【衆議院選挙2024】注目選挙区10選!情勢解説 (南関東〜北陸)
南関東編始まるよ〜
前回
千葉3区
千葉市緑区
市原市
松野博一(自民)
岡島一正(立憲)
加藤和夫(共産)
大薄裕也(無所属)
注目はやはり松野vs岡島です。
松野さんは今回で10回目の衆院選になります。対する岡島さんも8回目の選挙です。これまでは松野さんが5勝2敗で、松野さんが勝利し、うち岡島さんが国会議員として席を残せたのは3回です。
しかし松野さん自身が今回の安倍派の裏金問題の幹部であり、政倫審の出席や官房長官からの更迭など、大きな逆風を迎えての選挙となりました。
対する岡島さんは父から地盤を受け継いだ世襲議員ですが、2012年以降は4度に渡り松野氏に敗れ続けていて、今回は共産も出馬されていることから、野党票をまとめ切れるかが課題でしょう。
加えて千葉3区は大分、風の強い選挙区であることも大きな特徴です。
3分の2の票田は市原市、3分の1は千葉市緑区の選挙区ですので、それぞれどう選挙戦を制するかが注目されています。
なお参考材料として、過去4回の選挙での岡島さんの得票数を見てみましょう。
ちなみに民主党政権誕生の際の選挙の岡島さんの得票数は112,035票です。
2012年総選挙
岡島(民主党):31,161
2014年総選挙
岡島(生活の党):30,238
2017年総選挙
岡島(立憲):52,018
2021年総選挙
岡島(立憲):65,627
今回は逆風が追い風となり、7.5-9万台でしょうが、果たして松野氏に勝利を収めリベンジできるかが注目されます。
千葉4区
船橋市 (一部)
市川市 (一部)
木村哲也(自民)
水沼秀幸(立憲)
雨宮京子(維新)
八鎌健太(共産)
工藤聖子(参政)
千葉4区は立憲の野田代表が非常に大切にされていた地盤です。
野田代表自らは船橋市が10増10減となり、市が真っ二つに選曲が分かれ、船橋市東部を含む14区で立候補しています。
そして4区には立憲の水沼氏を擁立しました。水沼氏は野田代表が得意とする千葉4区の候補者として選ばれたのです。
対するは自民元職で4度に渡り、野田元総理と戦い比例復活を続けていた木村氏です。木村氏は2021年の衆院選では比例復活もできず敗れてしまい、今回は引き続き千葉4区で挑みます。
神奈川5区
横浜市戸塚区
泉区
坂井学(自民)
山崎誠(立憲)
久坂くにえ(維新)
高宮美智子(共産)
神奈川5区は菅副総裁の再側近である坂井国家公安委員長の選挙区です。
坂井氏が前回の野党共闘で相手に候補者一本化されても、13万票を獲得し逃げ切り当選を果たしたことで、こちらも安定的な強さがあります。しかし横浜市であるため今回の選挙では当然風は強いでしょう。
また大臣就任のご祝儀相場もあるかもしれませんが、公務と選挙戦が重なり地元が空洞化するリスクもあります。
だからこそ油断ならない選挙区なのです。
対する山崎氏は神奈川5区では、前回からの出馬ですが、一本化かつ118,619票を獲得し比例復活での当選をしました。しかし今回の選挙では維新も共産も出馬しています。
元々横浜市議会で2期務め、国政では衆院議員を3期務めた経験はありますが、小選挙区での当選はまだなく、今回は悲願の小選挙区での当選になるかが注目されるでしょう。
神奈川6区
横浜市保土ケ谷区
旭区
古川直季(自民)
青柳陽一郎(立憲)
塩坂源一郎(維新)
植木眞理子(共産)
こちらの選挙区は元々、公明党の代議士の選挙区でした。
しかし2017年に立憲の青柳氏に敗れ、公明党は6区で議席を失います。
そして引き続き候補者を擁立し、2021年の衆院選出馬を目指していたものの、擁立された立候補予定者が銀座クラブの問題で除籍処分となり、急遽候補者の差し替えとなりました。その結果、6区で公明は候補者を擁立できず、自民党に譲ることになりました。
