新人議員からアメリカ下院議長へ。ジョンソン下院議長って何者ですか?
ジョンソン下院議長とは?
2023年10月25日、米国政治では衝撃が走る。
アメリカ下院議長が空白の中、
選ばれた共和党の下院議長の候補は
当選4回のマイクジョンソン下院議員でした。
衝撃的な出来事です。
突然解任されたマッカーシー前下院議長の後任が
長らく決まらなかった(3週間も不在)中で決まった後任が
意外な人だったからです。
当初言われていたフリーダムコーカスでもなく、
共和党の幹部でもなく、トランプ氏に近い
ジョンソン議員がいきなり数段階のステップを飛ばし
昇進したのです。
本当に衝撃的な出来事でした。
マイクジョンソン氏の生い立ち
マイクジョンソン氏は1972年の1月30日、ルイジアナ州シュリーブポートで
生まれます。4人兄弟の長男として生まれ、両親は離婚します。
なお彼の父は消防署勤務であり、冷蔵倉庫の火災で重傷を負い、同僚を失いました。それ以降、父は消防士の仕事に戻ることはなく、危険物コンサルタントの傍ら、熱傷の被害者とその家族を支援する財団の共同創設者となりました。
そしてジョンソン氏本人も父の跡を継ぐため消防士を望んだそうですが、
両親の反対で頓挫しました。
(英語版のウィキペディアで頑張って英訳し書いてます。)
その後、ルイジアナ州立大学を経営学の学士号を取得、
さらにルイジアナ州立大学内のポール M. ヘバート法律センターの
法学博士号を取得して卒業しました。
弁護士となったジョンソン氏は自身は社会保守的な法律擁護団体である
アライアンス・ディフェンス・ファンドの上級法律顧問を務め、
2003年のローレンス対テキサス州事件における最高裁の判断に反対し、
ソドミー法に基づき反対したのです。
ソドミー法とは単純に言えば、日本の不同意性交罪と同性同士の性行為を
重ねた捉え方ができる法律で、同意の上で男女の1対1の
性行為以外の特定の性行為を罪とする法律です。
いわゆる性犯罪の抑止にもなりますが、同時に同性同士にも
この法は適法ではないか?という解釈が共和党の主張です。
そして翌年、ルイジアナ州では憲法で結婚を1人の男性と1人の女性の間とする
修正法を彼は支持しました。
その後、ジョンソン氏の弁護士キャリアは様々な場所で
花を咲かせ、保守系の弁護士として名を馳せます。
ジョンソン氏は自身の弁護士キャリアをこうまとめる(ウィキペディア情報)
弁護士やラジオのゲスト、大学の先生として様々な面で活躍したジョンソン氏が
次に歩んだのは国政です。
マイクジョンソン議員誕生へ
2015年、当時の現職が地方判事にキャリアを移行し、
州議会下院のルイジアナ8区が空席となりました。
その後継として州議会議員の道を歩み当選を果たします。
2015年ではジョンソン氏が掲げる結婚と良心法が同性愛者から
波紋を呼び、国家が結婚を阻害するとも言われました。
ただ個人的には民主共和両党の政策についての言及は避けますが、
ジョンソン氏が共和党でキャリアを進める以上は、
党にとっても適材な人材かと伺えます。
結局は法案が通過せず廃案となりました。
国政へ挑む
2016年、ジョンソン氏は米国連邦議会の下院のルイジアナ4区が
空席になったのに伴い、立候補し当選を果たします。
なお3期続けての圧勝であり、4期目は無投票再選になりました。
その間、彼は共和党内で下院の委員長ポストや下院共和党の副議長を務めるなど
要職を務めました。
仮に個人的に日本の国会議員で言うと、当選4回で自民党の総務会長や
副幹事長を務めた福田達夫衆議院議員に近いキャリアでしょうか?
福田議員がいきなり衆議院議長になるような衝撃です。
きっかけはマッカーシー下院議長が共和党の保守強硬派と
民主党が結託し、解任に成功したため空白となったことです。
当初は共和党下院ナンバー2の議員か、強硬派のメンバーが立候補しましたが、
党内の完全な支持を得られず空席のままでした。
※日本みたいにガチガチの党議拘束がない分、事実上の空白が起きたとも言えます。
3回目の候補として、共和党下院ナンバー3の議員か?あるいは元議長か?
ジョンソン氏か?という候補が乱立しましたが、
結局はフリーダムコーカス所属ではないけれど、トランプ元大統領に
近い考えを持つジョンソン氏が下院議長となりました。
"I believe that Scripture, the Bible, is very clear: that God is the one who raises up those in authority. He raised up each of you. All of us"
「聖書は非常に明白であると私は信じています。神は権威ある者を立ち上がらせる方であるということです。神はあなた方一人一人を立ち上げました。」
就任時の米国下院の演説
ジョンソン下院議長本人の議会運営については、
基本保守強硬派に近い考えであり、民主党や超党派の法案には
慎重な一方で、米国のつなぎ予算やウクライナ・イスラエル支援には
完全に否定することはありませんでした。
そのためつなぎ予算の通過を行いつつ、
トランプ氏支持の要素を加えて
運営していました。
ただ現在も保守強硬派からの不満もあることもまた事実であり、
保守強硬派がいつジョンソン氏に対して解任決議案を提出するかは
保証できない事実もあります。