カルテに書き込まれた私の予約時間と到着時間。ギリ1分セーフ。
もっと早く来た方が良かったかな。優良な患者かどうか推し量られている謎のプレッシャーを感じる。

まずレントゲン撮影。これは無音。何も感じない。
そののち、正面、横顔の写真。平常心。
続いて口腔内の写真撮影。これは無音では済まされない。
感覚としては、こうだ。
口の中にお好み焼きのヘラを突っ込まれ、パシャリ。
透明の靴ベラで唇と頬をぐいーんと伸ばされて、パシャリ。
あまりの力に、口が裂けたかと思った。
最後に歯型取り。これはアメイジング、嗚咽。
ピンクの冷えたチューイングガム(大量)をまずは上からべとり。
やつを舌で感知するとヤバイ。
動物的な本能で吐き出しそうになるのをこらえつつ、しばしの静寂。口腔内パニックに目じりから一粒の涙。
歯科衛生士さんが「ごめんね~きついよね、あと少し」と励ましてくれる。
時が経ち、ピンクはぶりんとはがされて、うがい。
唇の端に飛び散って固まったチューイングガムが物悲しい。
それを下の歯分も繰り返す。嗚咽リフレイン。
大きな口を開けまくったせいか、ほうれい線が少し薄くなった感じ・・・。束の間のイリュージョン。
普段使わない顔筋をフル稼働したせいか、疲労がひどい。
げっそりしたまま、受付にてひと月後の認定医の先生(院長とは別の医師)とのカウンセリングの予約をとる。

口腔内の撮影。
一回経験していたからといって、完全にあなどっていた自分を諭したい。
心して臨むべし。
いよいよ、次回は診断と矯正の方針を決める。
ワクワクとゾワゾワがマーブリング。複雑な心模様なのであった。

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