この時に白羽の矢が立ったのは市議を7期務めた古川氏なのです。
結果的に突然の選挙でしたが、4,525票差の僅差で破り初当選を果たします。
今回は逆風の中で二度目の挑戦です。
対する立憲の青柳氏は2017年以来の小選挙区奪還を目指します。立憲若手Gの一人であり、8区のベテラン議員である江田憲司議員の江田Gにも所属しています。
この選挙区は旭区と保土ケ谷区が両方とも風が強く、有権者も半々の選挙区が特徴的です。
神奈川18区
川崎市中原区
高津区
山際大志郎(自民)
宗野創(立憲)
横田光弘(維新)
君嶋千佳子(共産)
西岡義高(国民)
今回は五者の乱立ですが、やはり注目は自民vs立憲になりそうです。本来は乱立であれば自民が得する筈なんですが、とある県議の離党により混乱を極めています。
山際氏は当初は岸田政権の経済のブレーンとして期待されていました。元々獣医出身であり、麻生派の中で甘利元幹事長にも近い存在です。
しかし就任して一年後、旧統一教会とのトップの接点が国会で追求され、野党が猛攻撃することとなり、更迭される結果となりました。
当初はかなりの逆風が予想されていましたが、立憲と維新、共産、国民など野党候補の大乱立のため、自公の票が団結すれば当選の可能性もあるでしょう。
ただ今は懸念する部分も大きくなりました。
①旧統一教会への対応に不満視、有力女性県議の離党
②裏金問題の逆風が露呈化
③神奈川18区が10増10減の被害大
①に関しては先ほど述べさせて頂いた記事です。
②も当然あるでしょう。意外と無視されているのは③の現状です。
神奈川18区は宮前区の一部が離れ、代わりに一部だった中原区が全域になります。
つまりただでさえ風が強い選挙区なのに、人口の2.5-4割の有権者は初見さんなのです。この他にも神奈川19区や先の東京28区でも同様の乱立がありましたが、理由としては組織票が固まりにくく、無党派が多いためどの政党もチャンスだと思い込んでいる事情もあります。
しかし国民は前回の鈴木敦氏と違い、今回は初見さんの候補者。そのため自民と立憲の上位争いになるでしょう。
神奈川19区
横浜市都筑区
川崎市宮前区
草間剛(自民)
佐藤喬(立憲)
添田勝(維新)
横関克弘(共産)
深作ヘスス(国民)
ここは草間vs佐藤vs深作がメインの戦いかと思います。
こちらは自民、立憲、国民の三者の大乱戦です。そして維新と共産の5党でしょう。今回、国民の深作氏が上位に乗る可能性があるのは、連合神奈川が立憲と国民の両方が候補者を擁立しているのにも関わらず、国民民主の深作氏を選んでます。
加えて深作氏の奥様が現職の横浜市会議員であり、自民二人に次ぐ3番手として都筑区で当選しています。夫婦揃って都筑区でどれだけリードできるかが注目されます。
一方で自民党の草間剛氏はこちらも横浜市会議員を3期務めたことが強みです。
2019年の統一地方選では19,198票も獲得し、圧倒的なトップ当選を果たされました。そのためこちらも都筑区が得意な方といえるでしょう。
さらに神奈川自民として圧倒的な強みは層の厚さです。
菅元総理、三原大臣、浅尾大臣、さらに公明の参院議員など、草間さんのもとに続々と豪華なキャストが応援演説に入っていると言える。
今回の新設区では、野党が一枚岩になれていない為、自民としては押し切りたい印象があると感じられました。
最後に立憲の佐藤氏はお二人と真逆の宮前区に住んでいます。
財務官僚出身で唯一の宮前であることは大きな強みですが、問題は連合の推薦もなく、共産との一本化ができない以上は、個人パワーで無党派層と保守層を取り込み勝ちに行く必要があります。
