【歯並び日記 ⑭ 8月の調整日】
8月半ば。我が家の畑史上最高の大豊作となったきゅうりがついに終わり。
8月末。空がいつもより高くなった。着実にゆく夏を思う昼下がり。
平和について考えることが多い8月が音もなく過ぎた。
広島県民だからなのか、祖父がシベリア抑留経験者だからなのか。否、戦争のない世界を願うことに住まう場所もルーツも関係のないこと。
ただただ、命のことを考える真夜中が時にはあってもいいよね。
そうして9月が始まった。
さて、もはやひと月近く経ってしまった8月の調整日についてメモメモ。
【8月上旬 1ヶ月ぶりの調整日】
午前の予約。質問コーナー(歯科衛生士さんに疑問をぶつけるだけの時間)で聞くことリストをしたためて臨む。
・さつまいもの天ぷらをかじった時に歯から外れワイヤーを盛大にぶらつく右上1番のブラケットのこと。調整日を迎えるまでかれこれ1週間この状態でさながらルーピングトイ。
・口蓋にぐいぐい食い込む保定装置のこと。(前回の記事参照)
この日は前回と同じ明るい歯科衛生士さん。早速、まずは保定装置のことを伝達。
「みなさん食い込むものですよ〜」え、みなさんこんな痛みをくぐり抜けているの。だとしたらみなさんの口蓋強度やばすぎ。
「あ、でも前回より滑らかに話せてる気がしますね〜」滑舌の悩みを覚えていてくださった。滑らかレベルがアップしたみたいでホッとする。
「早速見てみようか、あ…これは痛いね。取れるかな…先生〜!」すかさず医師を呼び寄せて2人で保定装置の食い込み具合を覗き込むこと数秒。
先生「リンガルアーチ(保定装置のこと)調整しますのですぐに外しましょう」はい、ぜひ取り外してください。そして痛みのないアーチを創出していただければ…
がしかし。リンガルアーチなるワイヤーが口蓋に食い込みすぎて外れない。そう、すでにそこには新たな肉が盛っているのよ。もう何日も前から合わせ鏡で確認済みですよ。
リンガルアーチをぐいと引っ張られて「あー(泣)」とうっかり声と涙がでてしまう。
口腔ごと引っ張られてヘッドレストから頭がついて上がる感じ。
「…こ、これは…」にわかに曇る医師の表情。バタつく歯科衛生士さん。
「麻酔しましょう!」急遽麻酔を施すことになってしまった。
ちく!ばきっ!ぐいっ!体感では、手羽中の骨を無理矢理はがして肉がぶちっとちぎれる感じ。
あまりの痛みで歯列矯正にチャレンジし始めて過去1の涙が溢れた。
リンガルアーチを上下とも調整することに。ええ、是非ともそうしてください。
うがいするとうっすら血が流れる。しばし放心状態でぐったり。
少し落ち着いて医師のお見立て。「右下3番はよく動いているけど、もう少しほぐれてから下2番1番にワイヤーを通しますね」
リンガルアーチで押し出すはずだった右上3番は、流血騒ぎを受けてパワーチェーンで6番につなぎ唇側から引っ張る作戦に。調整済みのリンガルアーチは優しくフィット。口蓋に沿いはしているものの食い込む気配はゼロ。うれピス。
完全に忘れていたけど、さつまいもによる右上1番ブラケット外れもようやく思い出して歯科衛生士さんに報告。すぐに付け直してくださる。
この時点で右上3番は引っ張られる感覚あまりなし。
右下左下のパワーチェーンも付け直し。
「今夜あたりからまた痛みますよ」とのこと。色々あった本日の調整終了。
帰宅後、痛みはほぼなし。
食事時は噛む時に少し柔らかく噛む必要を感じる程度。余裕だ!ヨユ!(余裕=韓国語でヨユ。大学時代に習ったうろ覚えの韓国語知識をさりげなく披露)。
と思いきや、歯列矯正の神様はこの日まだ私に安寧の時間を与えなかった。夕方、ふとパワーチェーン(歯と歯をつなぎ引っ張るゴム)の位置に違和感を覚えた私。
あれれー?右下5番と6番が結んであるけれど。お隣同士で引っ張りあいこしても…。てか1番動かしたい3番は?ワイヤーこそ通っているがパワーチェーンの輪に入れずポツネン。
もしかしたらこれも何か医師の方針なのかもしれないけど、どうしても解せぬ。ということで念のためクリニックに電話すると「パワーチェーンが切れているのかもしれないのですぐに来てください」とのこと。こういう時、自宅から近くてよかったとつくづく思いながら運転5分。
午前担当してくださった歯科衛生士さんがすぐに直してくださり、無事に3番を引っ張る形に。良かった。切れたわけではなかったようなのでつけ間違いかな。
こうして私に本当の安息の時間が訪れたのであった。
その後も歯は順調に動いている。混み合った前歯に隙間が見えてきて、抜歯の歯茎が埋まってきている。
リンガルアーチの食い込みもなし!
今回学んだ教訓。痛い時は我慢せず早めに相談すべし。痩せ我慢で肉はワイヤーにどんどん盛っていく。
人間の再生能力をあなどるなかれ。つづく。