ここも課題でしょう。
神奈川20区
相模原市南区
座間市
甘利明(自民)
大塚小百合(立憲)
金子洋一(維新)
前回、立憲の新人に敗れ、歴代初めて小選挙区で敗れた幹事長になってしまった甘利明元幹事長ですが、今回の総選挙では自身の後輩であり、将来を有望される総裁候補のコバホークが応援に駆けつけるなど、とても入念な選挙準備をしていたと見られます。
相模原南区と座間市で構成される選挙区ですが、票田は相模原南区でしょう。
相模原市の本村賢太郎市長は現在2期目ですが、衆議院議員時代は野党系議員であり、昨年の首長選ではなんと75%近くの得票率で当選を果たしました。
これは参考材料になるかは分かりませんが、少なくともエリアでは約半分以上が初見さんの地域で甘利元幹事長は戦っているのです。
対する立憲の大塚さんは連合神奈川は推薦ではなく、支持をしていて共産党も擁立はしていません。つまり野党系の一本化には成功しています。加えてバックグラウンドがNPOで、座間市長選でも野党系を支持して当選しています。
ここが大きな強みでしょう。ただし違うのは前回、甘利明元幹事長が戦った太氏は国防系出身で保守票を奪うドブ板選挙系の方であって、大塚氏は甘利氏から保守票をどこまで奪い当選するかは未知数です。
野党系の支持だけでは足りず、無党派と保守層の獲得が肝でしょう。
新潟5区
十日町市
糸魚川市
妙高市
上越市
魚沼市
南魚沼市
南魚沼郡
中魚沼郡
梅谷守(立憲)
高鳥修一(自民)
ご覧の通り、お二人の一騎打ちですが、肝となるのは保守層の獲得です。
高鳥氏は高市氏をはじめ保守系の議員からの支持が近い方で有名であり、LGBT理解増進法案の時も話題になりました。その為、保守層からのファンは多いでしょう。
しかし裏金議員の一人としてレッテルを貼られたダメージも大きく、本人の活動量でどれほど逆境を覆せるかも注目されます。
対する立憲の梅谷氏は民主党政権で農水副大臣を務めた筒井 信隆氏の娘婿であり、高鳥親子とは因縁の対決です。筒井氏は保守王国の新潟で2000年から4期にわたって新潟6区で当選し続けた政治家であり、今は娘婿の梅谷氏が地盤を継いでいます。
2021年の衆院選では小選挙区で百数票差で当選を果たしたものの、一時有権者への日本酒配布が大問題となり、立憲民主党から処分を受けて地元活動が再開できませんでした。
「だから裏金vs日本酒」とXで揶揄されるのです。
なお2021年の衆院選では梅谷氏は妙高市と上越市でリードし、十日町市と糸魚川市では高鳥氏に敗れました。
今回の総選挙では新たに魚沼市と南魚沼市が加わるため、両陣営のハードワークが求められます。
石川3区
七尾市
輪島市
珠洲市
羽咋市
かほく市
河北郡
羽咋郡
鹿島郡
鳳珠郡
西田昭二(自民)
近藤和也(立憲)
南章治(共産)
こちらは近藤さんの服装を見て感じざるを得ませんが、いずれにせよ選挙どころではないのは確かでしょう。
一刻も早い復興を望みますが、投票はできる人ができるようにして欲しい。
福井2区
敦賀市
小浜市
鯖江市
越前市
今立郡
南条郡
丹生郡
三方郡
大飯郡
三方上中郡
高木毅(無所属)←敦賀・大飯自民支部推薦
辻英之(立憲)
齋木武志(維新)
小柳茂臣(共産)
山本拓(無所属)←鯖江自民支部推薦
最後に福井2区についてです。
はっきり申し上げれば、高木氏と山本氏が事実上の保守分裂で、辻氏が立憲の候補として出ています。
なお高木氏が強いのは推薦を出されている敦賀市で、父親が元敦賀市長です。山本拓氏が強いのは鯖江市ですね。立憲の辻氏が強いのは故人の兄の選挙区であった越前市や旧3区の小浜市でも強いと思われます。
しかし県議数自体がかなり少なく、風はあるものの、本人が受け皿になれるかは不透明な選挙です。